「これ以上、このような被害を拡大してほしくない」。ワクチン接種で被害を受けた少女たちと保護者らは、後遺症に苦しむ現状を切々と訴えた──。
2013年8月23日(金)、東京都千代田区の厚生労働省で、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が、田村憲久厚生労働大臣と初めて面会した。子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種で、副作用の現れた患者8人を含めた27人が、国の子宮頸がんワクチン接種事業を完全に中止することなどを求めて、田村大臣に要望書を手渡した。その後の記者会見では、被害者たちが自らの症状や、つらい心情などを語り、被害防止と原因究明、被害者救済を求めた。子宮頸がんワクチンは、2009年12月より2013年3月末までに、330万人弱の女性が任意接種を受け、880件近くの重篤な副作用被害が報告されている。
冒頭、連絡会の事務局から「田村大臣にワクチンによる被害の現状を説明し、迅速な対応を求めて要望書を手渡した。要望書の内容は、『HPVワクチン予防接種の速やかな中止と、予防接種法を再改正し、26年度の定期接種の対象からはずすこと。けいれん、激痛、脳神経症状などの速やかな治療方法の確立。後遺症患者の治療費用の救済。因果関係調査の実施。実際に後遺症の発症者を診査、治療している医師らの審議会や部会への積極的登用』などである」と説明があった。
また、「被害者8人、保護者14人、事務局5名の計27名で、大臣との会見時間は40分ほど。被害者は、東京在住が2名、神奈川県4名、埼玉、群馬から1名ずつ。年齢は14歳から18歳まで。以前、文科省へ陳情した際は取材がオープンだったが、今回は、未成年者や車椅子の患者もいるためか、厚労省側の配慮で非公開になった」と述べた。
質疑応答に移り、「田村大臣は、何か意見を述べたのか」との問いに、事務局メンバーは「世界中で同様な事例があるが、医師が新しいワクチンの後遺症を理解しておらず、『精神科へ行け』という対応が多いことを、田村大臣に伝えた。また、接種して具体的にどうなったかを、当事者たちから伝えた。田村大臣は、けいれんを発症している被害者を見て、圧倒されていた。そして、『しっかりと検討チームを立ち上げ、研究と被害実態を掌握していく』との言葉があった」と報告した。
接種当時、高校生だった被害者は「副作用のために大学進学ができなくなった。最初に症状が現れた時、ワクチンを疑ったが、大きな病院などを回っても『違う』と言われ続けた。しかし、被害者の会を知り、(ワクチンの副作用だという)確信を持つことができた。接種しないと、がんになる可能性があり、接種をして後遺症に苦しむ場合もあるので、なかなか声に出して是非を問えない」と心情を語った。
続けて、「今回、ここに来たのは、他にも苦しんでいるたくさんの人がいて、動けない人もいるので、彼女たちに代わって参加した。少しでも早く治療法が開発され、これ以上、被害者が増えないように手助けができたら、と願っている。田村大臣には、ひとりづつ握手をしてもらい、『苦しいだろうけど、がんばってください』と、ねぎらいの言葉をもらった」と述べた。
また、去年10月頃から症状が出たという高校3年生の被害者は、「とにかく体が痛くて、毎日24時間、痛くない時はない。早く解決策を見つけてほしい」と、泣きながら訴えた。