11月1日と2日の2日間に渡って、日米の政府関係者や専門家が議論を行う「富士山会合」が開かれていた。アメリカから来日したのは、リチャード・アーミテージ元米国務副長官、ジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授、デニス・ブレア元米国家情報長官などである。この「富士山会合」の参加者のひとりである、ワシントンの大手シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のシニア・アドバイザー、エドワード・ルトワック氏は、10月29日に日本外国特派員協会で記者会見を行った。
会見の冒頭で、ルトワック氏は、「今回は日本政府のためのワークショップに参加するために来日し」、「今週は安倍首相と会った」と紹介された。『自滅する中国—なぜ世界帝国になれないのか』(※芙蓉書房出版、2013年、原題 The Rise of China vs. the Logic of Strategy )などの著作が邦訳されており、今回の会見でも、現在の中国のあり方についてのスピーチがなされた。
中国は「太った男」
「企業や政府にアドバイスを行うストラテジスト」であるルトワック氏は、「ストラテジストとは、意見を言う賢い人のことでも、あれをしろとかこれをしろとか言う人のことでもなく、人々が衝突に備えたり、それを恐れたり、それを予期したりしているときに何かを言う人のことだ」と述べた。
ルトワック氏は、日本が「もっとも大きな国、非常に忙しい国の隣国」であると言い、中国を「太った男」に例えた。「エレベーターに乗ってくる太った男のようなものだ。とてもナイスな人だとしても、問題がある。他の人のスペースがなくなるからだ。しかも、非常に急速にますます太っていっている。彼は一年に7%あるいは7.5%成長している」。「彼は太っていて、太り続けているのだ。だから彼が非常にいい人だったとしても、みんなを壁に押しやっている」。
ルトワック氏は、中国はもともとは「平和的台頭政策」を行っていたのだと述べた。「平和的台頭政策」は、脅威的なものでも、挑発的なものでもなかった。だが、あるときから中国は、「平和的」であることをやめ、近隣国との争いを復活させる。インドとの領土争い、ベトナムとの軍事的な争い、南シナ海をめぐるマレーシアとの争いを始め、そして、尖閣諸島を領土であると主張し始めたとルトワック氏は述べる。つまり、「太り続ける太った男が、エレベーターに乗っている全員とけんかを始める」ようなものだ、という。
さらに、ルトワック氏は、尖閣諸島問題について、中国の目的は「侵略ではなく、中国の優位を受け入れさせること」であり「中国が日本に求めているのは、積極的な服従」であるという見方を示した。
日本の集団的自衛権行使容認は、対中国の政策?
中国が近隣諸国と敵対する行動を取るのは「戦略的分析では説明できない」ものであり、「非常に賢い人々が、非常に愚かなことをする」と言うルトワック氏は、その理由を、「中国の世論が暴力的な行動を要求している」からだと述べた。だから、日本は「非常に悪い外交政策を追い求めている国」に対抗しているのだと言う。
「ジャパン・ハンドラー」ルトワック氏が中国を「太った男」に例えて外交政策を解説 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/201841 … @iwakamiyasumi
「ルトワックさん、ありがとうございます。」という安倍晋三の声が聞こえてきそうな会見ですね。
https://twitter.com/55kurosuke/status/530154259984031744