「今の日本の政治は、非常事態だ」──。集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を、与党が数の力で成立させた今の状況を、日本共産党委員長の志位和夫氏は、日本の政治から立憲主義が失われる「非常事態」だと宣言した。
2015年9月25日の夕刻、東京の新宿駅西口前に姿を見せた志位氏は、この数時間前に、民主党代表の岡田克也氏と国会内で会談。安保法廃止の一点狙いの「連立政権(国民連合政府)構想」と、国政選挙での野党間の選挙協力を正式に提案した。この日の演説では、「岡田氏とは、引き続き話し合っていくことで合意した」と聴衆に伝えた。
一方、提案を受けた岡田氏は、同日、民主党本部での定例会見で、共産党からの提案には敬意を表するとしたが、「共産党との連立政権は、かなりハードルが高い」として、選挙協力については言葉を濁している。
連立政権といえば、1993年夏の参院選で、7党1会派(社会、新生、公明など)の細川護煕政権が誕生し、自民党が下野したシーンが想起されるが、「国民連合政府」構想に対しても、あの時と同様、連立政権ゆえの政策面での不一致を案じる声がある。
これについて志位氏は演説の中で、「戦争法(=安保法、以下同)を廃止にし、『立憲主義』を回復させる仕事をやり遂げたら、解散・総選挙を行い、その先の日本の進路に関しては、国民と相談して決めていく」とし、「国民連合政府」はあくまでも暫定政権であることを強調。集まった大勢の市民らに、賛同を強く呼びかけた。