「核保有論者が集まる安倍政権」原発、戦争、東アジアの今後は ~伊藤千尋氏(元朝日新聞記者)・纐纈厚氏(山口大副学長)らが講演 2014.11.1

記事公開日:2014.11.10取材地: テキスト動画
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(IWJ中継市民 こうの みなと)

※11月10日、テキストを加筆しました!

 世界から原発が消えている。しかし日本では、安倍政権下で、まるで福島第一原発事故などなかったかのように、原発の再稼働が進められている。

 11月1日(土)13時過ぎより、福岡市・天神にある都久志(つくし)会館で「第25回反核医師のつどい in 福岡」が2日間の日程で開幕した。「反核医師のつどい」は、反核医師の会が中心となって毎年各地で開催されているもので、全国から200名を超える医師と医学生が参加した。

 1人目は、元朝日新聞記者・伊藤千尋氏が「憲法を活かす・地球を守る」と題して記念講演。2人目は、山口大学副学長・纐纈 厚(こうけつ・あつし)氏が、「私たちは、東アジアにどう向き合うのか」題して学習講演を行った。

 その後、韓国反核医師会・白 道明(ペク・ドミョン氏)ら2名が「韓国の反核運動においての医療人の取り組み」と題して、学習講演を行った。

■ハイライト

  • あいさつ 岡本茂樹氏(福岡県反核医師の会代表世話人、小児科医)/原和人氏(全国反核医師の会共同代表)/メッセージ紹介
  • 記念講演 伊藤千尋氏(元朝日新聞記者)「憲法を活かす・地球を守る」
  • 学習講演 纐纈厚(こうけつ・あつし)氏(山口大学副学長)「私たちは、東アジアにどう向き合うのか〜日中・日韓関係のこれから〜」/ペク・ドミョン氏(韓国反核医師会共同代表)ほか「韓国の原発・核政策と住民運動」
  • 玄海原発訴訟団からの訴え/質疑応答

伊藤 千尋 氏(元朝日新聞記者)「憲法を活かす・地球を守る」

 2日間にわたる「第25回反核医師のつどい in 福岡」にて、講演のトップバッターを務めた伊藤千尋氏は、朝日新聞の記者を40年間を務めたが、65歳になった約1か月前に定年退職した。

 ちょうど朝日新聞を退職する時に、従軍慰安婦をめぐる吉田証言問題が起き「毎週、朝日新聞内では自然発生的に社員集会が開かれ、社長の吊るし上げをおこなっていた」という。

 「現在の安倍内閣は、朝日新聞を潰そうとしているが、潰れてなるものかと思っている」「安倍さんは、ここのところ『積極的平和主義』という言葉を使い戦争をしようとしている不思議な人」と、現在の安倍政権の姿勢を痛烈に批判した。

 また、「本来の国際的な言葉の概念では、消極的平和は、戦争がないだけの状態を言う。それに対し積極的平和主義とは、様々な社会的な問題をほっておいたらそれが火種となって戦争に発展することを無くしていくこと」と説明した上で、「今、日本での一番の社会的な不安は、原発である」とした。

世界から原発が消えている

 そして伊藤氏は、「世界は、完全に原発をなくしていこう。自然エネルギーに転換していこうというのが大きな流れ」とした上で、ドイツでは37万人が自然エネルギー産業に従事しており、日本の人口比で言えば50万人の新規雇用が創出されると説明した。

 また、スイスでは「原発が経済的に似合わない産業」として、経済界自体が原発に反対しているという。

日本の地熱資源量は2000万kW=原発20基分

 伊藤氏は、「1985年末、ピープルパワーにより誕生したアキノ政権下でのフィルピンは、アジアで初めに原発を使わないと決めた国である。代わりに地熱発電を大々的に導入した」と紹介した。現在、フィリピンはアメリカに次ぐ世界第2位の地熱発電大国である。

 しかし、本来、日本の地熱資源量は2000万kW(原発20基分)もあり、で米国、インドネシアに次いで第3位地熱資源量があることが、独立法人産業技術総合研究所より発表されている。

 伊藤氏は、「フィリピンの地熱発電所へ視察に行くと、全ての機械に赤いスリーダイヤ(三菱)のエンブレムがついていた。」と紹介。世界最大の地熱発電のタービンは、日本の富士電機が製造しており、日本企業は世界の7割以上の地熱発電を生み出している。日本には地熱発電に適した国土と世界最高水準の技術が両方ある。

 伊藤氏は、「おそらく三菱なども地熱発電をやりたがっているが、日本政府が国策として原発を推進している以上、なかなか言い出せないのだろう。」という見解を示し、その上で、「なぜ、日本政府が地熱発電を推進せず、原発一本槍を止めないのかははっきりしている。それは、原発を続けるということで、ほんの一部の人が儲かるシステムが確立しているから。被害を受けるのは国民。」と力説した。

地方から変わる日本「環境なくしてメシは食えない」

 伊藤氏は、日本における市民運動について、「ただ反対するだけでは成功しない」とし、「代わりに、◯◯しましょう」という運動は成功すると説明した。

 そして伊藤氏は、風力発電により10年間で自然エネルギーの町へと変貌を遂げた高知県梶原町、上関原発に30年間反対してきた山口県祝島の住民、企業側と市民側の対立を乗り越えて奮闘した水俣市職員などの具体例を次々に交えながら、「日本は地方から変わる」と訴えた。

 上関原発に30年間反対してきた山口県祝島では、中国電力から500人に10億円出すから、原発に賛成するように求められていたという。1割の住民は中国電力になびいたが、9割の住民は今でも反対を貫いている。原発に賛成した住民は、「環境で飯が食えるか」と主張したが、反対派の住民は、「日本の漁民と農民が仕事を止めたら日本の食糧はどうするのか。環境なくしてメシは食えない。」と反論したという。

纐纈 厚 氏(山口大学 副学長)「私たちは、東アジアにどう向きあうのか」

 纐纈氏は講演の冒頭、「集団的自衛権を容認した安倍晋三首相の地元である山口県から参りました」と自己紹介した。

安倍首相が最も尊敬する政治家「岸信介」

 纐纈氏は、「安倍首相が最も尊敬している政治家は、祖父である岸信介である」と説明。その理由として「岸信介こそが、アジアの覇権国家にならんが為に尽力した人物であるから」と解説した。

 岸信介は、事実上、満州国を経営した人物であり、東條英機内閣の重要閣僚であったことから、極東国際軍事裁判ではA級戦犯被疑者として巣鴨プリズンに3年半拘留された。しかし、その後、不起訴のまま無罪放免となり、安保闘争で首相の座を池田勇人に譲るまでの経緯が説明された。

安倍内閣が目指す核保有と自立国家 ~日本が原発を止められない背景とは

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