2013年6月28日(金)14時30分から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。厚生労働省が、子宮頸がんワクチンの接種の呼びかけを中止するよう、自治体に勧告した点について問われた黒岩知事は「ワクチンを受ける人、家族からすれば、どうすればよいかわからないと思う。国が定期接種といいながら、『積極的に接種を進めることは市町村としては止めます』と言われ、大混乱しているのが現状」と苦言を呈した。
(IWJテキストスタッフ・小山内/澤邉)
特集 子宮頸がんワクチン
2013年6月28日(金)14時30分から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。厚生労働省が、子宮頸がんワクチンの接種の呼びかけを中止するよう、自治体に勧告した点について問われた黒岩知事は「ワクチンを受ける人、家族からすれば、どうすればよいかわからないと思う。国が定期接種といいながら、『積極的に接種を進めることは市町村としては止めます』と言われ、大混乱しているのが現状」と苦言を呈した。
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最初に、黒岩知事は、「いのち全開宣言」で掲げた「健康寿命日本一」の目標を目指して、楽しみながら「医食農同源」を学び、実践してもらうイベントを開催すると発表した。地場野菜を使用したレシピの試食などを行う「医食農同源PRイベント」、実演を交えた食育講演会などを行う「かながわ食育フェスタ」を開くという。
次に、活気のある商店街にしようという意欲の高い商店街を選定して、集中的に支援する「地域商業ブランド確立総合支援事業」に13事業を採択したことを報告した。これらの事業に対して神奈川県は、総事業費の3分の1以内の助成や、地域ブランドづくりを助言するアドバイザー(中小企業診断士など)を派遣する。
質疑応答に入り、神奈川県内の平成24年の自殺統計が1800人前後(平成19~23年)から1600人台に減少したことへの見解を求められると、「ちょっと減っただけで、安堵できる数字ではないと思う。数字としてはまだまだ多い。しかし、少しでもいい方向に向かったことは評価したい。みんなで頑張れば自殺者を減らせるのだということを、もう一回確認しながら、施策をさらに進めていきたい」と話した。
続いて、子宮頸がんワクチンについて厚生労働省が接種の推奨を中止した件で、国の判断に関して意見を問われると、「私もかつて厚生労働省の予防接種部会にいた中で、いろいろな問題点を当時から指摘していた」と前置きした上で、「ワクチン行政の根本的な問題がまた見えたのかと思っている。いま副反応の事故が、かなりの数起きている。何人に接種をして、これだけの副反応事故が起きたという情報だけを知らされても、なかなか判断できない」と指摘した。
そして、ワクチンの予防接種部会で、専門家からサーベイランス体制が十分ではないという議論があったことに触れ、「今回のこともひとつの契機にしながら、サーベイランス体制の充実、情報の透明性を高めるといったことをぜひ行ってほしい」と訴えた。
そこで、記者が「厚労省の検討会は全体像を把握するようなシステムをつくりたいが、いろいろな壁があってできないということか」と問いただすと、黒岩知事は「厚労省の検討会だけの話ではなくて、日本の医療の在り方そのものにわたる問題。神奈川県で、マイカルテから始めて、医療情報の電子化を進めていこうとしているのは、まさにそういったことを将来的にはつくっていきたいということ」と語った。
岩手県の被災地の漁網受け入れに、一定の目処がついたことに対して感想を求められると、「南足柄市と箱根町で、がれき処理、漁網の受け入れを含んだ補正予算が通ったことは、受け入れに向けて大きな前進となったので、心から感謝したい」と口にした。また、「現在、県議会でも補正予算案を審議しているところで、ここで認めてもらえたらゴーということになる。その場合は、速やかに洋野町と委託契約を結び、さらに南足柄市、箱根町と再委託契約をする。その上で、放射能濃度、有害物質測定業務などの発注という具体的な作業を進めていきたい」と明かした。
「神奈川県の住宅供給公社が民営化の方針を断念した経営計画を出しているが、その判断に関してどのように考えているか」という質問には、「公社側からはその流れについて、ある種の限界を感じたということだったと思う」と話した。その一方で、「それは公社側からの意見であって、県全体でどう捉えて考えるかは、しっかりと精査していきたい。その上で方針を決定したい」と述べた。
それを受けた記者が「公社側の出している考えについて、現状ではどちら側に向いているか」と投げかけると、黒岩知事は「どちら側に向いているということでもない。こういう思いを持っているのかと、しっかり受け止めている状況」との認識を示した。