2014年10月15日(水)10時30分から、原子力規制庁庁舎で2014年度第31回規制委員会が行われた。JAEA松浦理事長が機構の集中改革の最終報告を行った。ただし、もんじゅに関してはさらに半年改革を続けるという。
2014年10月15日(水)10時30分から、原子力規制庁庁舎で2014年度第31回規制委員会が行われた。JAEA松浦理事長が機構の集中改革の最終報告を行った。ただし、もんじゅに関してはさらに半年改革を続けるという。
記事目次
■全編動画
JAEA(日本原子力研究開発機構)は、「もんじゅ」の計器の点検を怠るなどの保守管理上の不備や、JPARC施設で放射性物質の漏洩事故などを起こしたことから、機構組織の集中改革に取り組んできた。全般の改革が終了したことから、松浦祥次郎・JAEA理事長が原子力規制委員会に報告するもの。
原子力の安全研究・防災支援について、JAEAは原子力規制委員会と業務を共管している。JAEAはこれら業務を一つの部門にまとめるとともに、中立性・透明性を保つために審議会を設置するなどの改革を行った。ただし、もんじゅに関してはさらに6か月の集中改革を続けることになったという。
田中知委員は、「今後も必要な人員や予算を確保し、改革をしっかり行ってもらいたい」とコメント。
中村佳代子委員は、「原子力防災支援について、緊急時の航空機モニタリングなどについては規制委・規制庁を支援してほしい」とコメント。
田中俊一委員長は、「まだJAEAの能力を出し尽くしているとは思えない」と辛辣なコメントを述べた。
経済産業省は2016年を目途に、電力の小売参入全面自由化を実施し、2018年ごろを目途に料金の自由化、送配電部門の分離を目指している。その検討の中で「原子力事業の在り方」についても、原子力小委員会で検討されている。現在の検討状況について、経済産業省から原子力規制委員会に説明するもの。
電力自由化により、電力事業の地域独占と、総括原価料金規制の撤廃が見込まれる。その結果、長期かつ巨大な投資が必要な原子力発電とその廃炉は、投資の回収が困難になる。このような考えから、原子力小委員会は、事業の継続や廃炉にする場合の判断が困難になると懸念している。さらに、廃棄物の数百年におよぶ管理や、核セキュリティの観点から、国が関与すべきと経産省は考えている。
更田委員は、電力自由化は「国際的にみると半周遅れだ、先行事例は多くあるだろう」とコメント。懸念される廃炉は、「国としても指導、監督してほしい」と意見を述べた。
田中知委員は、「規制委員の中で自分が分担している廃炉、廃棄物の安全規制は重大な問題と認識しており、これから規制の整備をしっかりやっていきたい」とコメント。
田中委員長は、「廃炉も廃棄物もいろいろ問題があるが、経済的には経産省の責任だ」とコメントした。
運転開始後40年を経過する原子炉は、新規制基準への適合性審査に合格していることを前提に、運転延長認可申請に合格しなければ、運転を継続できない。審査には時間を要することから、十分に余裕をもって申請するよう、事業者に文書で指示することを委員会で議論するもの。
更田委員は、「運転開始後40年目で新規制基準に合格していることが前提。しかし、40年目になるから審査を切り上げて合格させるようなことがあってはいけない」とコメント。十分に余裕を持って申請するよう事業者に注意喚起するのは「当然のことだ」とコメントした。
特に異議はなく、示された事務局案通りに指示文書を事業者に発行することが承認された。
緊急時の放射線モニタリング体制を強化するため、原子力施設の立地県にモニタリング対策官事務所を開設する状況を報告するもの。
これまでは、福島県福島市、福井県敦賀市、青森県六ヶ所村の三か所に1名ずつ、計3名の人員を配置していた。今回、茨城、愛媛、鹿児島、佐賀の各県に事務所を新設し、今後、新潟や神奈川、静岡などにも開所する予定が報告された。
中村佳代子委員は、「土地勘が重要になり、平常時の業務経験から異常発生時にすぐに気付く、その技術を伝承していかないといけない」とコメント。
田中委員長は、「これで十分かどうかはやってみてから判断だが、一歩前進した」とコメントした。
■jaikoman氏によるツイート