第五回原子力改革監視委員会 2013.12.2

記事公開日:2013.12.2取材地: テキスト動画
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 2013年12月2日13時より、東京電力本店で第五回原子力改革監視委員会が開かれた。冒頭の委員挨拶で、燃料取出し、作業環境の改善、柏崎刈羽の再起動検討など非常に良いことだ、しかし、改革のスピードがまだ遅いと苦言を呈した。

■冒頭あいさつ

■ぶら下がり

  • 議題
     1,福島第一原子力発電所の廃炉にかかる状況について
     2,原子力安全改革プランの進捗について
  • 出席者
     デール・クライン委員長(元米国原子力規制委員会委員長)
     バーバラ・ジャッジ副委員長(英国原子力公社名誉会長)
     櫻井正史委員(元国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員)
     下河邉和彦委員(東京電力取締役会長)
     鈴木一弘事務局長(国際原子力エネルギー協力フレームワーク燃料供給WG共同議長)
  • 日時 2013年12月2日(月)
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

冒頭あいさつ

 7月26日開催の第四回以来4カ月ぶりに開催された。冒頭挨拶箇所と、委員会終了後のぶらさがりのみ取材が許可された。

 デールクライン委員長は、3つの大きな進捗があり、大変いいことだとして「福島第一4号機の燃料取出し」「安全文化の醸成」「コミュニケーションのの改善」を挙げた。更に、柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準審査の開始は、原子力委規制庁が再起動を検討している事だととらえ、心強く思っていると述べた。

 バーバラジャッジ副委員長は、原子力安全監視室が設置されたのは良いことだが、原子力安全への改革のスピードが期待したほどではないと苦言。気まずいことでもチャレンジの精神をもって対応するよう則した。

 櫻井委員は、安全文化のみならず、社会の目線、地元住民等の目線という立場での説明責任が重要だ、もう一度、原点に戻れと述べた。

 作業者の報酬改善、食事や職場環境の改善はいいことだが、廃炉に向け長丁場になるため、執務環境やだけではなく、作業者、社員のオフ時の生活環境の改善も重要だと述べた。

 対する廣瀬社長は、未だ多くの課題が残っているが、夏頃に比べてトラブルも少し減っており、この大事な期間に先を予見して準備して行きたいと述べた。

ぶら下がり

 7月の委員会では、汚染水漏洩が迅速に広報されなかったのが問題だった、とクライン委員長は述べた。水問題について、これまでの所は非常に安全に環境が保たれていると評価、4号機燃料取出し作業も安全文化が浸透しつつある見ていることを述べた。

 ジャッジ副委員長は安全文化とコミュニケーションのカルチャーが浸透すれば、最終的な、原子炉の廃炉という到達点に到達できるという考えを示した。

 柏崎刈羽原発の安全審査について、再起動に必要な充分な準備が整っているということを証明するのが東京電力の役割だとクライン委員長が指摘。廣瀬社長は、中越沖地震を経験し充分なデータを持っていると自負。ただし最終的に判断するのは規制側なので、それはしっかり受け止めて対応するとの考えを示した。

内容要旨(同時通訳の日本語部分のみ)

(冒頭挨拶)

デールクライン委員長:

 みなさんこんにちは。この数カ月、大きな進捗がみられたことは大変うれしく思っております。もちろん、この先の作業も必要ではございますけれども、大きな進歩があったということはいいことだと思います。

 特に、非常に良好な部分が、3つあります。先ず、4号機の使用済燃料の取出し、順調にすすんでいるとのことです。それから、この安全文化に配慮するということで、最初はキャスクのローディングの後に、一旦止めると、ポーズするということで、安全に注意を払っているということです

 それから、規制庁が、柏崎刈羽の再起動についても検討中であるということを伺いまして、心強く思っています。私も数か月前に柏崎刈羽発電所を訪れましたけれども、かつてりもより安全、かつより堅牢であると思っております。

 水処理につきましても、大きな進捗がみられておりますが、この福島第一におきましては、この水の問題は引き続き課題であると思われます。

 福島第一のサイトで一番重要なことは、炉心を引き続き冷却すること、そして、使用済燃料プールの冷却を引き続き行うことです。ここの部分も非常に順調で、原子炉は冷却され、そして使用済燃料プールも安全です。

 次にコミュニケーションですけど、大幅に改善がみられたと思っております。よりオープンかつ透明性が高まっております。

 わたくしから見ますと、そういうわけで、非常に順調に進んでいると思いますけれども、下河辺会長、そして廣瀬社長。引き続きアクセルを踏み続けて頂いて、前向きの前進をお願いしたいところです。

バーバラ・ジャッジ副委員長:

 私も今回再び、日本にくる事が出来てうれしく思っておりますが、前回の会合以降、大きな進歩がみられたということを、私も非常に良いことだと思っております。

 特に、東京電力の中に、原子力安全監視室が設置されたということに注目しております。この原子力安全監視室ですけれでも、現在22人の方が仕事をされておりますけども、その内の何人から東京電力社外からの方、そしてお一人は外国人の方です。

 原子力安全というのは長い時間をかけて醸成していくものです。まだ緒についたばかり。私どもが期待していたほどのスピードで進んでいないということは少し失望しておりますが。例えば、メンバーの中にはより厳しい疑問を呈していくということに躊躇をする向きがあるように思います。やはり、少し気まずいことがあったとしてもチャレンジの精神をもって、建設的なアドバイスをするように仕向けていかなくてはならないと思っております。ですが、それも徐々に始まっていると思っております。

 それからもう一つ、非常に心強く思っておりますのが、福島での作業をしている方に対する給与、報酬、賃金が改善しているということです。食事も改善している、交通手段についても改善がみられ、また、各設備も充実してきていること、また休憩室も改善されているということです。そして携帯電話の利用も改善されているということです。

 こうした、人々の作業環境が、向上するということは、福島の状況にもプラスになるわけですし、東京電力にとっても、また国全体にとってもプラスの材料だと思います。

 ということで幸先のいいスタートを切られたことに、先ず、祝辞を申し上げたいと思います。ただ、この先の道のりは、まだ長いと思います。

櫻井正史委員:

 総論的なことはいま、クライン、ジャッジ両委員が言われたとおりですので、重ねて申し上げることはしませんが、総論的、総体的に申し上げますと、安全文化の醸成、或いはコミュニケーションのあり方、或いは仮想事故時の対応訓練などにつきまして、着実に見られていますことは、会長、社長以下、全社員のご努力のたまものだという風に理解しております。

 少し細部について申し上げますと、現在、御承知の通り使用済燃料の取出しに着手して、廃炉に向けた作業の実質的な第一歩が踏み出され、また一方におきましてはKK、柏崎刈羽の発電所の新基準、新規制基準の適合審査という新しい局面を東京電力としては迎えているなかで、こういう中において、これまでにも増して、安全文化、或いは説明責任というものについて果たす必要が大きいということに、思いをもう一度、原点に戻していただきたいということでございます。

 汚染水問題につきましては、多くの課題が存在しますけども、長期的、抜本的な対応を取るべく、関係期間とも調整、連絡の上、是非ご検討いただきたいと思います。特にこの分野については、多くの人が関心を持っておりますので、広報、説明について、これは、社会の目線、地元住民等の目線という立場を良く踏まえて、対応して頂きたいと思います。

 それから、最近、SC室と意見交換の機会を持たせていただきました。いろんな面での対応や検討が進んでいることが、把握できました。私どもも意見交換を通じまして、更に、SC室の役割の重要性をみなさんにも分かっていただくと共に、一方で、事象が発生した時には、迅速な報告、迅速な公表というものも必要で、SC室の役割と迅速さをどう両立させていくかということに、なお一層、これからご検討いただければありがたいと思っております。

 それから、また、先日、柏崎刈羽の発電所を訪れまして技術面はもとより、ソフト面についても、所長等と意見交換ができました。大変有意義であったと思っております。更に、住民等の係わりの関係で一層のご検討を頂きたいと思います。

 また、柏崎刈羽と本店をつないだ訓練、これについても拝見さしていただきましたが、その結果、得られた、検討課題というのは当然、柏崎刈羽だけではなくて、福島の第一、第二にも当然、大きく寄与するものであろうと思いますので、その辺の活用の仕方についても一層充実をしていただきたいと思います。

 これからも社会の目線というのを常に念頭に置いて、会社はもとより、全職員一体となって安全を確保に努めていただき、これが安全のみならず、安心という言葉につながっていくような、御尽力をいただきたいと思います。

 そこで一点だけ申し上げますと、長丁場でございますので、そこに疲れ、ダレというのも当然でてきます。先ほど、執務環境という話もありましたが、人間、オフの時間の過ごし方も大変重要でありまして、その内の一つがやっぱり、居住環境なんだろうと思います。そのへんについても、直ちに、というにはなかなか困難があるかもしれませんが、長い対応ですので、そのへんのところも御配慮頂いて、いい仕事が、社員ができますように、出来るようにしていただきたいと思っております。

廣瀬直己社長:

 第四回目の改革監視委員会が7月の26日に開催されたので、ちょうど4カ月が過ぎてしまいまして、今回は第五回目、お忙しいところ、お集まり頂きまして、本当にありがとうございます。

 この4ヶ月間振り返ってみますと、実に沢山のことが、この間にありまして、特に、7月8月9月あたりは汚染水の問題、それから、雨水のどうやって我々が対応するかという問題で、かなりこう、我々のミスも多かったですし、それから、また皆さんに社会の皆さんに大変にご心配をおかけするような事象が沢山あったのも事実でございます。

 そうした事で、そうした対応を、本当にかなり、10月11月にかけて、取り組んできたつもりでございます。先ほど来、先生方から、過分な評価を頂いておりますけども、本当にやっと少しですね、落ち着いてきたかなぁというのが11月に入ってからの状況でございます。

 ただ、まだまだやらなければいけないこと沢山ありますし、問題の根本的な問題、例えば、地下水の問題、汚染水、汚染源の問題、等々については全くまだまだ手がついていないのも事実ですし、やっていかなければいけないことは沢山ありますので、また、気を引き締めてですね、是非やっていきたいと思いますし、少し、今、そういう意味では、トラブルも少し減ってきておりますので、この大事な期間に、どのくらい次の事を予見して、準備をしておくかということがとっても大事だと思っていますので、そういう風な事にも少し目を向けていけるような状態になりましたので、この時間をすごく大切に使っていきたいと言う風に思っています

 この4カ月の間にも実にいろんなことがありましたので、今日は、そうした事象についてのご報告と、それらに対する我々の取組み、それから将来に向けてのいくつかの取組みについて、ご報告さして頂いて、委員の先生からの忌憚のないアドバイスなり、ご意見を頂いて、実りある委員会にしていきたいと言う風に思っておりますので、よろしくお願いいたします。

(委員会終了後のぶら下がり部分)

デールクライン委員長:

 本日は、午前中にまず説明を受け、その後、原子力改革監視委員会の会合を2時間に渡り開かせて頂きました。前回7月の終わりにありました監視委員会よりも、前進をしているということで非常に中身の充実した会合となったと思います。今後の課題としましては水処理の問題があると思います。今回、4号機からの燃料の取出し作業が行われていますが、それが非常に安全に配慮した上で、安全に行われているということを、非常に良いと評価しております。

 これからも課題が多いということを認識しておりますけれども、これまでの進捗につきましては大変満足しております。

バーバラ・ジャッジ副委員長:

 私からも一言、この夏以降、東京電力の中に原子力安全監視室が設立されたこと、これを非常に高く評価しております。室長は外国人、イギリスの方で、安全の専門家でいらっしゃいます。この方が、東京電力の中に、世界最高の原子力安全文化を植え付けるということで活動をしています。

 それからもう一つ福島第一の発電所で作業されている方々の作業環境が大幅に改善されたということも評価しております。設備面、それから、交通手段ですとか、給与面、それから、さまざまな作業条件等が、改善されていると、例えば携帯電話を使える状況なども非常に良くなっていると。こうした環境改善するということは、非常に努力を払って作業されてい方々にとっても重要だと思っております。

櫻井正史委員:

 今回の委員会で、従来にも増して、細かく詳細なところに入った報告が得られ、また私共も個別にいろんな意見を申し上げました。私の守備範囲で言いますと、安全、安心という面について、だいぶ進歩、進んできているなという感じがします。

 安全面については、今の二人の委員長、副委員長から話されたように、いろいろ進んでおりますが、これをいかに、人々の気持ち、地域を含めた人達の安心につなげていくかということが、東電のこれから大きな責任であろうと思います。

 そのような意味においては、SC室という、皆さん方と直接関係のある所が作られておりまして、そこの努力ということで、私共は、かつてから、地域の目線、或いは一般の人達の目線で分かるような説明をしてほしいと、いうことを、例えば、データの羅列だけしても、とらえられないでしょうから、その辺についてなお一層の工夫をしながら、いろいろな改革、その他についてあるいは、何か起こった時によく解かっていただくような広報を含めたあり方、というものを、尚、検討してほしいということをお願いしているところであります。

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