【岩上安身のツイ録】ホルムズ海峡への自衛隊派遣はイラン攻撃の片棒を担ぐということ 〜戦争に心を痛めるイラン生まれのクルド人映画監督が『サイの季節』に込めた思いとは 2015.6.3

記事公開日:2015.6.3 テキスト
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(岩上安身)

★まもなく2015年21時よりCh1で「サイの季節」バフマン・ゴバディ監督へのインタビューを録画配信します!Ch1はこちらから!

 今、「サイの季節」という映画(トルコとイラクのクルディスタンの資本)の制作・脚本・監督をつとめたバフマン・ゴバディ監督のインタビュー、終了。映像など、編集を施してから、今夜、配信します。詩と映像美にあふれた作品。でも散文的な質問も。

 ゴバディ監督は、イラン生まれ育ちのクルド人。1979年のイラン革命の時、5歳の少年で、家族、親族が、打倒されたシャー・パーレビ側とホメイニ師のイラン革命側に分かれて不仲になるという体験をした。

 革命後の体制の不自由さには批判的で、現在は国外で活動している、という。政治の話をするのは最初は慎重だった。中東は紛争ばかりだが、東アジアは穏やかで、平和な日本には希望を見出している、とも語る。もちろん社交辞令まじりだが。

 ゴバディ監督に「中国の脅威があるから、米軍に従属して、自衛隊をホルムズ海峡へ出す」という、論理性のまったくない、シュールな答弁を繰り返す安倍政権について話した。ホルムズ海峡の機雷を掃海するとは、イランへ攻め入る戦争の片棒を担ぐということだ。

 「ホルムズ海峡へ自衛隊を出す」という話をしている政治家たちの脳裏には、戦禍にあうであろう、イランで生きている生身の人々の姿や暮らし、美しい文化についてのイメージは、まったく浮かんでいないに違いない。出てくるのは石油の話だけだ。人として必要な想像力が決定的に欠けている。

 イランの普通の人々に、日本への恨みや敵意があろうはずがない。そんなところへ米国に来いと誘われている(あるいは命じられている)からと言って、はいはいと二つ返事で重武装して出かけて行く、そんな話を当事者抜きにしている。あまりにクレージーではないか。言われた側も面食らう。

 今、日本で当然のように語られている非常識な話に、普通の日本人がはたと、おかしいなと気づき、安倍政権の尋常ではない異常さ(さらにいえばそのボスの米国の好戦勢力やイスラエルの異常さ)に、こりゃまともじゃないなと気づいてもらいたい、と思う。

 ゴバディ監督は、「いたるところに不和があり。紛争がある。イランは兵器を買うことに熱心で、国民生活のために経済力を使うことができない。結局、金儲けをしているのは、イランのような国に武器を売りつける大国の兵器産業だけだ」と語った。

 「平和な日本、素晴らしい文化を持った日本、そういうイメージと好感をイランは日本に対して持っている。だが、日本が重武装して戦争を始めたりすれば、ニュースは戦争イメージ一色になるだろう。よいイメージは忘れ去られる」と、ゴバディ監督は警告する。誰にとってもそれは損失である。

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