国際政治学者で、放送大学教授でもある高橋和夫氏が16日、岩上安身のインタビューに応え、エジプト全土に広がっているデモをはじめとして、イスラエル・パレスチナ問題やシリア情勢について、さらにはイランの核開発やクルド人の問題など、中東が抱える諸問題について、幅広い視点から解説を行った。
エジプトでは、2011年の1月から2月にかけて大規模な反政府デモが起こり、ムバラク大統領が辞任。およそ30年間にも及んだムバラク政権が崩壊した。翌年5月と6月に行われた選挙によって、ムハンマド・ムルシが大統領に選出されたが、今年7月、軍部によるクーデターが発生。解任される事態となった。
クーデター発生以降、ムルシ大統領の支持母体であるムスリム同胞団は、エジプトの首都・カイロで抗議の座り込みを続けていた。それに対して、治安部隊は今月14日、強制排除に乗り出し、この日1日だけで149人が死亡。16日までに合計600人以上が死亡し、およそ4000人の負傷者を出している(エジプト保健・人口省発表)。
この一連のエジプト情勢について、高橋氏は、ムバラク政権を倒したのはインターネットに強い若者たちだったが、大統領選挙で勝ったのは強力な組織力を持っていたムルシ大統領だったために、「(革命を起こした)連中には、『俺たちが革命を起こしたのに、ムスリム同胞団が勝ってしまった』という不満がある」と指摘。そうした人たちと、「ムスリム同胞団によって自分たちの利権が侵されるんじゃないか」と恐れた軍部が手を結びクーデターを起こした、と解説した。
高橋氏は、エジプト騒乱の見通しについて、「決着が見えない」と語り、「軍の連中は何を考えているのか(分からない)」と率直な見解を示した。14日に軍が起こした強制排除は「やるべきではなかった」とし、「現地の報道によると、だんだんデモが少なくなっていた。もう少し我慢すれば……、とみんな思っていたのに、(軍は)何を考えているのか」と、現地で軍部の姿勢を批判する声があることを説明した。
イランへの経済制裁は本当に効いてるみたいですね。友達が言ってました。