米国のオバマ大統領の来日が、4月23日夜から25日の2泊3日という日程で確定となった。「国賓」として迎えられる大統領は、安倍総理との首脳会談や、天皇皇后両陛下との会見などに出席する予定である。
IWJでは、オバマ来日の目的を探るべく、米民主党に近いシンクタンクとして知られるブルッキングス研究所で3月6日に行われた、トーマス・ドニロン前大統領補佐官の講演内容をご紹介した。
一方、米国保守派のシンクタンクは、今回のオバマ来日をどのように考えているのだろうか。ドニロン氏の講演の2週間後、ほぼ時期を同じくして、二大ネオコン・シンクタンクである、ヘリテージ財団とCSIS(戦略国際問題研究所)で、それぞれ講演が開催された。
3月19日のヘリテージ財団の講演には、「安倍総理への指令書」とも言われている『第3次アーミテージレポート』の作成に関わったランドール・シュライバー氏、そして「日本のナショナリズムの高揚が、米国の政策目標を達成する絶好の機会」と論じた『クリングナー論文』の著者であるブルース・クリングナー氏が登壇した。
そして、3月21日のCSISの講演では、上記アーミテージレポートの共著者である、リチャード・アーミテージ氏とジョセフ・ナイ氏が登場。北朝鮮や中国の軍事的脅威に備え、日米同盟をさらに強化すべきという、従来からの主張を繰り返した。
ヘリテージ財団とCSISという二大保守派シンクタンクが、現在の日本の対米政策にいかに大きな影響を与えているかは、あらためて言うまでもないだろう。
ヘリテージ財団では、石原慎太郎氏が東京都知事だった2012年4月16日、「東京都が尖閣諸島を買います」と発言し、現在の尖閣問題の「火付け役」となった講演を行った。クリングナー氏の言う、「米国のために日本のナショナリズムを煽る」道化役を、石原氏が見事に演じた場所だ。
そして、CSISは、昨年2月22日、オバマ大統領との会談を終えた安倍総理が講演を行い、「Japan is back(日本は戻ってきました)」「I am back(私は戻ってきました)」と宣言したシンクタンクである。総理は、会場最前列にいたアーミテージ氏に対して、「アーミテージさん、ありがとうございます」と謝辞を述べ、「日本は一流国になりたいのか、二流国でかまわないのか」というアーミテージ派の無遠慮な問いに対し、「日本は二流国にはなりません」と子供のような約束をし、対米従属の姿勢をさらけ出した。
- 【IWJブログ】高揚する日本の「不健全なナショナリズム」 背後でうごめくワシントンの影 2013.12.28
- 【IWJブログ】「アーミテージさん、ありがとうございます」属国日本の姿を堂々とさらけ出した安倍総理 米講演で 2015.8.19
オバマ大統領に先んじて、4月5日・6日にはヘーゲル米国防長官が来日。日中間の尖閣問題を巡り「日米安保条約に基づく防衛義務を果たす」ことを確約し、北朝鮮の脅威に対してイージス艦2隻を横須賀に配備することで合意した。ネオコン・シンクタンクが主張する「日米間の軍事同盟強化」への地ならしは、着々と進んでいる。
・ロイター 2014年4月6日 「米国防長官、尖閣めぐり中国けん制 日本にイージス艦2隻追加配備」
http://bit.ly/1eWtYzW
以下、両講演における各氏の発言の要約を翻訳し、ご紹介する。講演の模様は、各シンクタンクのホームページに公開されている。
・ヘリテージ財団: http://herit.ag/1hxDKVa
・CSIS: http://bit.ly/1eTQ0D0
ネオコン・シンクタンクの政策に対しては、これらに反対する識者の意見も海外メディアに出てきている。今後、これらの反論も紹介しながら、引き続きオバマ政権の対日政策についての情報を提供する予定である。
Preview of the President’s Asia Trip
Wednesday, Mar 19, 2014
http://herit.ag/1hxDKVa
ヘリテージ財団 「大統領のアジア訪問のプレビュー」
2014年3月19日(水)
講演者
ランドール・シュライバー(元ブッシュ政権国務次官補)
ブルース・クリングナー(ヘリテージ財団上級研究員)
司会
ウォルターローマン(ヘリテージ財団・アジア研究センター長)
オバマ大統領が来日し、正式な外交対話が一応なりたつと、権謀術策で日本だけを何とかしようとして中国とのバランスを欠くジャパンハンドラーは言葉の妖術がうまく使えないようです。安倍さんほか旧ブッシュ政権の幻影にたよるねじれきった権力依存症者たちは、どこまでいっても、宇宙までいっても変更不可能です。