規制委が東電の調査に苦言、現状に不満も~第41回原子力規制委員会 2014.2.5

記事公開日:2014.2.5取材地: テキスト動画
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 2014年2月5日10時30分より、第41回原子力規制委員会が開催された。東京電力福島第一原発4号機燃料取り出し作業現場の空間線量を、規制庁が調査したことが報告された。委員からは、こうした作業環境の安全確保のための調査は、「本来なら東京電力がきちんと調査すべきことだ」と苦言が呈された。

■全編動画

議題 1 原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会の設置について

 「すみやかに設置に進みたい」。田中俊一委員長がそう考えている原子炉安全専門審査会(以下、炉安審)および核燃料安全専門審査会(以下、燃安審)の検討に関して、第39回委員会の議論を踏まえ、設置の主旨、審議事項、手続き、人選などについて、事務方がまとめた案をもとに議論が進められた。

 大島賢三委員が、「審査会全体の性格付け、位置付けを表す表現があったほうがいい、”必要に応じ、指示を受けた事項に関する助言”という主旨文からでは、委員会から指示があった時にしか仕事をしないと取られないか」、とコメントした。これを受けて更田豊志委員は、「指示があってから助言か、自ら考えて助言か、という性格付けになる」と述べ、田中委員長は「審査会の性格を変えることになる」と発言した。

 大島委員は、念頭に米国ACRSの組織構成があり、それに沿った意見を出すと、田中委員長は「審査会の性格を変えるので文面を変えるのは良くない」と反論。一方、更田委員は、どちらでもあまり変わらないでしょうと両者の意見に釘を刺すなど、文章表現についての議論が続いた。

 「立ち上げを遅らせる意図はない。私の問題意識として記しておいてほしい」。大島委員がそう提案すると、田中委員長は、審査会立ち上げ後でも、委員会で議論すれば変更できることを事務方に確認し、特に変更はしないことで決着した。

 その後、審査会委員の人選については、事務方で少し検討し、表現を多少手直しするよう指示して、全体として了承された。

議題 2 志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合について

 北陸電力志賀原発の敷地内破砕帯調査について、現地調査・評価等を行う有識者の人選、調査スケジュールについて、報告された。

 2013年12月19日に北陸電力から受取った、最終調査結果報告書を受け、学識経験者等4名を選定、島崎邦彦委員を加えた5名で有識者会合を構成し、2014年2月14日に事前会合、2月22日から23日にかけて現地調査を行う予定である。

議題 3 東京電力福島第一原子力発電所への対応状況について

 福島第一原発の状況について、定期的に委員会に報告しているもので、前回2013年12月4日の報告から2カ月ぶりの報告が行われた。4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し、その作業環境の空間線量調査結果、汚染水対策など、12月4日以降の項目が報告された。

 4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し作業現場の空間線量について、規制庁側が独自に調査、線量分布や線源について考察結果が報告された。「これは、本来なら東京電力がきちんと調査すべきことだ」と、更田委員は苦言を呈し、規制庁の仕事をねぎらうとともに、「何もしなければ規制庁が調べてくれると取られるのは困ったものだ」とさらに釘を刺した。

 田中委員長は、「4号機の燃料取り出しは、まだ先が長い」と述べ、緊張感を持って東電を指導するよう事務方に指示を出した。さらに、汚染水についても「廃炉が完了するまで続く問題だ」と述べ、どのように対策していくのか、道筋をきちんと示すような指導をするよう指示した。

 2013年10月、田中委員長は東電の廣瀬直己社長と面談した際、作業環境を良くするように進言している。しかし、「機会があればまた申し上げることもある」と現状に不満な声を漏らした。

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