【IWJブログ】関東甲信越を襲った未曾有の雪害 現場からの声をレポート(第三弾:埼玉編) 2014.2.20

記事公開日:2014.2.20 テキスト
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(取材:佐々木隼也・芹沢あんず・ゆさこうこ、文責:岩上安身)

 埼玉県では大雪に見舞われた14日金曜日から、交通網が遮断され、17日時点でも山あいの秩父市や飯能市など県内7つの市や町で1400世帯が孤立状態に陥った。

埼玉県の各地の被害の様子

 秩父市野坂町でパン屋を営む山田さんによると、大雪に関する情報収集にはインターネットを利用し、「ツイッターなどが一番よく状況が分かった」と言う。交通網に支障をきたしたため、商品のパンを3日間も発送できない状況が続いた。「秩父では通常はこれほど雪が降ることがないため、市には除雪車がありません。今回、除雪を行う際、民間の土建業者などが使用しているブルドーザーを動かしましたが、そのブルドーザーが道路に入れなかったりしたので、大変でした」。

 埼玉県北部で農業を営むAさんによると、雪でパイプハウスや鉄筋ハウスが倒壊し、農作物が壊滅状態になってしまったという。

▲ビニールハウスが倒壊(埼玉県北部の農家の方撮影)

▲ビニールハウスが倒壊(埼玉県北部の農家の方撮影)

 また、ツイッターで、埼玉県坂戸市の保育園が15日の雪で倒壊したという情報がよせられた。添付された写真を見ると、凄まじい倒れ方をしたことが分かる。幸いけが人は出なかったという。

 @pfmamimatsu さんによると、「3・11の地面から揺さぶられる揺れにはびくともしなかったのですが…。長年子どもたちを見守って来た保育園のグランドピアノも下敷きになってしまいました」という。

▲埼玉県坂戸市の保育園が15日土曜日の雪で崩壊

▲埼玉県坂戸市の保育園が15日土曜日の雪で崩壊

県は秩父市の自衛隊要請を拒否

 このような状況にもかかわらず、埼玉県では現在(19日)でも「災害対策本部」が設置されていない。埼玉県の消防防災課に事情をきくと、「県としてではなく、秩父市や寄居町など5市町で個別に『災害対策本部』を設置した」と説明する。県としての対策本部が必要なのではないか、というIWJ記者の問いに対し、担当者は「災害対策本部『的』な機能は敷いている。14日から待機体制に入り、情報収集に努めている」などと回答した。

 あえて対策本部を設置する必要ないほど、県の危機管理機能が発揮されていた、ということなのだろうか。しかし、県の災害対策が十分に機能していたとは言い難い事実が次々明らかになってきている。

 98cmの記録的な積雪量となった秩父市では、15日土曜日から交通網がストップし、市内では車が立ち往生し、一部の倉庫などが積雪のため倒壊するなど被害が相次いだ。多くの集落が孤立状態に陥り、雪崩避難のためにトンネル内で取り残されるケースもあった。

 事態を重くみた秩父市の久喜邦康市長は、埼玉県に対して自衛隊派遣を15日土曜日から17日月曜日にかけて再三要請したが、なんと県は全て断っていたという。この事実を久喜市長は自身のブログで17日に報告している。

 「自衛隊派遣を再三埼玉県へ要請しましたが、断られました。県からは、緊急の場合はヘリ輸送で対応し、国・県道の除雪は埼玉県土整備事務所で行うとの回答でした」

 さらに17日にも、秩父市は、その周辺の市や町とともに再度、県に対し文書で自衛隊の派遣要請を求めたが、県は、「自衛隊との協議の結果、機材の不足を理由に断られた」などとして、この要請も退けている。

 秩父市が被害をことさら大げさに言い立てているのではないか、という向きもあるかもしれない。だが、自衛隊の派遣を要請するほどの大雪ではないという埼玉県の判断は正しかったのかといえば、そうではない。

 結局のところ、埼玉県は17日の夕方、自衛隊に災害派遣を要請したのである。NHKの18日火曜日付の記事によると、埼玉県の上田知事は「当初は人命救助が必要な、緊急かつ切迫した状況に至っていないと判断した。大雪から3日目になり、切迫した危険性の可能性が高まったと判断した時点で自衛隊への要請をした」などと、まったく頓珍漢な弁明をしている。

 上田知事はどこに目をつけているのだろう。あの大雪が14日金曜日から17日月曜日夕方まで、まる三日間も目に入らなかったのだろうか。耳はどこについているのか。助けを求める悲痛な叫びは聞こえなかったのだろうか。

 前出の秩父在住の山田さんはこうコメントしている。

 「知事の判断は甘かったと思います。雪は1日目でだいぶ降りました。結局、自衛隊の派遣は、要請から2日遅れたわけですよね。その間、完全孤立の人が非常に多かった。病気の人もいるかもしれませんよね。自衛隊派遣要請を断ったのは、想像力の欠如だと思います」。

 さらには、ハフィントンポストの記事によると、埼玉県の消防防災課の担当者は、「秩父市長からの要請を断ったという事実は把握してない」というコメントをしている。担当者が状況を把握していないということ自体、緊急時において必要なコミュニケーションに問題があったことを露呈しているのではないだろうか。

災害のさなか、上田知事は何をしていたか

 上田知事には、災害に対する危機意識、各市町村の被害把握、救援要請への適切な検討、そのどれもが欠如していたと言わざるを得ない。

 それだけでも知事としての適格性が疑われるが、事はそれだけではすまない。雪害で秩父市が悲鳴をあげていたとき、自衛隊の派遣の要請を一蹴しながら、上田知事は何をしていたか。

 なんと、「クイズ王決定戦」に出ていたのである。

 16日日曜日、上田知事は、埼玉県にまつわる知識を競う「第2回埼玉クイズ王決定戦」の決勝戦に出席。県職員らで構成する「SKT48」チームが優勝したことを受け、「出来過ぎじゃないかと心配しています」などと表彰式で挨拶していた。

 16日といえば、秩父市長が再三にわたって自衛隊の出動要請を行なっていたまさにそのさなかである。さらに、今回「SKT48」チームが優勝したのは、前回大会優勝の「チームクロちゃん」が雪の影響でメンバーがそろわず棄権するというアクシデントの結果、ころがりこんできたものなのである。クイズ大会に参加して夢中になっていたとしても、県内でどんな事態になっているか理解しえたはずだ。

 前出のNHKの記事の中で秩父市長は、「知事には、現地に来て情報を収集したうえで、地上の除雪作業にも理解を示し、対応をして欲しかった」と悔しさをにじませている。これでも控えめな表現だろう。

 県内で、自衛隊の出動を何度も要請するほど危機的な状況にある地域が存在するなかで、そのSOSを真剣に取り合わず、呑気にクイズ大会に出席する知事が、県の危機管理を監督する立場に相応しいのか、甚だ疑問である。

 無能ぶりをさらけ出した上田知事とは、いったいどんな人物なのか。

上田知事とはどのような人物か

(…会員ページにつづく)

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