【大義なき解散総選挙】「一票の格差」裁判で13年の参院選を最高裁が「違憲状態」と判決、元内閣法制局長官が最高裁判事として初めて「選挙無効」と意見 2014.11.26

記事公開日:2014.11.26取材地: テキスト動画
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(IWJ・石川優)

 昨年2013年の参議院選挙について、一票の格差是正を求めている弁護士グループが11月26日、最高裁判所の大法廷での判決後、司法記者クラブで会見した。会見したのは、山口邦明弁護士らと升永英俊弁護士らの2つのグループ。

 今回の判決で最高裁は、一票の格差が最大4.77倍だった選挙区の定数配分が「違憲状態」であるとする判決を下し、次回の2016年の参院選までにこれを是正するよう求めた。また、判決は15人の裁判官のうち11人の多数意見で決定したもの。少数意見では、選挙の「無効」を主張する判事もあった。

記事目次

  • 元内閣法制局長官の山本庸幸裁判官が「違憲・無効」と主張

■ハイライト

  • 会見者 升永英俊グループ(升永英俊弁護士、久保利英明弁護士、伊藤真弁護士)、山口邦明グループ(山口邦明弁護士、國部徹弁護士、三竿径彦弁護士)
  • 日時 2014年11月26日(水) 16:00~
  • 場所 司法記者クラブ(東京都千代田区)

元内閣法制局長官の山本庸幸裁判官が「違憲・無効」と主張

 一票の格差是正を求める裁判では、2012年末の衆議院選挙の際にも、最高裁で「違憲状態」の判決が下されている。

 今回の判決で注目されたのは、元内閣法制局長官の山本庸幸氏の意見だ。山本氏は、安倍政権の憲法解釈による集団的自衛権の行使容認に懸念を示した人物。昨年2013年8月20日に最高裁判事に就任し、就任の記者会見で「解釈改憲は難しい」と安倍政権に釘を刺した。山本判事は今回、最高裁の裁判官として初めて、「選挙無効」の意見を述べた。

 会見した升永英俊弁護士は、来月12月の衆院選の投票時に同時に行われる国民審査(最高裁判所裁判官の罷免をするかどうかを決める)は、一票の格差是正に反対・人口比例選挙に反対の裁判官を罷免するチャンスだと強調した。

 また、升永弁護士らは、反対している裁判官の一覧表を作り、意見広告を利用して、新聞誌上で広く知らせる予定だという。

 黒田健二弁護士は、これまでの最高裁の判断を「全部さじ加減」と批判し、「山本裁判官の判断は空前の判断」と評価。「これまでの最高裁の枠組みを取っ払ったというだけでなく、小学生にもわかる憲法前文、憲法第1条、国民主権は何なのか。正当に選ばれた代表を通じて、国民は行動するという憲法前文の文言解釈から一人一票を導いた」と山本判事の意見を称えた。

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