6月17日、解釈改憲の閣議決定に反対する集会が日比谷野外音楽堂で開かれていた最中、首相官邸前では「ファシズム許すな! 安倍政権打倒首相官邸前抗議」が行われた。呼びかけ団体は、「怒りのドラムデモ」。反原発運動やヘイトデモでカウンター抗議を続けてきた有志の集まりだ。安倍政権打倒をうたった抗議は過去に2度、新宿で行なったが、官邸前では今回が初となる。
集まった参加者の数は約2000人。2時間の間スピーチはほとんど聞かれず、参加者はドラム隊のリズムに合わせ、一心に「憲法変えるな」、「安倍はやめろ」の怒号をあげ続けた。
年齢層と人数で怒りを表現
「日曜日に急遽企画した」
そう語ったのは、呼びかけ人である「怒りのドラムデモ」の井手実さんだ。日比谷野音での集会後、参加者が国会に向けて請願デモを行なうことを知り、慌てて企画したという。
「怒りのドラムデモ」の特徴は、参加者の年齢層が若いこと。井手さんはそれについて、「日比谷の集会は年配の方が多い。こちらは若い人を集めて年齢層に幅を持たせて、みんなが怒っているという絵を作りたかった」と話す。
日比谷野音に集まった人数は、主催者発表で5000人。集会後、参加者は国会請願デモと銀座デモの二手に別れた。午後8時頃、請願デモの隊列が官邸近くに到着すると、「怒りのドラムデモ」に連動し、数千人のコールが官邸に向けて一斉に響き渡った。
午後4時から行なわれた日比谷野音での集会の様子は、こちらの記事で詳しく伝えている。
首相会見での親子のパネル「気持ち悪い」
4歳の子どもを連れ、世田谷区から参加していた母親は、安倍首相が5月15日の記者会見で見せたパネルに言及した。
「母が子どもを抱いている絵を使って、国民を騙そうとする根性が、気持ち悪くて仕方ない。早く辞めてもらいたい。戦争が起こってしまうことが一番怖い。保育園に通っている子どもたちは、どの子もかわいい。命を犠牲にしてほしくないし、命を奪う人にもなってほしくない」
迫る閣議決定までの期日
「いつか、官邸前の抗議に参加したいと思っていた」
たまたま大阪から上京していたという30歳の男性は、「将来、子どもや孫に、『一番大事な時に何をやっていたんだ』と聞かれた時、『何もやってなかった』とは言えない」と、官邸前に駆けつけた理由を話した。
渋谷区から参加した、34歳の塾講師という男性は、若い世代に向けてメッセージを寄せた。
「学校で教わる憲法や政治の授業は、大切なことがいっぱいつまっている。それを意識しなくてよかったこれまでは、平和な時代だった。これからは、ひとりひとりが声をあげないといけない。選挙権を持たない世代もデモに参加はできる。みんなで声をあげていきましょう」
今国会の会期末は6月22日。集団的自衛権行使容認の閣議決定が囁かれている20日の午前8時からは、閣議の時間に合わせ、「戦争をさせない1000人委員会」が議員会館前で抗議を予定している。
安倍政権打倒の包囲網
「これから、もっとすごいことになるのでは」