~ ダイジェストの「ダイジェスト」を掲載開始! ~
一週間の取材成果をダイジェスト形式でお伝えしている「IWJウィークリー」ですが、「読みごたえがある」「他ではこれだけの情報は得られない」という評価をいただく一方、「ちょっと長いかも…」「要点だけ簡単にまとめたものが欲しい…」という声もお寄せいただいています。
どこよりも速く、どこよりも鋭く、どこよりも深く、どこよりも詳しくお伝えしたい、と全力で取材している一方で、仕事や家事でお忙しい日々をお過ごしの皆さんが、消化しきれない、ということは申し訳ない。中継配信のダイジェスト、というつもりでスタートした「IWJウィークリー」ですが、そのさらにダイジェストが必要のようです。
また、「簡単な新聞形式にして欲しい」というリクエストも、根強くあります。「かんたんIWJしんぶん」のようなものを作り、ネット上にアップしたら、ダウンロードして各自印刷し、配布して、ネットを見ない、テレビしか見ないでその情報をうのみにしている人に知らせたい、という要請です。
資金不足で業務を減らし、コストカットをしている中、本来なら新たな業務は増やせないのですけれど、やはり根強いリクエストにはお応えしていかなければならないなと、ない知恵をしぼっています。
いかに短く、優しく、簡単に日々のニュースをわかりやすくダイジェストで送るか、読み応えのあるものと、忙しい方向けのニュースハイライトとの両立を考え、模索を始めている最中です。まず、トライアルとして「IWJウィークリー」では、ニュースSTF(Saturday to Friday)のダイジェストバージョンを掲載します。
また、どのような形でダイジェストをお届けすれば良いか、皆様からのご意見を募集いたします。「夕やけ寺ちゃん」での「ニュース本音と建前」のようなニュース解説をポッドキャストでお届けするなどの案や、私が「ニッポンダンディ」の「言わせろ!ダンディ」でお見せしていたようなフリップショーでのニュース解説を、IWJの中継でやってほしいというリクエストなどもあり、皆様からのご意見を募集したいと思います。
こちらのフォーム→ https://pro.form-mailer.jp/fms/c892c0ea38240(現在は募集しておりません)からご記入いただき、ご意見をお寄せください。皆様からのご提案を踏まえつつ、ダイジェストの方向性を考えていきたいと思います。「IWJウィークリー」のほか、「IWJ特報!」へのご意見も同時に募集いたします。
たくさんのご意見・ご感想をお待ちしております。
(岩上安身)
18号簡易もくじ
- STFダイジェスト
- 詳細もくじ
- ニュースSTF
- オリンピック特集(後編)
- 寄稿「がれき広域化の闘いから見えたもの」(青木泰)
- 編集後記
1. ウィークリー18号ダイジェスト 9月7日(土)~13日(金)
★忙しい方も、ここだけ読めば一週間のIWJの動きがわかる!★
国内外で批判の止まない安倍総理「汚染水ブロック」発言
波紋は広がり続けています。日本時間9月7日、国際オリンピック委員会(IOC)で、安倍晋三総理が福島の原発事故に触れ、「状況はコントロールされている」「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内で完全にブロックされている」「健康問題は今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」などと発言したことに対し、国内外で批判の声が止みません。
IWJは、対応に追われる東電、規制庁の混乱ぶりを中継。9日の東電会見では、今泉典之本部長代理は「汚染水の問題については鋭意努力していく」と、総理発言の見解について明言を避け続けました。
「正直者」の告白に、東電は大あわて
東電と同じくのらりくらりとした回答に終始したのは、規制庁の森本英香次長です。10日、「総理は汚染水の『影響は』ブロックされていると発言した。規制委員会としても『影響については』有意な変化はないとしている」と回答。
規制委員会の田中俊一委員長は11日の定例会見で、「(総理発言の)言葉の端々をあげつらっても何の意味もない」と語り、福島県沖で捕った魚については、あたかも大変なことが起きているような報道が多いと自らの責任を棚上げして、報道に責任転嫁しました。
そんな中、13日には東電の山下和彦フェローが、福島県郡山市で開かれた民主党の会合で、「コントロールできていないと考えている」と発言。身内から出た「正直者」の発言に、東電は大あわてで、「山下にも確認した上で安倍総理の発言を否定するものではない」という緊急声明を発表しました。
泉田新潟県知事 「組織のトップの責任を追及しない」日本社会の体質を痛烈批判
「時の人」に直撃。原発再稼働、新規制基準などの問題点を鋭く指摘し続け、その発言に注目が集まる泉田裕彦新潟県知事に岩上安身が9月7日インタビューを実施。IWJはその模様を新潟から中継しました。
泉田知事は、2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発のホットラインがつながらなくなった教訓から、地震が起きた時など、緊急時の司令塔となる「免震重要棟」の建設を強く要請しました。
その結果、福島にも建設することになり、完成したのは3.11の半年前。泉田知事は3.11当時を振り返り、「もしその時に免震重要棟を作っていなかったら、今頃東京には人が住めなくなっていたかもしれない」と、間一髪だったことを明らかにしました。
またこのインタビューでは、原子力行政のあり方だけにとどまらず、第二次世界大戦時の日本軍の敗走の原因などにも言及し、「組織のトップの責任を追及しない」日本社会の体質を痛烈に批判しました。
「非常に汚いやり方」で組織のトップの責任を問わない検察
組織のトップの責任を問われなければ、過ちは繰り返されます。9月9日、福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷などの疑いで告訴・告発されていた東京電力の勝俣恒久前会長ら約40人が、検察当局により全員不起訴処分に。告訴は福島地検に行われていたが、突然東京地検に移送され、不起訴処分となりました。
福島県民らおよそ1万4700人からなる「福島原発告訴団」の原告らは会見を開き、その模様をIWJは中継。原告団の河合弘之弁護士は、「非常に汚いやり方だ」と検察を強く批判し、不起訴処分を不服として東京の検察審査会に審査を申し立てる方針を示しました。
「原発はコストが安い」のウソ 実際には政府試算の約10倍
原発は高くつく。9月10日、慶応大学経済学部教授の金子勝氏が、原発の発電単価について独自の試算を発表。政府が公表している1キロワット時(kWh)あたり5~6円という試算は誤りで、実際には敦賀原発1号機は50.8円、柏崎刈羽原発は、10兆円を考慮した場合には19~21円に跳ね上がり、採算が合わなくなると明らかにしました。
金子氏の試算には、先行する研究がありました。立命館大学教授の大島堅一氏が3.11前に公表した、「原発の発電単価は実際には10~12円に達し、火力をも上回っている」とする試算です。
岩上安身は、2011年4月11日に大島教授にインタビュー。このインタビューは3.11から1ヶ月後の時点で、「原発は経済的で発電単価が安い」とする推進派の主張が、根拠のないものであることを明らかにしていました。
TPPでも政府は「明らかな嘘」をつく――韓国と同じ破滅の道を歩む日本
政府はTPPでも「嘘をつく」。TPP第19回ブルネイ交渉会合に参加した山田正彦元農水相は9月9日、岩上安身のインタビューに応え、政府が豪語する「すべての交渉はまだこれから(だからまだ間に合う)」という主張は、「明らかな嘘」と断じました。
また、日本政府が率先してISD条項を支持したことについて、首席交渉官の鶴岡公二氏は「日本は強い国だから、米国には負けない」と自信満々の口調で断言したといいます。山田氏は、「鶴岡氏も(ISDで日本が勝てないことを)本当は分かっているのではないか」と語りました。
日本国憲法は「のみ」という文言で「権力者を縛る」
日本国憲法の条文には4ヶ所だけ「のみ」という文言が登場します。
9月10日、岩上安身が行ったインタビューで早稲田大学教授で憲法学が専門の水島朝穂氏が指摘。水島教授によれば、天皇の機能の限界を定めた4条、婚姻を定めた24条、裁判官の独立を定めた76条3項、そして特別法の住民投票を定めた95条。水島教授はこれらの条文をあげ、「日本国憲法は、権力者を縛る、立憲主義を体現した条文を備えている」と語りました。
水島教授は他にも、IOC総会における安倍総理のスピーチを「福島県民を棄てる、棄民の思想のあらわれです」と厳しく批判しました。
日本政府が期待する「中国包囲網」は実現しない!?
歴史は繰り返すのか、繰り返さないのか。9月11日、早稲田大学現代中国研究所所長である天児慧(あきら)氏は、岩上安身のインタビューに応え、「中国の指導者たちは、非常に慎重に戦略を練っている。それは『米ソ対立のような構図を作らない』ということだ」と、現代中国の外交戦略を分析しました。
かつての「ソ連包囲網」のような「中国包囲網」が形成されることを、日本政府は期待しているフシがありますが、そんな単純な構図には当てはまらないだろうという見通しです。
~ 中国は米国と「対立しない」戦略を取る ~
天児氏によれば、「国力が整わないうちは、国際社会で目立つことをせず、じっくりと力を蓄えておく」、いわゆる「韜光養晦」(とうこうようかい)が、中国指導部の考え方であり、米国と敵対関係にならないような慎重な外交戦略を取ってきたのだという。
天児氏へのインタビューは、9月14日にIWJと香港フェニックステレビが共同配信を行った「日中時事討論会」の開催を控えて行われました。天児氏は、日本側からのパネリストの一人。IWJ会員は10月13日まで視聴可能です。
無名の新人が17万票を獲得、なぜ「選挙フェス」が成功したのか
同じく9月11日、先の参議院選挙で17万票を獲得しつつも惜敗した、ミュージシャンの三宅洋平氏に岩上安身がインタビュー。三宅氏は、「勝ち負けはもちろん大事だが、落選したとしても、全国の音楽シーンを支えてきたサポーターたちが政治に目覚めるという現象を起こしたかった」と、全国比例にこだわった理由を説明しました。再度の出馬、意欲はまんまんなようです。
2. 詳細もくじ
◆岩上安身のニュースのトリセツ
◆ニュース STF 〜Saturday to Friday~ 9月7日(土)~9月13日(金)
<7日 土曜日>
・「日本は事故の責任を現場に押し付けている」~岩上安身による泉田裕彦新潟県知事インタビュー
・専門家ら、ベトナムへの原発輸出の闇に迫るシンポジウム
・「イラクの時と同じ過ちを犯すのか?」ニューヨークでシリア軍事介入反対デモ
<8日 日曜日>
・カウンター抗議者、排外デモに対し座り込みで車道を占拠
<9日 月曜日>
・「政府は『すべての交渉はまだこれから』と明白な嘘をついている」~岩上安身による山田正彦氏インタビュー
・IOC総会での安倍総理発言を受けて、紛糾する東電会見
・東電幹部の不起訴処分に対し、福島原発告訴団が会見で厳しく批判
・PC遠隔操作事件、弁護団が新たな証拠開示を請求
<10日 火曜日>
・「憲法は守るものではなく守らせるもの」~岩上安身による水島朝穂氏インタビュー
・「敦賀原発1号機の発電単価は50.8円」金子勝氏が独自試算
・総理の汚染水ブロック発言について、明言避ける規制庁
<11日 水曜日>
・現在に生きる「韜光養晦」(とうこうようかい)中国の国家戦略とは ~岩上安身による天児慧氏インタビュー
・無名の新人が17万票を獲得、なぜ「選挙フェス」が成功したのか 〜岩上安身による三宅洋平氏インタビュー
・復興庁が「子ども・被災者支援法」の説明会を福島で開催 ~被災者からは厳しい批判の声
・田中規制委員長、安倍総理発言について「言葉の端々をあげつらっても無意味」
<13日 金曜日>
・下村博文文科相が「オリンピック担当大臣」に就任
・「コントロールできていない」東電幹部の発言について、IWJ原記者が会見で直撃
◆特集
・東京オリンピック2020特集 ー歓喜と愁眉ー(後編)
◆特別寄稿
・がれき広域化の闘いから見えたもの(Ⅰ)~破綻したがれき広域化と復興資金の流用(前編)(環境ジャーナリスト・青木泰)
◆デスク編集後記
(今週のデスク:佐々木隼也)