2018年10月10日(水)に、東京・都庁記者クラブで、東京都築地市場移転に反対する築地市場営業権組合と、明治学院大学名誉教授・熊本一規氏らによって、「築地市場営業権組合による記者会見~築地市場の閉場・解体事業について」が行われ、豊洲新市場が開場する11日以降も、築地市場の場内で仲卸業者6店舗が営業を続けることを発表した。
11日以降も、築地市場の場内で営業が可能で、築地市場解体事業は違法だと語る明治学院大学名誉教授・熊本一規氏が、法的根拠を次のように説明した。
まず第1に、「築地仲卸業者及び関連事業者は営業権を持つ」こと。営業権とは、財産権の一つであり、許可や暖簾にもとづく権利。
第2に「財産権の侵害には損失補償が必要」であること。損失補償は、適法行為に伴う補償であって、不法行為に伴う損害補償とは区別されること。
第3に「損失補償がなされない限り、築地解体工事は違法で違法である」こと。
そして第4に、「築地市場解体には『廃止の認可』が必要であること。この第4のポイントを、以下、さらにくわしく熊本名誉教授は説明した。
①卸売市場法第5条に基づき食料・農業・農村政策議員の意見を踏まえて「中央卸売市場整備計画の変更」が9月10日になされた。変更内容は「必要に応じ施設の改善を図ることができる中央卸売市場」から築地市場が削られただけ。豊洲市場は何ら変更を加えられていない。
②9月10日には、豊洲市場について卸売市場法第8条「開設の認可」がなされた。
③これまで、東京都は、卸売市場法第11条「業務規程(位置及び面積)の変更」により、豊洲移転を進めると説明し、その認可申請も8月1日に行ったものの、実際には「業務規程(位置及び面積)の変更」の認可はなされていない。
④築地市場について卸売市場法第14条「廃止の認可」はなされていない。
以上の①から④にもとづけば、以下のように結論づけられる、と熊本名誉教授は言う。
「9月10日『中央卸売市場整備計画の変更』により、築地市場は、施設の改善が図られなくなっただけで、依然として中央卸売市場として存続している。築地解体工事着手には、その前に卸売市場法第14条『廃止の認可』の手続きが必要であり、『廃止の認可』がなされない限り、築地解体事業は違法な事業となる。卸売市場法第14条によれば、『中央卸売市場の廃止』に必要な認可は、『一般消費者及び関係事業者の利益が害されるおそれがないと認めるときでなければ』してはならない。従って一般消費者及び関係事業者の利益が害されるおそれがなくならない限り、『築地市場の廃止』はできない」
熊本名誉教授の指摘の通りであれば、築地市場の解体工事そのものが違法であるということになる。11日の豊洲市場関連のニュースをにぎにぎしく報じる主要メディアはこうした事実をつたえようとはしていないし、把握すらしていないのではないかと思われる。
これまでIWJは、築地市場の豊洲への移転には数々の問題があることを指摘し続けてきた。移転が強行されたからといって、それらの問題に「カタがついた」ことにはならない。問題は山積されたままである。IWJ取材による築地市場移転問題コンテンツや、岩上安身による建築エコノミスト・森山高至氏、一級建築士・水谷和子氏、築地女将さん会・山口タイ氏、新井眞沙子氏インタビューを、下部から是非アクセスしてチェックしていただきたい。
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熊本名誉教授の指摘の通りであれば、築地市場の解体工事そのものが違法であるということになる。11日の豊洲市場関連のニュースをにぎにぎしく報じる主要メディアはこうした事実をつたえようとはしていないし、把握すらしていないのではないかと思われる。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/433468 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1050503277408735232