2015年1月7日14時30分より、新年第一回目の原子力規制委員会・田中俊一委員長の定例記者会見が行われた。原発再稼働が現実視され、稼働後はリスクが大きくなることから、実質的に安全が担保できる体制などに取組む姿勢を見せた。ただし、再稼働に「政治的パフォーマンスは全く考えていない」ことを強調した。
2015年1月7日14時30分より、新年第一回目の原子力規制委員会・田中俊一委員長の定例記者会見が行われた。原発再稼働が現実視され、稼働後はリスクが大きくなることから、実質的に安全が担保できる体制などに取組む姿勢を見せた。ただし、再稼働に「政治的パフォーマンスは全く考えていない」ことを強調した。
■全編動画
今年2015年は、川内原発を始め、高浜原発などの再稼働が予想されている。これまで規制委員会・規制庁は審査を行ってきたが、実際に原発が再稼働した後、規制委員会・規制庁はどのような役割を果たすのか、今年の展望を記者が質問した。
田中俊一委員長は、稼働後のリスクが一段と大きくなるため、安全が担保されるよう保安検査の体制などを実質的に取り組んでいきたいと答えた。しかし、「政治的パフォーマンスは全く考えていない」ことを強調。2012年夏の大飯原発再稼働の時に、当時の牧野聖修経済産業副大臣ら政務三役が現地に常駐したことを暗に否定した。
また、これまで3年も4年も動いていない原子炉を動かすことになり、いろいろな注意点や懸念点が考えられる。田中委員長は昨年末2014年12月20日に川内原発を視察した際、「慎重に立ち上げたいので規制もそれを認めて欲しい」という事業者の意見に同意。事業者として最もいい方法を提案し、現地の保安検査官にも、柔軟に取り組むように指示をしたと答えた。
再稼働後は、これまでの”審査”に加えて、”保守管理”も業務として行うことになる。規制庁職員の体制など並行してできるのかと記者が質問した。
川内原発を念頭に田中委員長は、検査部隊と審査部隊は人も体制も違うし、トラブルが出ることはあまり考えられないが、仮にあっても重大なことにならないよう慎重にやっていくと述べた。トラブルがないとは言い切れないのでよく見ていくという。長期に渡り停止していた炉では、審査に伴い付属施設が追加されている。「運用できるかどうか含めて、見ていかないといけない」と答えた。
田中委員長は、再稼働することで「審査がきちっとできているか、それに基づいてアプローチできているか、いろんなことが試されることになる。これは非常に大きな課題」だと言う。
福島第一原発において、リスクの大きい千基以上ある滞留水タンク、比較的リスクの少ないALPS処理水の問題に取り組む姿勢を見せた。枝葉末節の問題ではなく、全体を見てリスクを考えた体制、取組みを進めたいという。
他方、福島第一原発はリスクを低減化させ、着実に進めて行く方向に時間が掛かり過ぎているとし、「これは規制の問題よりは事業者の問題というところだ」と苦言。しかし、「我々も踏み込んでやろうと言っている」とコメントした。
また、個人的な思いとして、今年は早く復興に向けて行動できるようにしてもらうため、福島第一にどの程度のリスクがあるか、福島県民に正しく理解してもらうための節目になると述べ、そのための努力が必要だとの見方を示した。
電源開発の大間原発の申請があってからほぼ1ヶ月が経つ。年末年始の期間を含むが、これからどのように審査を進めるのか、何か動きがないのかと記者が質問した。
田中委員長は、大間原発はフルMOXで、世界で前例がなく、実験もあまりないため、「それも含めて相当慎重にやらざるを得ない」という。一方で、いろんな仕事が立て込んでいるから、それらも考えながらやっていきたいと話したが、具体的なことは何も決まっていないという。