2021年の衆議員選挙では、投開票前、多くのメディアが「自民、大幅議席減」「自民単独過半数割れの見込み」「立憲躍進」などと報じていた。
- 自民“単独過半数”は微妙な情勢 大都市圏で接戦 FNN世論調査(FNNプライムオンライン、2021年10月25日)
- 自民が単独過半数確保の勢い、立憲はほぼ横ばい 朝日情勢調査(朝日新聞デジタル、2021年10月25日)
- 衆院選 自公で「絶対安定多数」視野、立憲は伸び悩み 共同通信(毎日新聞、2021年10月27日)
- 自民の単独過半数維持は微妙、立民が議席増・維新は勢い保つ…読売・衆院選終盤情勢(読売新聞オンライン、2021年10月29日)
大手メディアは、なぜことごとく「予測」を外したのだろうか!?
IWJは選挙期間中に、複数の大手メディアによる期日前出口共同調査(10月23日24日)を独自入手し、10月28日にスクープとして報じた。もちろん投開票の結果が出る前である。
全国の289小選挙区のうち、225選挙区について行われたこの調査報告書をIWJが分析すると、自民党の候補者が第一位だった選挙区は152選挙区、公明党の候補者が第一だった選挙区は、9選挙区、維新が第一位だった選挙区は、9選挙区だった。自民党と公明党の与党で、調査対象の225選挙区のうち161選挙区を占めていたのである。なんと約72%だった。
これに対して立憲民主党が第一位だった選挙区は、16%に過ぎなかった。
これを見る限り、自公+維新の改憲派を支持する有権者が、組織的動員を含めて、期日前投票を大量に行い、きわめて活発な投票行動を行ったことがわかる。当然選挙戦全体を通しての調査は、この期日前投票に一定程度比例し、有権者の投票行動は、改憲派支持者に対して「危険バネ」がきき、改憲派には有利に、改憲反対派には不利に働くであろうと、我々IWJとしては予測できたのである。
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https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
つまり、複数の大手メディアらは、投開票の1週間も前に、自民・公明が期日前では圧倒的に有利だという情報を持っていながら、こうした生データをもとに「自民不利、立憲有利」という自分たちの情勢判断を覆して報じたかったのである。しかも程度の差こそあれ、全紙、全局というのが「異常」である。
「無党派」の中の「どちらかというと立憲」というライト層を刺激しないようにと情勢操作した疑いがきわめて濃い。
結果として、立憲・共産の野党共闘側やその支持者は油断をし、逆に与党側やその支持者の方に「危機バネ」が効いたと見るべきではないだろうか。
結局、与党サイドをアシストしたのは、自分たちが収集したデータすら無視して選挙直前まで、「改憲派対改憲反対派」という真の争点を隠し、「自民危機」「野党有利」と報じ続けたマスコミだったといえる。