欧州委員会・聖エジディオ共同体・人権委員会の共催で、「いのちなきところに正義なし2014」と題された日本の死刑制度の問題に関する国際シンポジウムが10月23日に開催された。
欧州委員会・聖エジディオ共同体・人権委員会の共催で、「いのちなきところに正義なし2014」と題された日本の死刑制度の問題に関する国際シンポジウムが10月23日に開催された。
■ハイライト
主催挨拶に立った聖エジディオ共同体のアルベルト・クァットルッチ氏は、「日本の死刑制度の誤りは、袴田事件により浮かび上がった。死刑制度を温存することで、日本が特異な島国となる運命から開放されるために、ヨーロッパと日本の架け橋となりたい」と、今回のシンポジウムの意義を語った。
※2014/04/09 「司法に正義を取り戻すという強い決意と思う」袴田事件再審決定を受けて、袴田氏の姉や弁護士らが記者会見 基調講演の中で、イタリアの下院議員で人権委員会議長のマリオ・マラッツィーティ氏は、「国家が国民を殺すのは、殺人者と同じレベルに落ちることです」と死刑制度を厳しく糾弾。
「死刑は伝統的なもの」という理由から、日本で死刑を支持する意見が多いことに対し、マラッツィーティ氏は、「日本では724年に死刑が廃止された。その後も3世紀に渡り、死刑のない平安時代という時期があった」と反論した。
死刑廃止を推進する議員連盟会長の亀井静香衆議院議員は、「死刑制度は国家の殺人で、恥ずかしいことだ」と述べ、死刑制度廃止へ向けて、仮釈放を認めない終身刑である無重期刑の創設等を主旨とする法案を、「来年の通常国会に提出し、死刑制度廃止の一里塚としたい」と、意気込みを語った。
シンポジウムには、「袴田事件」で死刑確定後に釈放された袴田巌さんと姉の袴田秀子さんも参加し、国会議員時代から死刑制度の問題に取り組む保坂展人世田谷区長と10年ぶりの再会を果たした。