「右派の評論家が、『慰安婦は世界のどこにでもあった。だから、諸外国が反省するなら、日本も反省する』といった発言をしていたが、それは、万引きして捕まった中学生が口にする理屈と同レベル」──。鈴木邦男氏はこのように力を込め、今の日本への批判を繰り返した。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏と、新右翼団体「一水会」最高顧問の鈴木邦男氏の対談本『いま語らねばならない戦前史の真相』(2014年10月、現代書館)刊行記念イベント、「孫崎享×鈴木邦男×岩上安身『2014‒2015 ニッポンの分かれ道』」が、2014年12月14日、東京都内で開かれた。孫崎氏と鈴木氏のトークセッションの司会を、IWJの岩上安身が務めた。
リベラル派の評論家と新右翼という異色の取り合わせながら、2人の話は何度も共鳴。批判勢力が不在に等しい中で、安倍政権が改憲へと突き進むことを異口同音に案じた。
孫崎氏は、「米ソ冷戦の終結により、米国は自国利益追求のエゴをむき出しにし、日本にも無理を強いるようになった。その圧力に日本の外務省が完全に屈している」と言及。90年代以降、「日米関係さえ崩れなければ、それ以外のことはどうでもいい」という価値観が外務省を支配し、日本のアジア外交を粗雑なものにしていると強調した。
自民党の改憲草案では、公務員による拷問などは「絶対にこれを禁ずる」とする現行憲法第36条から、「絶対に」が削除されている。これについて、鈴木氏は「愛国無罪」という言葉を使って、愛国心があれば何をやってもいいという考え方が社会を支配することへの懸念を語り、「その愛国心が、身勝手な思い込みによる愛国心であれば、なお始末が悪くなる」とした。
もとより両者の意見が衝突する場面も見られた。伊藤博文の暗殺を巡り、孫崎氏が、暗殺者の安重根を英雄視する風土が韓国社会に定着していることに異を唱えると、鈴木氏は、「韓国でそんな持論を披露したら、反感を買うのは当然だ」と反発。壇上の空気は一瞬、ぴんと張りつめた。
- 大本営指示は「殲滅せよ」!殺された朝鮮人農民は3〜5万人!東学党の乱の結末は日本軍によるジェノサイドだった!隠されてきた朝鮮侵略の真実!!~岩上安身によるインタビュー 第276回 ゲスト 奈良女子大学名誉教授・中塚明氏 2013.2.16
- 歴史認識で意見割れる 西尾氏「国家権力による従軍慰安婦はいなかった」、和田氏「中国やフィリピンでは、日本軍が現地の女性を拉致監禁し、相当期間、性的行為を強制した」―日本外国特派員協会主催記者会見『河野談話の見直しについて』 2013.4.4
- 「日本軍慰安婦制度は、国内法上も国際法上も明らかに犯罪である」「韓国併合は無効である」~ 岩上安身によるインタビュー 第310回 ゲスト 国際人権法学者・戸塚悦朗氏 2013.6.24
- 「加害者の側が人間じゃなくなる」 梓澤弁護士、改憲草案第36条に怒りと涙の訴え ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第6弾 2013.5.2
あけましておめでとうございます。
昨年の饗宴Ⅴは物見遊山ではとても参加できませんでした。私はいまだにカルチャーショックから抜け出せません。
2部のパーティはキャパシティぎりぎりだったのではないでしょうか。
その2部のパーティで孫崎さんのお話を聞き逃してしまい、こちらの動画を再視聴しました。
韓国で安重根のお話をしたくだりがハラハラします。
日本の初代総理大臣伊藤博文氏の暗殺はショック・ドクトリンにもなったでしょうし、福沢諭吉氏の影響もあるのではないかと思いました。ザビエルさんとかグラバーさんとか、国民が気がつかぬうちに何をどこまで画策していったのでしょう。
宗教を利用した戦争と、その宗教の鎧を脱ぐために奮闘した人がいて、歴史や文化があります。
饗宴Ⅴのカルチャーショックからまだ抜け出せません。