【大義なき解散総選挙】原発問題における世論と選挙結果の「ねじれ現象」を指摘、衆院選立候補者へ緊急アンケートを実施 2014.12.9

記事公開日:2014.12.13取材地: テキスト動画
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(IWJ・前園由美子)

特集 総選挙2014

※12月13日テキスト追加しました!

 「日本と原発」の映画を製作した脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人の河合弘之氏と同事務局長の海渡雄一氏が12月9日(火)13時半より、参議院議員会館で記者会見し、原発の再稼働と新増設の賛否について、衆院選の小選挙区候補者を対象に、5日からアンケートを実施したことを明らかにした。

 10日に回収した調査結果は、11日の記者会見後、脱原発法制定全国ネットワークのホームページと映画「日本と原発」の公式サイトで公開されている。

■ハイライト

  • 出席 河合弘之氏(脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人)、海渡雄一氏(脱原発法制定全国ネットワーク事務局長)
  • 日時 2014年12月9日(火) 13:30~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

※以下、発言要旨を掲載します

「原発推進政党が圧勝するねじれ現象が起きている」

河合弘之脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人(以下、河合・敬称略)「衆議院選挙に向けて、何を争点として国民が判断すべきかという問題が問われています。自民党と公明党は、原発再稼働は全然問題じゃないと、原発をどうするかについてはほとんど関係ない、アベノミクスが問われているんだということですが、私どもは全然そうは思っていない。

 アンケートをとれば7割、8割の方が、原発は遅かれ早かれやめた方がいいというご意見なのにもかかわらず、結局投票になると、ひとつは地元の先生にお世話になっているからという話で、ボス的な自民党、公明党候補者に投票する。もしくは目先の利益、アベノミクスの余力が早く自分のところに回ってくるようにするために投票すると、ちょっと株価が上がったから投票するとか、そういう目先の利益にまどわされて投票するという人が多い。

 だからアンケートでは7~8割脱原発なのに、選挙になると原発推進政党が圧勝するというようなねじれ現象が起きている。これは、一種の民主主義のねじれ現象、病理現象のひとつだという風に僕たちは考えています。そこを対処療法するには、誰が脱原発に賛成で、誰が原発推進なのかということをはっきりさせる。それが分かった上で投票しないと話にならないということで、今度企画したのは、立候補者へのアンケートということです。

 これを言い出したのは、原発風下・被害者地元ネットワークの嘉田由紀子さんです。嘉田さんは今から10日くらい前に、『河合さん、何とかしよう』と言って僕に呼びかけてきて、『分かった、なんとかしないと、このままだとまたうやむや選挙になるね』と。何を争点に選んで、どういう理由で勝ったのか負けたのか分からない選挙になって、これはよろしくない。

 じゃあ、はっきりさせようと。はっきりさせるためには、全員に公開質問形式によるアンケートをとり、発表すること。アンケートに返事しなかったら、返事しなかった旨を発表する。それが一番、手っ取り早くてフェアな方法だろうということで、質問も複雑な質問はダメ、簡単にしようということでやりました」

再稼働に賛成か反対か、新増設に賛成か反対か

海渡雄一脱原発法制定全国ネットワーク事務局長(以下、海渡・敬称略)「緊急アンケートの内容は、再稼働について賛成か反対か、新増設について賛成か反対か。(反対の理由は)過渡的エネルギーだというのと、エネルギー政策の転換が必要だという2つに分かれています。アンケートは、小選挙区の候補者全員、実は2人送れなかった人がいるんですが、7日には発送が終わっています。10日を締切日に設定。皆さんの参考にしてもらいたい。

 脱原発法制定全国ネットワークは、できてから2回、参議院選挙と衆議院選挙とあったんですが、その時には同じことをやってきた。今回は、やろうかなと思ったけれども、嘉田(由紀子)さんから言われるまでは、川内の仮処分の対応もあり、高浜の仮処分も新たに起こしたりで疲弊していて、全国の再稼働必至のところをなんとか止める活動をやっていたけれども、河合先生がもう一回ちゃんとやろうと強くおっしゃって、こういうことをやることになった。

 確かにやらなければいけない活動なんです。一人一人にちゃんと意志を明確にしてもらっておくということが非常に重要だろうと思うんで、ぎりぎり11日に発表すれば、投票日までに3日あるので」

アンケートを突きつけることの重要性

海渡「民主党や維新の中には、原発について態度を明確にしていない人たちもいて、そこは非常に要警戒だと思っています。そこら辺の仕分けをするためにも、このアンケートを突きつけていくということは極めて重要。

 脱原発法を国会に提案するために、大江健三郎さんや鎌田(慧)さんが始めたもので、すでに何度か脱原発法の国会への提案は成功している。参議院選挙の前にも出したんですけれども、正直に言うと、どんどん脱原発の政治勢力が少なくなってきている。

 本当に悲しいことだけれども、選挙をやる度に、こういうことをやろうという人が減ってきているのが現実で、一般の市民の世論調査をすれば、今でも6~7割の人が再稼働に反対、原発はやめてってほしいとお答えになるけれども、それが実際に選挙結果に結びついていない。

 それは2つ原因があると思う。一番大きな原因は、小選挙区選挙というものに非常に大きな限界があって、今の実情を見ても、選挙区の中で当選しそうな人の中に、脱原発の候補がいないっていう選挙区が山のようにある。

 そういう実態になっていることが一つと、『行っても意味ないや』と。経済で判断している人もいるかもしれませんけれども、脱原発派の人はしらけちゃって、投票に行かない人がすごく増えてしまっているだろうと思うんです。そうは言ってもよりベターな選択、比例代表もあるわけですから、脱原発を掲げている政党もあるので、とにかく棄権しないでと強く言いたい。諦めたら負けなんだと。諦めたら脱原発は実現しない。

 大きなマスメディアは自民党が300議席とかいうことを書いて、聞くと我々だって投票所に行くのが嫌になっちゃう感じもしますけど、そういう中でもみんなで励まし合って、そういう状況も市民の投票行動によって変えられる。投票に行くのをやめようと思っていたような人が、1%でも2%でも動くことによって、国会の構成は変わりうるので、諦めないで投票に行きましょうと訴えたい」

河合「(アンケート結果は)党派別にもちろん個人名も出します。本当は比例区もやりたかったけど、比例区は至急で名簿が手に入らなかった」

原発風下・被害者地元ネットワークについて

(…会員ページにつづく)

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