2013年12月、神奈川県・横浜市・川崎市は、国家戦略特区に指定された。東京都では9区のみが指定されたが、神奈川県は全域が国家戦略特区となった。いま、神奈川県知事は、国家戦略特区を活用して、ヘルスケアに関するイノベーションを起こそうとしている。6月5日、神奈川県の黒岩祐治知事は、会見で、神奈川県の「ヘルスケア・ニューフロンティア」の取り組みを説明した。
黒岩知事は、神奈川県が新しいヘルスケアのモデルを作ると語る。そのモデルの柱となるのが、先進的な医療テクノロジーの導入と、「未病」の治療である。「未病」とは、健康な状態と病気の状態の中間のことを意味する。まだ病気になっていない状態をケアし、病気にならないようにしようというのが、「未病」の治療だ。
黒岩知事は、健康な食生活や日常的な運動によって、ライフスタイルを改善することが必要であると主張する。2015年には「未病」をテーマにしたグローバル・サミットを箱根で開催する予定だ。
県民の健康状態をモニタリングするための技術を導入するほか、個々人の健康状態のデータをクラウド上で蓄積・管理する予定だという。また、身体の不自由な人を援助するロボットなど、ヘルスケア・ロボットの開発も行う。
このヘルスケア・イノベーションを進めるために、日本の企業や大学のみならず、シンガポールやアメリカの医療大学とも協力体制を作っていくという。また、ヘルスケア部門での新しい国際的人材を育てるために、日本やアメリカの大学と協力して、医学教育機関を新設することを検討している。
黒岩知事は、このヘルスケア・イノベーションを国家戦略特区という枠組みのなかで推進させていこうと考えている。黒岩知事によると、特区に指定されたことを神奈川県民は皆喜んでいて、「一枚岩になってやっていこうとしている」という。
「国家戦略特区は、岩盤規制を破るドリルの役目を期待されています。なるべく反対のないように努力しますが、最後の岩盤にぶちあたったときは、固い意志を持って突き破るよう努力します」。黒岩知事は、決意をこのように語った。