2020年9月12日(土)、14時50分より武蔵野市の武蔵野プレイスにて、仏文学者 杉村昌昭氏による講演「偽りの政治よ、さようなら!〜日仏に見るオリガーキーの黄昏」が行われた。
「オリガーキー」とは、特定少数の人間が政治権力を握っている寡頭制、寡頭政のこと。
この講演は今年4月に岩波書店より刊行された、「さらば偽造された大統領 マクロンとフランスの特権ブルジョワジー」(ホワン・ブランコ著)の訳者のひとり(ほかの訳者として川端聡子氏、出岡良彦氏)である仏文学者 杉村昌昭氏が同書を紹介、解説し、フランスの現大統領エマニュエル・マクロン体制の権力集中とメディア支配を明らかにし、批判するものであった。
杉村氏は、「コロナ感染症のせいか、それともフランスのマクロン批判封殺に同調したものか、フランスで10万部売れたこの本は、期待に反して日本で全く話題にならなかった。しかし、その内容は現在の日本の政治状況と無関係ではないし、この本は仕掛けられた時限爆弾のようにいずれ弾ける日が来るのでは」と語った。
著者ホワン・ブランコ氏は1989年生まれで、現代ヨーロッパ映画を牽引するポルトガルの映画プロデューサー パウロ・ブランコ氏の子息。フランスで教育を受け、本来ならマクロン支持を担うフランスの特権階級に属するような人物だが、国際弁護士としてウィキリークス編集長のジュリアン・アサンジ氏の弁護をし、「黄色いベスト運動」の擁護者として活動している。
杉村氏はホワン・ブランコ氏との密な交流のエピソードも引きながら、現在のフランスにおけるマクロンとその支持層による徹底的なメディア封鎖の状況と、そこを抜け出して著された本書「さらば偽造された大統領」の価値を語った。
このル・モンド・ディプロマティーク日本語版の会主催による連続講演会の次回は、「『偽りの政治よ、さようなら!』東京新聞・望月衣塑子記者が菅「新政権」を斬る!」と題し、望月衣塑子氏を講師に迎え9月26日にZOOMで開催される。
詳しくは取材動画をご覧いただきたい。