「役所の怠惰」に市民ら怒り ~被曝労働を巡り省庁交渉。福島第一原発作業員の安全な労働環境を求め、追及3時間 2014.7.10

記事公開日:2014.7.13取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 「連続13日間の就業強制。休憩時間がないため労働者は失禁。まるで奴隷労働。労働条件の改善を申し入れたら不当解雇だ」──。

 2014年7月10日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で、労働問題を考える市民グループの交渉団が「被ばく労働に関する関係省庁交渉」を行い、福島第一原発の収束作業現場での被曝労働を巡って、厚労省、文科省、経産省、原子力規制庁などの担当者と激しくやり合った。

 約3時間にも及んだ交渉は、事前に市民団体が関係省庁の大臣らに送った要請書に、当該省庁の担当者が代わる代わる答える形で進行した。しかし、歯切れの悪い答弁の連続に苛立った市民らからは、「もっと明確に答えてほしい」などと不満が続出。違法労働の実態把握が不十分な厚労省の答弁に、怒声が飛ぶ場面も見られた。

■ハイライト

  • 参加省庁 厚労省、文科省、経産省、原子力規制委員会ほか
  • 参加団体 ヒバク反対キャンペーン、原水爆禁止日本国民会議、特定非営利法人アジア太平洋資料センター(PARC)、福島原発事故緊急会議被爆労働問題プロジェクト、全国労働安全衛生センター連絡会議、原子力資料情報室

 放射線障害の労災認定について、「年度別、疾病別、労基署別の認定件数と累積被ばく線量、作業内容などに関する情報を公開してほしい」との市民側の求めを、厚労省の担当者は「年度別、疾病別に関するものは公開中だが、それ以外については、特定の個人が識別される恐れがあるため、公開は困難だ」との言葉ではねのけた。

 納得のいかない市民らは、「個人が識別されないように、公開する情報の範囲を狭めるやり方が考えられる」と返し、「アスベストの問題でもそうだったが、『どういった現場で、どういった作業を行った労働者にリスクがあるか』という認識が、世間に広まることに意義がある」と畳み掛けた。しかし担当者は、「個人に関する情報の公開は難しい」と重ねて強調。その後は両者の押し問答となった。

労働者保護の観点から法整備は急務

 緊急作業時の法整備と組織態勢のあり方などについて、市民団体は「緊急作業に従事する者の要件や、緊急時被ばく線量限度などに関する法律を整備してほしい」と要求している。この日は市民から、「法整備に向けての具体的なスケジュールを示してほしい」という補足の要望もあった。現場の指揮官による労働者への無理強いを防ぐためにも、法整備は急務だ、との主張である。

 これに対する原子力規制庁の担当者の回答は、「関係省庁や国際機関と調整を進めていく必要があると思っている。具体的な部分はまだ決まっていない」というもの。市民側は、国がようやく法整備に前向きになったことを評価しつつも、「そんな悠長なことが許される状況ではない」と批判を口にした。

死亡事故から3ヵ月経過しても「調査中」

 福島第一原発の事故収束現場では、極めて危険な環境の中で、労働者たちが汗をかいて作業をしていることは周知の事実。今年3月28日には、ハツリ(構造物を人力で壊す作業)の現場で、作業員がコンクリートと土砂の下敷きとなって死亡する事故が起きている。

 震災後、最初の死亡災害になるこの一件について、交渉団は「東電、元請事業者及び下請事業者に対して行った監督指導及び処分等の内容を明らかにしてほしい」と要求していた。だが、厚労省の担当者は「現在、所轄の労働基準監督署が調査中だ。指導の有無や指導の中身については、個別の事業所に関する情報なので控える」と回答するのみだった。

 納得できない市民らは、「収束作業中のフクイチで起きた、初めての死亡事故だ。世間が注目している。どこかの段階で、調査結果を発表してくれるのか」「処分が決まれば発表できるはず。すでに事故から3ヵ月が経過している。さっさと処分を下し、その内容を明らかにすべきだ」などと反発したが、担当者は、その求めに応じることはなかった。

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