「行動する保守」を自称する団体、「神鷲皇國會」の幹部が、立て続けに逮捕された。
新大久保や鶴橋で連続して行われている、排外差別デモにも加わっていた、関西地方を中心に活動する団体である。幹部の逮捕を受け、同会は4月18日付けで解散した。
(取材:原佑介・ぎぎまき・芹沢あんず、文責:岩上安身)
「行動する保守」を自称する団体、「神鷲皇國會」の幹部が、立て続けに逮捕された。
新大久保や鶴橋で連続して行われている、排外差別デモにも加わっていた、関西地方を中心に活動する団体である。幹部の逮捕を受け、同会は4月18日付けで解散した。
明日、4月21日、コリアンタウンである大阪・鶴橋で、「朝敵を排除する示威行動」と題した「神鷲皇國會」による差別排外デモが計画されており、同時に良識的市民からのカウンター抗議も予定されていた。蔓延するヘイトスピーチを等閑視するわけにはいかず、IWJはこのデモとカウンター抗議の中継・取材を行おうとしていたが、同会の主催である幹部が逮捕されたことにより、急遽、デモは中止となった。
排外デモの予定をアップしている「行動する保守カレンダー」によると、「21日の道路使用許可、並びにデモ申請共に申請者、現場責任者、が元神鷲皇國會の満尾昌利氏であることが確認されたため、21日の予定は全て中止です」とのことである(行動する保守カレンダー 行動する保守運動)。
産経ニュースによると、今月18日、同会に所属する幹部の少年(18)が、恐喝の容疑で逮捕されたという。幹部の少年は3月12日、「電気代の徴収に自宅を訪れた関西電力の社員に『俺は右翼やっとんねん』と団体のステッカーが貼られた拡声器を見せて脅し、1月分の代金(約1万2千円)の請求を断念させたほか、止められていた電気の送電を再開させた」というが、本人は容疑を否認しているとのことだ。
同じく産経ニュースによると、21日のデモの現場責任者だった満尾昌利氏(41)が大阪府警警備部に逮捕されたのは、19日。「トイレで会った82歳男性に暴行」を働いたという。二日連続の逮捕である。
記事によると、「逮捕容疑は傷害など」で、「逮捕容疑は3月19日午前9時15分ごろ、大阪市中央区の地下街のトイレで、肩からかけていたハンドマイクをのぞきこんだ男性(82)に『何見とんねん。表に出ろ』と因縁をつけ、トイレ前の通路で胸ぐらをつかむなど暴行。顔に切り傷を負わせたうえ、男性の眼鏡を取り上げ、踏みつけて壊した」としている。本人は「記憶にない」と話しているという。
恐喝容疑で逮捕された少年(18)は、3月17日に行われた、「在日特権を許さない市民の会」 東京支部主催の(春のザイトク祭り 不逞鮮人追放キャンペーン デモ行進 in 新大久保)をIWJが取材をした際に、IWJの女性スタッフに対して「偏向取材したらただではすまさへんからな」と脅した人物と同一人物であることが明らかになった。
今回の事件によって、脅迫めいた言葉を口にしたその男が未成年だということを知り、我々も驚いている。その時はスーツにサングラス姿で、未成年とは到底思われなかった。若者が徒党を組んで暴言暴行を重ねている状況を、警官が黙認し、あまつさえ擁護してきたことが、今日、「在特会」的なものの増長につながったことは言うまでにない。
在特会とその類似集団の構成員が、暴言、暴力によって刑事事件を引き起こしたのは、これが初めてではない。2009年12月4日に起きた京都事件では、小学校に拡声器をもって押しかけ、威力業務妨害などの容疑で4名が逮捕された。2010年9月8日に起きた、徳島県教組業務妨害事件では、威力業務妨害などの容疑で7名が逮捕された。
彼らの所業は、暴力団や愚連隊と変わるところがない。市民団体を標榜して、公安に守られながら徒党を組んで暴言、脅迫、暴行沙汰を繰り返す点では、それよりタチが悪い。このような暴力的な扇動を看過してはいけない。
彼らが排外デモで使用する「殺せ」「レイプしろ」「射殺せよ」などという言葉は、ヘイトスピーチ規制の論議以前に、「加害の告知」をしたとして、現行法の恐喝罪で取り締まるべき行為である。
非常に懸念しなくてはならないことに、在特会のリーダーである「桜井誠」こと高田誠氏の挑発行為がエスカレートしていることに注意を払うべきである。「ネットと愛国」(安田浩一)によれば、在特会主催の講演会で以下のように話した。
「『在日朝鮮人が生活保護をもらえなければ死ぬというのであれば、死ねばいいんです。いま、日本は混乱期にあります。次に来るのは動乱期。そして最後には必ず殺戮期がやって来る。在日朝鮮人、そして反日極左と本気で命のやりとりをやって叩き殺さなきゃいけないときが必ず来るんです。そのときに皆さんにね、心の強さが問われる。泣いて許しを請う相手を本当に一刀両断で斬り捨てることができるかと。大変厳しい選択です。朝鮮人であってもまだ子どもです。でもこの子どもをいかしておいたらね、また同じ事を繰り返される』
さらに彼は、かつて徳川家康が6歳の幼子まで打ち首にし、豊臣家を根絶やしにした事例を引き合いに、こう続けた。
『その厳しさが無かったら徳川280年の太平は無かったんですよ。その覚悟が我々に問われている。日常覚悟です』」
このように、一部の民族を指し、大量殺戮を煽るようなジェノサイド発言を、私たちは放置できない。もし万が一現実に起こるようなことがあれば、このような扇動を見て見ぬふりをしていた者達もまた「共犯者」である。
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