STAP論文問題、理研「最終報告」に記者陣不満 ~全容見えぬ結果で「小保方会見」待望論高まる 2014.4.1

記事公開日:2014.4.1取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」論文疑惑の問題で、渦中の人・小保方晴子氏がユニットリーダーとして働く理化学研究所は、4月1日、都内で記者会見を開いた。

 午前中は、調査委員会が最終報告を行い、主たる研究者の小保方氏が「捏造」にあたる不正行為を行ったと認定した。

 これを受け、午後の会見では、野依良治理事長が「科学社会の信頼性を損なう事態を引き起こし、お詫びする」と低頭。論文取り下げを勧告する方針を示すとともに、懲戒委員会で不正関係者の処分を検討すると言及した。

 先月14日の中間報告から約2週間という、予想以上の急展開だが、この論文疑惑と理研の対応については、理解の混乱が生じやすい面が複数あるので改めて整理しておきたい。

 まず、今回の報告は、論文の不正疑惑に最終的に答えるものとはいえ、インターネット上で指摘されている、すべての疑問点を網羅するものではない。中間報告では、画像や記述で6つの疑問点が対象であると示されており、そのうちの2つについては、不正がなかったことを、すでに認定済みだ。

 この最終報告は、残る4つに関するもので、特に注目されたのは、STAP細胞に万能性があることの証拠となる画像が、小保方氏が2011年に書いた博士論文に使われた画像と酷似している点。博士論文中の画像は違うテーマのものであり、調査委員会は最終報告で、その画像がSTAP論文に使い回されたと結論づけた。「データの信頼性を根本から壊す危険性を知りつつ、流用したと考えざるを得ない」とし、小保方氏による「捏造」を認定した。

 ただし、この不正認定をもって、STAP細胞のでっち上げを断定することはできない。というのも、不正が認定されたといっても、それは論文作成上の、いわば「事務手続き的な不正」を指しているためで、理研は中間報告に続き、今回も「STAP細胞の有無の判断は、改めて(時間をかけた)科学的探索が必要で、それは今回のミッションを超える」と力説している。

 もっとも、このような限定的な解明では、世間は納得しないのも事実。ある記者は「これで最終報告というのであれば、『理研は身内をかばっている』『トカゲの尻尾切りをやろうとしている』という穿った見方が、今後も出てきてしまう」と声を荒げた。

 小保方氏は示された認定に対し、近日中に不服を申し立てる意向だという。世間が強く求める小保方氏の記者会見が、実現する可能性が高まったわけだが、不服の中心にあるのは、STAP細胞の存在を固く信じる彼女の思いなのだろうか。研究者生命を失いたくない一心の申し立てなら、早晩窮地に立つことになるだろう。

記事目次

■ハイライト

  • 10:30〜12:00 調査委員会による調査報告に関する会見
    石井俊輔氏(研究論文の疑義に関する調査委員会委員長、理化学研究所 石井分子遺伝学研究室 上席研究員)、川合眞紀理事(調査委員会委員、研究担当)、米倉実理事(調査委員会委員、コンプライアンス担当)
  • 13:00〜15:00 理化学研究所 会見
    野依良治理事長、川合眞紀理事、米倉実理事、竹市雅俊氏(発生・再生科学総合研究センター長)、石井俊輔氏
  • 日時 2014年4月1日(火) 10:30~
  • 場所 KFCホール(東京都墨田区)

 記者会見は、午前と午後の2部構成。午前は理研が行った、STAP論文疑惑に関する調査の最終報告で、調査委員会のメンバーである石井俊輔氏(理研上席研究員、調査委員会委員長)、岩間厚志氏(千葉大大学院教授)、古関明彦氏(理研グループディレクター)、真貝洋一氏(理研主任研究員)、田賀哲也氏(東京医科歯科大副学長)、渡辺惇氏(弁護士)、理研の川合眞紀理事(研究担当)、米倉実理事(コンプライアンス担当)が出席した。

 調査対象にした6つの疑問点のうち、1. STAP細胞の画像のゆがみ、2. 2つの胎盤画像の酷似性──の2点については、ミスであり不正ではないと、3月14日の中間報告で示されている。今回は残る、3. 実験画像の切り貼りの可能性、4. 実験方法記述の盗用可能性、5. 書かれている実験方法が実際の手順と違う、6. 博士論文からの画像使い回しの可能性──の4点についての調査結果の報告だ。

 まず、4. と5. については「不正なし」と示された。石井委員長は、4. について、「小保方氏からは『出典の記載を忘れた』との説明があった」とした上で、「研究の世界ではあってはならないことだが、合計で41ヵ所ある引用で、残りの40ヵ所については出典が明記されている。加えて(問題の引用部分に当該する)実験手法が一般的であるため、研究不正行為と認定することはできない」と説明した。5. については、「意図的に実際と異なる実験手順を記載したわけではなく、明らかな過失である」とした。

画像流用では小保方氏の言い分を認めず

 3. については、「小保方氏は『切り貼りが禁止されていることを知らなかった』と説明しているが、結果をきれいに見せたい目的で加工されているため、『改ざん』を行ったと認定した」とし、残りの3人の調査対象者(理研の笹井芳樹副センター長と丹羽仁史プロジェクトリーダー、山梨大の若山照彦教授)に関しては、「改ざんされた画像を、その事実を知らされないまま渡されており、共同研究者として稀なほどの疑いを持って見ない限り、不正を見抜くことはできない」と述べ、不正なしと伝えた。

 最後の6. は、STAP細胞の万能性を立証する画像に関する疑惑で、これが「捏造」と認定された。石井委員長は、2月20日のヒアリングの時点で、小保方氏から「画像を間違って使ったので差し替えたい」との申し出があったことを紹介した上で、不正認定の理由を、次のように語った。

 「20日の申し出では、その間違って使った画像が(早大大学院時代の)博士論文に使われた画像であり、(STAP実験とは)明らかに条件が異なる点については示されなかった。小保方氏は『条件の違いを十分に認識せずに、間違って使った』と説明したが、その説明に納得するのは困難だった」。

 小保方氏は「STAP細胞の存在の証拠となる画像が存在する」と主張しているが、調査委員会は、小保方氏の研究ノートが3年間で2冊しかなく、しかも記載内容が、実験の日付が記されていないなど、ずさんであるため、STAP細胞の存在を科学的に追跡するのは難しいとしている。

 さらに説明するなら、たとえ小保方氏の主張通り、真正の画像が存在していたにせよ、博士論文の画像を使い回したという不正の事実は消えない。よって、『ネイチャー』誌に掲載されたSTAP論文は「不正論文」である──というのが調査委員会の立場である。

証拠保全に甘さ目立つ

 画像使い回しの件で、石井委員長は、若山教授と笹井副センター長について、「若山氏は、小保方氏が客員研究員として在籍した研究所の主宰者であり、小保方氏のデータ管理には注意を払うことが求められていた」「笹井氏は、小保方氏の論文執筆を実質的に指導する立場だった」と語り、「両氏は捏造には関与していないが、注意不足という過失により、このような不正を許すことになったと判断した。シニア研究者として、その責任は重大である」と断じた。丹羽プロジェクトリーダーについては、論文作成の途中からの参加ということで「不正は認められなかった」とした。

 記者から「不正は、小保方氏が単独でやったことになるのか」と問われると、石井委員長は「研究不正行為は小保方氏だけ」と言明。小保方氏の3年間の研究ノートが2冊だけということについては、「これまで数10人の若い研究者を指導してきたが、(このような研究ノートのあり方は)断片的な記載内容を含め、経験したことがない」と話した。

 別の記者が、ノートの提出日が、論文疑惑の指摘が相次いだ2月中旬以降から、かなり時間が経過した3月19日だったことに鑑み、「ノートが2冊しかないというのは(小保方氏が)破棄したためではないのか」と質問すると、真貝氏が「われわれに渡されたノートは2冊。本当に2冊しかないのか、完全には把握していない」と答弁した。証拠保全としてのパソコンの扱いについては、石井委員長が「小保方氏は、理研の備品ではない私物のパソコンを使っていたため、任意でデータ提出をお願いした」と回答した。

 午前の会見では、これら以外にも、理研の調査姿勢を問う質問が多数あった。ネット上では、もっと多くの疑問点が指摘されているのに、調査が6点に限られたことについては、渡辺氏が「調査期間をどこまで延ばすかの問題。通常では150日間とされており、疑問点を全部調べていたら、その期間では賄い切れない」と強調した。

野依氏「倫理教育を根本から考えなおす」

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