大雪から6日たった2014年2月20日木曜日の深夜、山梨県大月市畑倉に住む、30代の相馬梢さんに話を聞いた。
積雪量が多かった大月市は、JR大月駅で車両が立ち往生。約600人の乗客が車両内や駅待合室などで3泊を過ごし、運転再開を待つほどの雪害が出た。
梢さんは夫と二人暮らし。前回の2月8日の雪では、自分と同じ背丈の雪だるまを作るなど、「雪遊び」を楽しんだというが、14日の2回目の雪はさすがにそれどころではなかった。屋根に積もった雪の重みで、家がみしみしと音を立てたという。
(IWJ ぎぎまき)
大雪から6日たった2014年2月20日木曜日の深夜、山梨県大月市畑倉に住む、30代の相馬梢さんに話を聞いた。
積雪量が多かった大月市は、JR大月駅で車両が立ち往生。約600人の乗客が車両内や駅待合室などで3泊を過ごし、運転再開を待つほどの雪害が出た。
梢さんは夫と二人暮らし。前回の2月8日の雪では、自分と同じ背丈の雪だるまを作るなど、「雪遊び」を楽しんだというが、14日の2回目の雪はさすがにそれどころではなかった。屋根に積もった雪の重みで、家がみしみしと音を立てたという。
畑倉地区には、自分の両親と同じ年代のご年配の住民が多い。30代の若夫婦は有力な除雪作業隊として大活躍することに。国道まで続く市道約300メートルを覆った雪を、丸1日をかけてかいた。高齢の住民はすでに、8日に降った雪の除雪作業で疲れ、さらなる大雪はもはや「お手上げ状態」。
除雪の甲斐あって、大雪から5日目、ようやく外に出ることができた。食料も底をついていたため、梢さん夫婦は四駆車でスーパーへ買い出しに向かった。二人には今すぐにでも食料を届けたい人たちがいた。大月市七保町瀬戸地区に住む、夫の両親である。瀬戸地区とは、自分たちが住む畑倉よりさらに深く山の中を進んだ集落である。今回の大雪によって、外の世界から完全に孤立しており、救急車両も入れない状態だった。
買い物が終わった後、食料を持って、梢さん夫婦は瀬戸地区へ向かった。除雪されていない道にさしかかると、途中で車を乗り捨てて、歩いていくしかない。約2時間をかけて雪道を登った。
梢さんのツィート:旦那の実家まで食料を届けにくる途中雪崩が2箇所あり道もこんな状態で2時間位かかって到着しました。とても車が走れません。
実家に届けたのは、うどんやインスタントラーメンを中心にパン、お肉、缶詰めや瓶詰など。まさか徒歩で届けてくれるなんて思ってはいなかったと、両親は大変驚いていたという。
瀬戸地区は高齢世帯ばかりだ。一人暮らしの高齢者も少なくない。17日、ドクターヘリが透析が必要なひとり暮らしの高齢者を、病院へ急患輸送した事態も発生。梢さんはその様子を写真を添付してツィートしている。
梢さんツィート:拡散希望山梨県大月市瀬戸地域にドクターヘリが来た事態に…雪かき道具は壊れて…食料もスーパーにも行けず底をつきました。歩いて買いにいこうにもスーパー、コンビニ等に品物がない状態。陸の孤島状態。
その他にも、後輩の自宅の風呂場も雪崩によって全滅した。
梢さんツィート:山梨県大月市賑岡町地域雪崩でお風呂場全滅。街中の除雪は遅れつつも進んでいるようですがすでに5日目。未だに車が使えずスーパー等にも行けず行っても品物がない状態。食料もつきました。ニュースでやっているよりもひどい状態です。防災放送なりっぱなしです。
「インターネット上では『4日ぶりに家に帰った』とか『家に帰れない』とか、そういう声が流れてきたのに、テレビや新聞ではオリンピックのことばかり。大月市のこともあまり知られていなかった。対処も遅かった。『本当はこういう状況だよ』ということを知ってもらいたかった」
梢さんは不慣れなツィッターやFacebookを使って、知り合いや友人から被害の状況を写した写真を送ってもらい、代理でツィートした。リツィートされる回数は多かったというが、それが具体的にどんな効果があったのかは、自分ではまったく分からなかった。
しかし、梢さんは「やらなくて後悔するよりも、やってみて後悔した方がいい」と、困っている人の手伝いが少しでもできればという想いで、情報を発信し続けた。
梢さんは、冷静にこうも分析する。
「『我先に』という行動が散見されて、それは残念でしたね。東日本大震災の教訓があったにも関わらず、それを活かせていない。スーパーでの買い占めもそうですが、立入り禁止区域にまで一般車両が入り、除雪が遅れるという事態も発生しています。『除雪が遅れるので、出ないで下さい』と町内放送もありました。
個人のモラルの問題だと思いますが、今は除雪を最優先して、完全に除雪が終わって物流が戻るまで、みんなで意識しないと。会社もそういう意識で休職にするなど、率先して対応して欲しい」
2月21日の午後、ようやく瀬戸地区の通行止めは解除された。夜通し地元の建設業者が重機で除雪作業にあたり、孤立状態が解消されたのだ。
だが、これは終わりではない。車一台分がようやく通れる程度の道幅が確保されただけで、いつ雪崩でまた道が塞がるか分からない。屋根に積もった雪も落とさなければ、いつ落雪するか分からない、危険な状況が続く。普通の暮らしを取り戻すまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
現在、大雪被害の大きかった各地では除雪のボランティアを募集しているので、こちらのURLを紹介させていただきたい。http://bit.ly/NgpPJQ
梢さんツィート:溶けてきて圧雪が屋根からおち物干し台がこんなにも簡単に曲がる。
今回の雪は本当に大変でしたね。
私は東京で自分の身の回りを片付ける程度で何もできませんでしたが、まずは、被害を受けた方々へお見舞いを申し上げます。また、除雪他、現地での災害対処に従事さなっている方々の献身にも感謝いたしております。
昨年、学会で山梨の甲州市勝沼ぶどうの丘でお世話になりました。
JR中央線勝沼ぶどう郷駅から見渡した、ブドウ棚が連なる起伏に富んだ美しい景色が忘れられません。
あのブドウ畑も大きな被害を受けたのでしょうか。
山梨大学の方々にも大変お世話になり、どうなさっているのか心配しているのですが、一番大変な時期にお見舞いを申し上げるのもいかがなものかと事態が少し落ち着くのを待っておりました。
今回のレポートで、相馬梢さんが「個人のモラルの問題」を取り上げていらっしゃいましたが、それは、各自治体と国の初動の悪さが起因となっている様に思っています。
災害が起これば不安が増してパニックが起こるのは当たり前の事で、それをどうコントロールするのか…が危機管理というものでしょう。平常時でしたら心に余裕がありますから、地域の人々がお互いに協力しあって生活していることと思います。しかし、その状況が分断され破壊される事が災害なのだと思います。危機が訪れた時にまず重要な事は、正確な情報をいかに迅速に広範囲に伝えられるか…だと思います。
自分が置かれている状況や何が起こっているのか、どんな対策を打っているのか…等の情報があれば、各自、自分の状況がいつ、どんな形で好転するのか…の予測がたちます。人間は予測が立てば一旦はおちつくものです。
人々の心が荒まない方向へ配慮する事が一番の災害対処であるはずなのに、今回は安倍首相はじめ山梨県、東京都、埼玉県他被災地域のトップの判断と行動があまりにも鈍かった。この事は大変大きな責任問題だと思っています。また、トップがいち早く姿を現し先頭に立って陣頭指揮を執る事は人々の気持ちを一つにし、災害に立ち向かうイメージを確立する上で大変重要な事だと思います。こういう時こそヒーローのイメージを楽に印象づける事ができるのに、皆さん失敗しましたね。元石原都知事はこのイメージ作りが上手だったので、他に多くの問題があっても都民はシブシブ我慢していたのです。「頼りになる」がトップの条件ですが、今回は皆さん卑怯者に落ち着きました。
今回の雪は確かに想定外だったかもしれませんが、危機は常に想定外だからこそ危機。
雪でこの対処しかできないのであれば、関東および東南海トラフの大地震が来て、東海再処理施設、東海第二、浜岡、伊方原発を直撃、当然の事ながら震源地からたいして遠くは無い福井県の敦賀、もんじゅ、美浜、大飯、高浜原発が大きな被害を受ける。その時、いったいどうなるのでしょうか?(逃げ場なし…暗澹…。)
実は、私は今までツイッターなるものを数度しか使った事が無かったのですが、IWJやソーシャルメディアへ次々とあがって来る情報を見ていて、今回はツイッターが有効であると思い、微力ながら私なりに情報提供や拡散のお手伝いをさせていただきました。ソーシャルメディアの中で約三日間続いた猛烈なやり取りの間、テレビとラジオは全くと言っていいほど何も報じませんでした。その落差の中に身を置きながら、私は次第になんとも言えない恐怖感にとらわれて行きました。そして、その事はこの数日、形になって表れてきていると思います。
国と自治体のトップ達に思考能力・判断能力が無いという大変な危機を私達は迎えています。
この危機をなんとか乗り越えなくてはなりませんね。
本来は武器となるマスメディアもヘタっているので私達は私達の新しい戦い方を作り上げるタイミングを迎えているのだと思っています。
被災地の方々、続けて情報を送って下さいませ。その事によって私達もお力になれると思います。
PS.
情報発信の空白地帯こそが一番深刻な被害を受けている。
アメリカでは災害対策の常識だそうです。
情報源を可視化する事で空白地帯を見つけ出す。
そういうMapを作れると良いのですが….。