「絆とか、思いやりという言葉があふれていたはず。どうなってしまったのか」 〜第30回 ロックの会 2014.4.9

記事公開日:2014.4.10取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2014年4月9日、東京都渋谷区代官山のカフェラウンジ UNICE(ユナイス)で、「第30回 ロックの会」が開催された。今回のオーガナイザーは、8bitNews主宰の堀潤氏。女優の松田美由紀氏、映画監督の岩井俊二氏、映画『遺言 原発さえなければ』の豊田直巳監督、モーションギャラリー代表取締役の大高健志氏、映画『ゼウスの法廷』の原作者、森田義男氏、ジャーナリストの蜂谷祥子氏、鹿児島大学特任講師の萩原豪氏、双葉町町民の大沼勇治氏らが入れ替わり登場。震災と原発事故から3年が経過した現状や、冤罪を生む司法の実態、日本のメディアがあまり伝えない台湾の学生運動などについて意見を交わした。

 『遺言 原発さえなければ』の豊田監督は、「震災や原発の映画は動員がよくない。どこが上映するんだ、誰も見ないぞ、とさんざん言われたが、上映すると人が詰めかけた。3時間45分の上映時間を『長いとは感じなかった』という感想をもらった」と話した。

 台湾学生デモについて、「サービス貿易協定の強行採決に、学生たちが抗議したのが立法院占拠」と萩原氏が説明。堀氏は「台湾のマスメディアにも中国資本がかなり入っているので、情報制限を受けている」と補足した。岩井氏は「東京国際映画祭で、台湾の俳優の扱いに中国からクレームが入り、日本側はその圧力に負けてしまったことがある」などと、映画界での台中関係を語った。

■ハイライト

  • 日時 2014年4月9日(水) 20:00~
  • 場所 代官山 カフェラウンジ UNICE(ユナイス)

映画監督の仕事を知らぬまま、映画を作る

 8bitNews主宰で元NHKアナウンサーの堀潤氏と、松田美由紀氏の進行で始まった。まず、『遺言 原発さえなければ』の豊田直巳監督と、クラウドファンディングを運営する大高健志氏が登壇した。途中からは、岩井俊二監督も加わった。

 豊田氏は「自分はフォト・ジャーナリストで、イラク戦争やチェルノブイリなどを取材していた。今回、映画監督の仕事を知らぬまま、今に至った」と自己紹介をした。大高氏は「東京芸術大学映画科で学んでいたが、映画を上映するための環境の悪さを実感し、新しい仕組みを作った」と話した。

 会場で『遺言 原発さえなければ』の予告編を上映したのち、堀氏が、豊田氏に映画を作った経緯を尋ねた。豊田氏は「福島第一原発の事故発災当時、大手メディアの社員たちは規則で現地に入れなかったので、フリーの自分が代わりに被災地を取材していた。その間に、残っていた住民たちとの人間関係が密になっていき、記録し続けるしかないと思った」と答えた。

タイトルは、自死した酪農家の言葉

 堀氏が、映画のタイトルの意味を訊くと、豊田氏は「被災地の酪農家で、自殺された菅野重清さんが、縊死した場所にチョークで書き残していた言葉。別の酪農家の取材中、彼の訃報が飛び込んできて、その場に駆けつけた。これは、彼が私たちに問いかける遺言なのだろうと思い、タイトルに使わせてもらった。当人や遺族の思いを伝えることも、ジャーナリストの責任だと思う」と述べた。

 岩井氏は「震災から3年、日本のムードは変わりつつある。最初から、原発事故の風化は起こると言われていたが、事故が起きた現実すら認めたくない力が強くなり、とても違和感がある。3年前は、絆とか思いやりという言葉があふれていたはずだ。今も苦しんでいる人たちがいるのに、直視しない。どうなってしまったのか」と疑問を呈した。

 豊田氏も「この映画を公開する際に、私もそういう空気を感じた」と述べて、次のように語った。「どこの映画館が上映するんだ、誰も見ないぞ、と酷評された。しかし、フタをあけてみると、毎回、定員オーバーで、映画を見られない人たちが外にあふれかえるほどの反響だった。それを見ると、原発の再稼働に舵を切り、右傾化するこの国と、個人の心との乖離を感じざるを得ない」。

 そして、映画の最後に登場した飯舘村の酪農家の青年が、場所を移して新しく酪農を始めたことに触れて、「希望の兆しではあるが、以前は牧草だった牛の餌は、すべて金のかかる輸入飼料になった。これでTPPが締結されたら、やっていけないだろう」と話した。

裁判官の実態を描く『ゼウスの法廷』

 次に、映画『ゼウスの法廷』の原作者、森田義男氏が登壇した。この映画は、判事が自分の元婚約者を裁くという裁判劇が描かれている。森田氏は「恋愛ものだが、実は、裁判官のいい加減さを知ってもらうために作った」と話す。

 税理士、不動産鑑定士である森田氏は、「仕事柄、行政訴訟を行なうことがあるが、すべて負ける。裁判所は、役所を勝たせるための組織なのだ。たとえば、伊方原発訴訟。裁判官が珍しくまともで、原告が勝ちそうになったら、急に人事異動となり、行政べったりの後任者が来た。日本では、起訴されると有罪率は99.9%。冤罪が山ほどある理由は、起訴さえすれば、裁判官が有罪にするからだ。裁判官が歯止めにならなければ、日本はよくならないと考え、その実態を描いた」と語った。

中国の経済力に飲み込まれ、台湾海峡の覇権にも影響

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