主要メディアでほとんど報じられない動きとして、イスラエル内の反戦運動がある。イスラエル内でも、リベラル派を中心に、パレスチナ攻撃に反対するデモや抗議行動も起きている。そして、イスラエルの若者たちの間では、イスラエル軍によるパレスチナに対する攻撃に疑問を感じ、兵役を拒否する者も少なくない。
2001年の第二次インティファーダの際には、イスラエルの数百人の予備役兵が、ヨルダン川西岸地区とガザ地区での軍事行動への参加を拒否している。
今回のガザ侵攻でも、イスラエルの若者による同様の動きが広がっている。「拒否2014」と名付けられたこの動きは、イスラエルの16歳から19歳までの男女60人が、パレスチナへの占領政策に反対し兵役を拒否する、ネタ二ヤフ首相あての公開書簡、という行動につながった。
この動きをやはり熱心に伝えているのが、スペイン語圏のメディアだ。
ガザではイスラエル軍による戦争犯罪が繰り返されている
メキシコの独立メディア「レボルシオン・トレス・プント・セロ」は、「イスラエルの若者が兵役拒否。刑務所に行く方がまし、と」と題する7月13日付の記事で、「拒否2014」のグループのメンバーの声を、顔写真付きで掲載している。
イスラエルによって占領されている地区では日々、国際的に戦争犯罪と規定されている行為が繰り返されている」とグループの若者たちは言う。「裁判にもかけずに処刑したり、占領地に勝手に入植地を建設したり、勝手に捕虜にして拷問をしたり、水や電気の供給も不当に制限している」
メンバーによると、書簡が公表されてからの24時間で、参加を表明するものが増えているという。
刑務所に入れられも兵役拒否を貫く
また記事では、イスラエルにおける徴兵制が、「暴力的な色合いを帯びている」ことを紹介。インタビューを受けた若者たちが、自分たちへのそうした反応に恐怖を感じていることを紹介している。
「私たちの書簡が公開されてから、様々な侮辱の言葉を浴びせられています。ツイッターやフェースブックで、殺すと脅されることもあります」
こう語るのは、19歳のイタイ・アクニン(Itai Aknin)さん。しかし、アクニンさんによると、メンバー全員が、たとえ刑務所に入れられたとしても兵役拒否を貫く決意だという。
紹介した3本のスペイン語圏の記事は、不条理な攻撃にさらされるパレスチナの一般市民の悲痛な声、第3国から「人間の盾」として参加した人の危機感と葛藤、そして攻撃の当事国であるイスラエルでも自国のやり方に反発している若者たちがあることを、丁寧に伝えている。
「1600人が死亡」「その大半が一般市民」「イスラエルでも兵役拒否」という報道の裏には、当事者一人ひとりの生活があり、葛藤、苦しみがある。イスラエルへの武器輸出というかたちで、このパレスチナ問題の「当事者」として隊列に参加しようとしている日本だが、果たしてどこまでこうした「リアル」を認識できているだろうか。
(アイキャッチ画像:wikimedia commonsより 原典:IDF forces prepare themselves before entering Gaza)
IWJ佐々木さんの取り組むスペイン語圏のガザ報道の紹介記事。スベ語世界の平和運動に注目