「戦争をさせない1000人委員会」は7月3日、安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定して以降、初となる集会を開いた。講師として招かれた東京大学教授の高橋哲哉氏は、安倍政権について「私たちは今、戦後日本で最低最悪の政権に向き合っている」と痛烈に批判した。
(IWJ・原佑介)
「戦争をさせない1000人委員会」は7月3日、安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定して以降、初となる集会を開いた。講師として招かれた東京大学教授の高橋哲哉氏は、安倍政権について「私たちは今、戦後日本で最低最悪の政権に向き合っている」と痛烈に批判した。
■ハイライト
高橋氏は、「安倍政権が今回やったことは、まさにクーデターに類すること」と述べ、「集団的自衛権は、憲法9条のもとでは行使できない。歴代政権が憲法の尊重、擁護義務のもとで認めてきた解釈を一内閣、一総理の恣意で変えてしまう。これが許されて、実際に法が改正され、集団的自衛権が行使されれば、まさにクーデターとしか言えない」と指摘した。
さらに、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使が許されるのであれば、「基本的人権の尊重」「主権在民」などといった憲法の原則も解釈で変更できることになる、と危機感をあらわし、「これはナチスが全権委任法を作り、ワイマール憲法を無力化した時のやり方だ」と批判した。
「安倍政権が憲法を超え、権力を行使すれば憲法が無効化してしまう。総理、閣僚、行政権のトップなどが縛られているはずの憲法を無効化し、自分たちの都合のいいようにする。こんな政権がかつてあったか。そういう意味で安倍政権は最低最悪の政権で、本来は即刻退陣していただかなければいけない」。
「政治のモラルハザードが進んでいる」と高橋氏は続け、「それを私がつくづく感じたのは、福島原発事故後、民主党政権はそれでも脱原発に向けた政策をとろうとした。しかし今はどうか」と話す。
「福島第一原発では、今もいつ何が起きるかわからない。被災者は依然として苦難の中にいる。にも関わらず、原発は増設も見据えて推進されようとしている。IOC総会では、福島原発に問題はない、汚染水は完全にブロックされている、放射能の問題はない、と世界に嘘を付いてオリンピックを誘致した」。
福島県出身の高橋氏は、「本当に怒りを感じた」と胸のうちを明かす。
その上で、沖縄の民意を無視して進む辺野古新基地建設も、「自分たちの都合のいいように進める」安倍政権のモラルハザードである、と指摘する。
「政治はこの国に生きている人のためにある。しかし安倍政権は支配層のために政治をやっているとしか思えない。利益のためには、福島の、沖縄の、そして集団的自衛権によって生じる犠牲を無視していく。今の政治は、道義的に退廃している」。
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