「放射能が検出されなかった結果を積み上げることが大事」 〜杉原宏喜氏(おのみち測定依頼所)講演会 2014.1.25

記事公開日:2014.1.25取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 「核のゴミの後始末の責任を、子ども達の世代に丸投げしている」──。

 2014年1月25日、京都市左京区岩倉のNONベクレル食堂で「杉原宏喜氏(おのみち測定依頼所)講演会『これからの放射能汚染 ~市民が測ることの意味~』」が行われた。杉原氏は、市民測定所の取り組み事例を紹介しながら、市民たちが自主的に放射能汚染値を測定することの必要性を語った。

■全編動画 1/2 ※音ズレがあります。ご了承ください。

■全編動画 2/2 ※音ズレがあります。ご了承ください。

  • 話 杉原宏喜氏(おのみち測定依頼所)

測定することで、汚染問題を考えるきっかけに

 はじめに、福島第一原発事故以降、公的機関によって、東北、関東圏で食品の放射能測定が行われている一方、西日本ではあまり測定されていない現状を説明した杉原氏は、食品中の放射性セシウム値がわからないままの状態を放置する危険性を述べ、各地の市民測定所の動き、その重要性について語った。

 続いて、測定の目的を、無色透明の核のゴミである放射性物質を「見える化」し、汚染食品流入、産地偽装の蔓延を防ぐためであるとし、「生産者、流通者、販売者が、今回の汚染の問題を考える結果にもなる。測定すれば、問題ははっきりする」と述べた。

責任をもって食の安全性を説明するための「意識と知識」

 次に、外食産業が流通業に強く依存していること、自主測定をしている業者がごくわずかであることを指摘。子や孫の代にまで、責任をもって安全性を説明するために、「意識をもって、知識を得る」姿勢や、測定データを蓄積していく必要性を語り、経済至上主義の社会を疑問視した。

 その上で、各地域の測定所の取り組み事例を紹介しながら、「測定によって、『汚染食品を使わせない』という納入者に対するアピールになる。汚染を探すのが目的ではなく、検出されなかった、という結果を積み上げることが大事である」と述べた。また、行政の担当者が測定した値については、誤測定の可能性まで含めた検証が必要であり、データに疑問を持つことも重要であるとした。

 今後の放射能汚染については、福島で事故処理中のものが西日本にまで流れて、ホットスポットが発生する可能性について触れ、汚染水問題については、「半減期の長いストロンチウムを基準として、測定することが望ましい」とした。海に流れた汚染水を取り込んだ魚などを、非汚染地域の人々が外食によって無意識に取り込み続けることへの影響を危惧し、「『食べて応援』と言われているが、セシウムやストロンチウムは核のゴミである。そういった『ゴミを食べている』という意識がないのではないか。放射性物質を含んだ食材は、流通によって、西日本にも広く薄く拡散している」と指摘した。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

■お買い求めはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です