今月22日に東京電力福島第一原発からの汚染水が海に流出していることを認めた東京電力の廣瀬社長が、漏洩の発表が遅れたことについて初めて公式の場で謝罪。6月19日に1、2号機のタービン建屋東側の地下水から高濃度トリチウムが検出されたタイミングなど、これまでに少なくとも4度の公表機会があったにも関わらず公表を先延ばしにしたことを認めた。この問題に対して廣瀬社長は「推測のみで港湾内への流出の蓋然性を言及することによる影響、とりわけ漁業への風評被害に対する不安や懸念が社内全体にあった」とした上で「リスクを積極的に伝えるよりも、最終的な拠り所となる確実なデータや事実が出るまでは判断を保留すべきという思考が優先されたために発表が遅れた」と説明。
廣瀬社長と相澤副社長は1ヶ月間の減給10%、ソーシャル・コミュニケーション室の見学副室長に1ヶ月間の減給5%、その他関係者2名に厳重注意の措置を行うとした。今後の対策としては「明確な根拠が十分に示せない評価結果であっても、リスクおよび最悪の事態について、その反響を恐れずに迅速に素直に言及する」との基礎方針を発表。広報を含めた、今後の対応改善が問われる。
一連の問題について原子力改革監視委員会のデール・クライン委員長は「広報の対応がずさんで、これまでの努力を無駄にさせることになりかねない」とコメント。桜井正史委員は「このような対応は以前にも聞いたような気がする。同じことが繰り返されている」と指摘した。