「秘密保護法は、今国会で廃止に持ち込む」民主党・海江田万里氏 ~特定秘密保護法廃止フォーラム 2014.1.21

記事公開日:2014.1.20取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 「特定秘密保護法が施行されるまでに、何としてでも、抜本的見直しを求めなければならない」──。

 2014年1月21日、東京・永田町の憲政記念館講堂において、民主党主催の「特定秘密保護法廃止フォーラム『国民の知る権利』と『報道の自由』を守ろう!」が行われた。民主党の海江田万里代表は、昨年12月、与党による強引な国会運営の末に成立した特定秘密保護法について、「このまま施行させるわけにはいかない」として、1月24日からの国会で抜本的見直しを求め、廃止に持ち込む決意を表明した。

■ハイライト

  • 司会 泉健太 民主党国民運動委員長(秘密保護法対策本部事務局長)/主催者あいさつ 海江田万里 民主党代表(秘密保護法対策本部本部長)
  • パネルディスカッション 「特定秘密法の問題点と廃止にむけて」
    コーディネーター 福山哲郎 民主党対策本部副本部長
    パネリスト 三木由希子氏(情報公開クリアリングハウス理事長)、江藤洋一氏(日弁連秘密保全法制対策本部本部長代行)、矢木孝幸氏(電機連合書記次長)、日比野敏陽氏(日本新聞労働組合連合中央執行委員長)、後藤祐一氏(民主党対策本部事務局次長)
  • 日時 2014年1月21日(火) 18:30~
  • 場所 憲政記念館(東京都千代田区)
  • 主催 民主党

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法案審議中から、国民の知る権利を侵害する発言

 はじめに、民主党代表の海江田万里氏は、特定秘密保護法に対する国民の声を無視し続け、強行採決に次ぐ強行採決を重ねた自民党の姿勢を問題視。「改めて、自民党の暴挙に対して、怒りを表明するとともに、秘密保護法が施行されるまでに、何としてでも抜本的見直しを求めなければならない」と述べ、「保護するべき秘密と、国民の知る権利のバランスが重要である」とした。

 パネルディスカッションでコーディネーターを務めた福山哲郎参議院議員は、「この法律は、出来が非常に悪い」と断じた上で、法案の審議中から、国民の知る権利、報道の自由を侵すような発言が、自民党幹部から飛び出していたことを明かし、この法律が恣意的に運用される危険性が非常に高いことなどを指摘した。

特定秘密保護法は「ブレーキのついていない自転車」

 続いて、後藤祐一衆議院議員は「特定秘密保護法は、ブレーキのついていない自転車である」とし、知る権利、報道の自由と、保護すべき秘密のバランスをとるための第三者機関が存在していない点、特定秘密の定義の曖昧さを指摘した。「自民党案では、歴史の検証すらできなくなる。もっとも重要な点は、第三者機関としての委員会を法律で設置し、権限を持たせることである」とし、次のように述べた。

 「民主党案は、秘密の保護を最小限に絞った上で、一方で、情報公開も進めていく立場である。広い視野に立って、行政情報の管理を徹底するためには、議事録を残し、それを勝手に破棄することを禁じる公文書管理法が必要であり、情報公開法の改正案、開示対象の拡大などの対案も出している」。

 また、海外視察の報告をする中で、役所間の情報共有が前提となっているアメリカの実態を紹介し、日本において、縦割り行政が前提としてある限り、アメリカの仕組みを輸入しても、この法律を上手く運用できないとした。

政府が、どれだけ開かれているかが重要

 NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子氏は、防衛機密を公文書管理法の枠外に置き、秘密を秘密のまま破棄してきた霞ヶ関の文化を問題視し、「政府が秘密を持つということは、裏を返すと、政府が秘密を持つことを前提として、説明責任を徹底させる仕組みが必要である。いかに、政府が開かれたものであるかが重要であり、それを裏付ける制度を整えることが必要だ。民主党が、情報公開の仕組みを対案として出したことは、非常に重要なメッセージである」と述べた。

 日弁連秘密保全法制対策本部の本部長代行を務める江藤洋一氏は、「アメリカでは、知る権利を最重視した上で、その例外として秘密もありうる、という認識が前提としてあるが、自民党案では、行政の裁量により、どこまでも秘密が広がり、歯止めが効かなくなる可能性がある。国民主権原理に根ざした国でありながら、国権の最高機関である国会のコントロールが及ばない、という点に問題がある」と述べた。また、戦前の治安維持法を例に挙げ、特定秘密保護法が、市民に対して威嚇効果を与える可能性についても言及した。

秘密保護法施行で、密約の温床に?

 日本新聞労働組合連合執行委員長の日比野敏陽氏は、この法律が、報道の現場において萎縮効果を及ぼす危険性を挙げ、「秘密保護法が成立してから、取材現場では、これまで当たり前に取得できていた情報すらも、手にすることが困難になってきた。この法律は、仕組みとして、初めて探知罪を盛り込んだ点においても、歴史的転換点となる。歴史の検証に耐える仕組みでない限り、廃止にするべきである」と語った。

 電機連合書記次長を務める矢木孝幸氏は、民間で働く人々への影響として、適正評価によって、職業上の危機を迎える可能性、意図的な口封じのために、公権力が民間を萎縮させる可能性が高い点を問題とした。また、質疑応答では、秘密保護法が密約の温床になる可能性についても語られた。

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