9月28日(日)15:30から中継した「岩上安身による、福島県知事選へ立候補を表明した元双葉町長・井戸川克隆氏インタビュー」の報告ツイートをまとめました。
岩上安身「注目の県知事選が、間近に迫ってきております。佐藤雄平・現福島県知事の任期満了に伴う福島県知事選が行われます。本日は、立候補を表明された井戸川克隆さんへお話をうかがいます。井戸川さん、目が赤いようにみえますが」。
井戸川克隆氏「疲れ目ですかね。自由にならない。どこで寝ても、完全に安らいで寝るということができません。簡単に言うと、疲れですね」。
※下記インタビュー記事も、ぜひご覧ください!
「避難は3日で完了しても、避難生活は無期限に続く」 ~福島県知事選へ立候補する前双葉町長・井戸川克隆氏に岩上安身が聞く
▲岩上安身のインタビューに答える元双葉町長・井戸川克隆氏
井戸川氏「甲状腺にもしこりがある。細胞診をやっている。あとは、全般的に疲れ。皮膚が鮫肌になってきている。時々鼻血も出る。鼻血はまだコンスタントにでます」。
岩上「比較的遅い立候補表明だったと思います。どうして立候補に至ったのか、思いの変遷をお話しいただけたら、と思います」。 井戸川氏「各候補者が揃うのを待っていた。県知事選が持つ意味はものすごく大きい」。
井戸川氏「世界一の規模で原発事故対応をしなければならない。県民の抱える被曝の問題を代弁できる候補者を待っていたが、どうも県民の悩みにダイレクトに切り込んでいない。そういう危機感から立候補の決意をした」。
井戸川氏「今一番大切なのは、『命』。県民自身が20ミリシーベルト問題をどうするか、100ミリシーベルト問題をどうするのか、議論の場もできていない。この年で出るのかどうか、大いに悩みましたが、このままではダメだと思い、決断した」。
岩上「立候補にかける想い、県民に訴えたいことは」。井戸川氏「福島県民の方は放射能のことを片時も忘れていない。一番やらなければならないことは、『正しく放射能を測定』すること。それで区域を作って、実態はこうなっていますよ、というお知らせ
をすること」。
井戸川氏「福島県外の方が20ミリシーベルトでOKと言っているが、誰一人県民はいいと思っていない。合意形成がされていない。東京など、県外の人間から上から目線で押しつけられている。大至急、これは改めなければいけない」。
井戸川氏「原発事故で、避難から復興に移ったが、その間に大事なものがある。それは『救済』」。岩上「救済の具体的な策はなんでしょうか」。井戸川氏「県外に出たいという方にも県が主体的に面倒をみる。県内に住む方にも、県が支援していく。子どもの保養、疎開など、望まれていることを何のためらいもなく、実行しなければならない。喫緊の課題。『史上最大の避難作戦』を行わなければならない」。
岩上「財源はどこから捻出するんでしょうか」。 井戸川氏「加害者の責任でやってもらいます。私たちが原発事故を起こしたわけではありませんから。『泣き寝入り』は、これからの日本社会において、モデルケースにされてしまう」。
井戸川氏「事故前、原子力安全・保安院の方たちが町長応接室に来た際に、『絶対に放射能は出しません』と豪語された。だから私は許せない」。
岩上「基本政策に則ってお話をいただきたい」。 井戸川氏「まず、放射線管理区域の設定。それを県民の皆さんに知ってもらうこと。これがなされないために、県民に『被害者』という意識がなくなる。県が主体でやる。あとは、請求書を書くだけ」。
岩上「全県民の希望者と、1mSv/y以上の地域にいた人に健康手帳を交付することを掲げていますが」。 井戸川氏「高線量を浴びた人の身分保障というのが語られていない。広島・長崎にならい、県民が不利益にならないよう、健康手帳を発行する」。
井戸川氏「福島医大を改革することも重要。福島医大は、原子力ムラに近い人が名を連ねている。福島医大が県民に対して行っている健康調査の回答者は、20数パーセントしかいない。福島医大が信用されていないことの証左」。
岩上「福島原発で働いている作業員の多くは、福島県内に住んでいる。彼らの健康面についての施策は」。 井戸川氏「本当に貴重で大切な方々。彼らに対するケアを行わなければ、誰が原発の面倒をみるのか。最大の功労者は現場の人たち」。
岩上「原発被害解消委員会の設置を掲げていますが、これはどういうことでしょう」 井戸川氏「県民が困っているのに、放置して良いわけないじゃないですか。全部国が示すということで今までやってきた。県としての解釈を入れないといけない」。
岩上「県が中立的な立場になるのではなく、県民を後押しするというような政策だが、戦略は何かあるのか」。 井戸川氏「県土を汚されて、どうして『中立的な立場』をとることができるのか。その考えは間違っている」。
井戸川氏「交通事故の場合は、加害者と被害者、あるいは保険会社と保険会社で話し合って、ある程度の妥協点で合意する。それから補償。が、今回(の原発事故)は、賠償のかたちも曖昧。自分の被害を申告しないこと自体が損害」。
岩上「あと2年で仮設住宅から出られるようにする、ということも掲げておられます」。 井戸川氏「傷んで住めるような状態ではないところもたくさんある。仮設住宅に慣れると、筋肉、意欲の低下などが起きる。公営住宅などを利用し、希望者には出てもらう」。
岩上「汚染された土を持て余している。県土にある放射性物質を片づけさせることを掲げているが、具体的にはどうするのか」。 井戸川氏「断りもなく放出させてきたものを置き続けるというのは、道理が通りません。加害者と協議して、限りなくなくす方向にする」。
井戸川氏「↑事故前に語られていたことは、事故が起きた時は、オフサイトセンターを中心に、町も入り、県も入り、協議していく体制をとるということ。ところが、私たち(双葉町)はここに参加したことがない」。(画像はこちら )
井戸川氏「↑これは、3月15日5時35分以降の、福島原発事故の管理体制図」。岩上「町にはFAXがやってくるだけですね」。 井戸川氏「町が一連のプロセスに組み込まれていない。このことを県が主導して言うべきなのだが入れられないまま進められてきた」。
井戸川氏「なぜこの状態を放置したのか、ということについて、福島県知事に公開質問状を出している。9月末日までの期限で、尋ねている。脱原発よりも、こういう実態を知っていただきたい。当時の町長として、これを許すわけにはいかない」。
岩上「情報公開の徹底も掲げておられます」。 井戸川氏「行政だけで処理していい事故ではない。住民も多大な被害をうけている。住民参加、県民参加、というかたちで情報公開をしていく」。
岩上「今、話題になっている吉田調書。朝日が袋叩きにあっているが、根本は、政府が調書を公開しないからではないか。国民にとっても、被害当事者にとっても、共有の財産であり、公開されなくてはならないと思うのですが、この点はいかがでしょう
井戸川氏「公務員法の中に、『著しく国民に不利益をかけることはできない』とある。調書を公開しないことは、国民に対する背任行為。丁寧な合意形成を県民とはかるために、様々な委員会をつくって、話し合いの場を増やすことをしていきたい」。
岩上「『平和と希望、未来の福島をつくる』という前向きなことも掲げておられる。これはどういういことか」。 井戸川氏「県民が県民として生きていかれるような体制をつくる必要がある。それが『100年計画』」。
岩上「公約には入っていないが、TPPも大きな問題。井戸川さんはどのようなお考えか」。 井戸川氏「企業は人なり。人がついていかない企業は存続できない。福島県の農作物が大変なことになる。それでも頑張らせるのかといった時に、私は頑張らせたくない」。
井戸川氏「だから、福島県の農業者には、太陽光ばかりではなく、福島県の地形にあった様々な発電事業に関わってもらいたい」。 岩上「再生可能エネルギーの可能性は探るが、太陽光発電は、福島県では合わないとお感じになっているということか」。
井戸川氏「地形には合わない、ということ。冬の浜通りは日照が良いが、中通り、会津の方は雪が降る。地域性を考慮したものでないと、ペイができない。イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも考慮しなければならない」。
岩上「公約には入っていないが、TPPも大きな問題。生業が奪われる可能性のあるTPP。農業、畜産、漁業などの延命可能性についてはどのようにお考えか」。 井戸川氏「これは福島県だけの話ではない。国民目線で取り組んでいかなければならない話」。
井戸川氏「TPPというものを深くはわかりませんが、経済競争の垣根がなくなってしまうということ。だったら逆にTPPを理解して、戦略を立てる必要がある」。 岩上「TPPは秘密交渉ですから、逆手に取るためにも、内実がわからなければどうしようもな
岩上「ヨーロッパでも、米国との間で、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の議論が続けられている。TPPと同じ。ヨーロッパ内でも反対の声があがっている」。
岩上「『福島県に自然再生エネルギー電力会社をつくる』というのはどういうことか」。 井戸川氏「県民が食える職場環境をつくっていくということ。第三セクターになるのか、県営になるのか、民間になるのかは、検討委員会で議論していく」。
岩上「放射性物質税を導入することを検討しているようだが、これはどういうことか」。 井戸川氏「放射性物質が置いてあるということに、税金をかける、というもの。完璧な除染ができればいいのだが、残された場所には、こういうものが必要」。
岩上「再稼働の問題についてはどのような認識か」。井戸川氏「反対している方に呼びかけているのは、損害を受けさせられようとしているのなら、それを拒みなさい、ということ。さらに、再稼働同意者に、損害賠償を請求する告知をすることを薦めてい
岩上「昨日、御嶽山が噴火したが、全く予知ができなかった。警報も何も出せなかった。これについてどのようにお考えか」。井戸川氏「自然には逆らえないと思います。原発事故に限って言えば、スリーマイルもチェルノブイリも福島も『人災』」。
井戸川氏「政府が避難計画を現場に投げてしまった。エネ庁が介入してつくるといっていたが、避難というのは大体3日あれば完了する。『避難』しか考えていないが、『避難生活』には終わりがない。国の避難『生活』計画がないといけない」。
岩上「有権者に訴えたいことは」。井戸川氏「今、県民の皆さんが置かれている立場というのは、『被害者』である、ということ。私は欲得なく、現状の問題を提起する。有権者の方たちに感じていただきたい」。
岩上「同じような志を持った候補者がいるような気がするが、一本化できなかったのか、という声もあがるかもしれません」。 井戸川氏「そういう声は聞きます。が、『結集すればいい』という考えが慣例化すると、違った意見が出にくくなる」。
井戸川氏「『脱原発』は、既に終わっている。その後の対策が重点課題。単に『結集する』というようなものだけであれば、私はいけないと思う。『これは譲れないな』という部分で、先に出られた方は答えを濁していた。違いがあった」。
井戸川氏「現路線を引き継ぐと、時間をおけばおくほど、仕事量が増えていく。後々に、ものすごい量の荷物が増えることになる。現路線を引き継ぐ『危険さ』というものもあると思う」。
以上で「岩上安身による元双葉町長・井戸川克隆氏インタビュー」の報告は終了です。
岩上安身による、福島県知事選へ立候補を表明した元双葉町長・井戸川克隆氏インタビュー(報告ツイートまとめ) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/172843 … @iwakamiyasumi
県民の避難や疎開を訴え、財源は?の問いに「加害者の責任でやってもらう」と井戸川氏。これぞ民意だ。
https://twitter.com/55kurosuke/status/517651474365427713