子宮頸がんワクチンの副反応被害について、一般論で言葉を濁した黒岩神奈川県知事 2013.10.25

記事公開日:2013.10.25取材地: テキスト
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(IWJ・ぎぎまき)

 県庁内で行われた黒岩祐治神奈川県知事の定例記者会見で25日、IWJは子宮頸がんワクチンの副反応被害について質問。神奈川県でも被害者が出ていることから、今後の対応を尋ねると知事は、「被害が出てワクチンを打たなければ、沢山の人が病気にかかって亡くなるかもしれない」と、副反応の問題は根深く、接種の是非の判断は難しいという認識を改めて示した。しかし、知事のこの発言にはごまかしがある。

■全編動画

  • 日時 2013年10月25日(金)
  • 場所 神奈川県庁(神奈川県横浜市)

「推進派ばかりを集めたわけではない、問題はない」

 副反応被害が相次いでいることを受け、厚生労働省は6月、子宮頸がんワクチンの「積極的な接種勧奨を一時中止する」ことを決定。その後、知事は予防接種に関して広く議論するため、「神奈川県予防接種研究会」を設置したが、子宮頸がんワクチン被害者らは、この研究会の委員のメンバーがほとんどワクチンの推進派ではないかと指摘し、委員の選定の仕方や議論の中立性を疑問視している。これについて黒岩知事は、「推進派ばかりを集めたわけではないと認識している。(議論や選定の仕方に)問題はない」と明言した。

 回答の中で黒岩知事は、「ワクチンを打つと副反応の事故が起き、場合によっては深刻なこともあり得る。100万人が打って1人が亡くなる可能性があるが、100万人に打たなければ、1000人が病気にかかって亡くなるかもしれない。判断は非常に難しい」とも述べているが、これは論点のすり替えである。知事はワクチンの一般論で話を矮小化し、子宮頸がんワクチンの副反応被害については発言を避けた。

副反応被害、3736人に1人

 厚労省によれば、3月31日までに子宮頸がんワクチンを接種したのは推定328万人。その中で副反応の報告は1968件にのぼり、内、重篤と判断されたケースは878件で、データによれば被害の確率は3736人に1人と他のワクチンより高い割合だ。学習障害やけいれんなど、日常生活に支障をきたすような神経症状も出ており、通学が困難になった被害者もいる。国が接種勧奨を一時中止しているとはいえ、今日も定期接種は継続されており、知事は、予防接種研究会の見解を待ってから今後の対応を検討するというが、その間に被害者の数が増える可能性は否定できない。同研究会の議論のテーマやスケジュールについて県は、「行政主導はしていない」といい、いつ見解がまとめられるかも未定だ。

 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会は、被害の実情を報告するため知事との面会を希望しているが、それについて黒岩知事は「そういう話は聞いていない。申し出があった時に考える」と回答した。

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