福島原発事故の区域外避難者(自主避難者)への国・福島県からの住宅支援が、2017年3月31日で打ち切られる。事故加害者である東京電力や国の責任を追及することは当然だが、現実に支援打ち切りが明日31日に迫っている今、避難先各自治体による住宅支援・経済支援に切実な期待が寄せられている。しかし、現実には自治体ごとに、その対応は様々だ。
小池百合子都知事による定例記者会見が開かれた2017年3月24日(金)、東京都庁前で避難当事者と支援者たちが、都と小池都知事に対し、住宅支援の強化を訴えて声を上げた。『ルポ 母子避難』著者の吉田千亜(よしだちあ)氏も途中から参加した。
▲『ルポ 母子避難』著者 吉田千亜氏
▲吉田千亜氏インタビューの様子( 2017年2月16日)
自主避難者への支援打ち切りについては、吉田氏や「こどもみらい測定所」代表・石丸偉丈(いしまるひでたけ)氏、実際の自主避難者である松本徳子氏が今年1月に記者会見を行っている。IWJは会見の様子も取材しているので、ぜひ、以下の記事もご一読いただきたい。
岩上安身は2月16日、吉田千亜氏にインタビューを行い、住宅支援打ち切りについて詳しくお訊きしている。ぜひ、以下の動画もご視聴いただきたい。
▲都庁前で声を上げる避難当事者と支援者
全国最多数の区域外避難者を抱える東京都 高い住宅賃料を行政の支援なしでどう払うのか?
事故を起こした当事者・東京電力の最大株主でもあり、福島の原発で作られた電力の最大の消費地でもあった東京都は、他の自治体以上に避難者への手厚い支援が行われて当然なのではないだろうか。
東京都は福島原発事故による区域外避難者が、現在717世帯(避難の協同センター発表)と全国で最も多い。住宅の賃料は全国で最も高く、住宅支援が打ち切られてしまえば、これらの多くの避難者はたちまち家賃の支払いが困難になってしまう。
区域外避難者には母子避難者も多く、福島に住宅ローンを抱えての二重生活を強いられていたり、母子家庭であったりする。そもそも住宅支援があってもなお、十分な生活ができているとは言い難い。
東京都は独自にその対策として、都営住宅公募に300戸、東京都住宅供給公社に100戸の専用枠を用意したが、その申込み資格は、家族構成・収入条件などが非常に厳しく、対象者は極めて限定されている。
「自主避難者の9割の方々の住宅確保にめどが立っている」!? 実際に都が用意した住居は自主避難世帯の約半数、申込み要件も厳しく
抗議行動のさなか、主催者のもとへ小池都知事の記者会見の様子が伝えられた。