レギュラーコメンテーターとして出演しているテレビ朝日「モーニングバード!」7月1日(火)の放送で、集団的自衛権行使を容認する閣議決定に反対するデモのニュース、覚醒剤使用などの罪で起訴されていたASKA被告が保釈を申請したニュース、低血糖症状との関連が疑われる自動車暴走事故のニュース、韓国の旅客船セウォル号沈没事故でずさんな救出活動が行われていたというニュース、そして行政の監視が行き渡らない場所で増加する老人介護施設の問題、主にこれら5点についてコメントをした。
レギュラーコメンテーターとして出演しているテレビ朝日「モーニングバード!」7月1日(火)の放送で、集団的自衛権行使を容認する閣議決定に反対するデモのニュース、覚醒剤使用などの罪で起訴されていたASKA被告が保釈を申請したニュース、低血糖症状との関連が疑われる自動車暴走事故のニュース、韓国の旅客船セウォル号沈没事故でずさんな救出活動が行われていたというニュース、そして行政の監視が行き渡らない場所で増加する老人介護施設の問題、主にこれら5点についてコメントをした。
記事目次
安倍内閣は7月1日、集団的自衛権の行使を可能にするための閣議決定を行った。正式な憲法改正という手続きを踏まず、国民の承認なしに憲法を歪めようとする安倍内閣のやり方に対し、抗議の声は強い。
6月30日の夕方より総理官邸前は、「戦争反対」「安倍は辞めろ」と叫び続けるデモの群集により埋め尽くされた。7月1日にかけて国会周辺には多数の警官が動員され、いたる所で通行禁止措置が取られた。特に、各横断歩道に配置された数十人単位の警官が通行者の行く手を阻み、デモの中心である官邸前交差点には近づくのが難しい状況となっていた。
岩上「IWJでは4つのカメラでデモの様子を、4元同時中継しました。デモにはいろいろな方がいらっしゃっていました。元自衛官で『こんな形で自衛官の血が流されたらたまらない』と語る人もいました。
また創価学会員であると名乗る方もいらっしゃいました。『公明党が協力に踏み切ったが、我々は納得していない。どうか今からでも考えを変えてくれ』と話していました。
この他には、いろいろな人たちがインタビューに答えてくれました。いろいろな思いがあるということです。
この問題は戦争に関わってくる、それほど重要なことです。それよりもなによりも、憲法の問題を、自公の話し合いと閣議だけで、解釈を変えていくという、手続きのあり方は誰も納得できないし、それが通るのであれば、あらゆる法体系は閣議一つで変えられてしまうことになるんですよ。
もう意味をなさないですね、法治国家としての体をなさない。やっていいことか、悪いことかと言ったら、いいことであるはずはないんです。これは、はっきりしている。
憲法改正の手続きは厳密に決められています。それを閣議で決定してはいけないんですよ。いけないという違法行為が、目の前でまかり通っているんです。考えらない事態だと思います」
放送終了後、集団的自衛権に対する私自身の思いを再確認する意味で、私は次のようにツイートした。
「日本を守るのは日本自身である。同盟国ではない。日本を守る根拠は個別的自衛権である。集団的自衛権ではない。現行憲法の9条解釈では個別的自衛権で日本の防衛は認められている。日本は自力で守りうる。米国の戦争に巻き込まれて利用され、蕩尽されてゆくための仕掛け、集団的自衛権は必要ない」
※IWJでは、6月30日から7月1日にかけて、総理官邸周辺のデモ行動の模様を徹底中継した。「やってはいけない違法行為」への抗議に立ち上がる人々の姿を、ぜひご覧いただきたい。
6月30日、覚醒剤使用などの罪で逮捕・起訴されていたASKA被告が保釈を申請した。ASKA被告は、覚醒剤と合成麻薬のMDMAを所持・使用した疑いで先月17日に逮捕されていた。
取り調べに対しASKA被告は、曲作りのために深夜まで起きている必要があり、眠気を覚ますために薬物を使用していたと供述している。ASKA被告は、これが初犯で、使用した薬物の量は多くないとも言われている。また、ASKA被告ともに、知人女性の栩内香澄美被告も覚醒剤所持の疑いで逮捕された後、起訴されている。
ASKA被告の事件自体はこれで一段落ということだろうが、何もないところから突然に彼が薬物に手を出すようになったはずがない。組織的な密売があるからこそ、薬物依存者が後を絶たないのだが、これまでの捜査や報道からは、そのような背景を解明しようとする意図が感じられない。
岩上「知名度が高いという意味での社会的影響と、多くのファンを悲しませたという点は、その通りだと思います。しかしASKA氏と栩内さんの二人がワンセットにされ、『捕まりましたよ』『二人の犯行です』『以上』という幕引きの仕方。こういう捜査、あるいは報道のあり方に、非常に違和感を感じます。
麻薬の犯罪が発生するということは、確実に入手ルートがあるということです。誰から、どんな形で、手に入れたのか、そして、売った麻薬組織はどこなのか、そして、そういう組織を壊滅させるような捜査は行われているのか。
一緒に麻薬を使用していた人が他にも複数いないのか。他に譲渡した人はいないのか。こうした疑問が淡々と済んでいるのですね。二人だけが屹立し、周囲に関係者がまるでいないかのような終わらせ方になっています。そうしたことに、とても違和感を感じます」
6月30日午後4時ごろ、大阪・御堂筋でワゴン車が暴走し、3人が重軽症を負う事件が発生した。ワゴン車は一方通行の道を逆走したり、バックと前進を繰り返した。自転車の女性をはねたほか、乗用車と正面衝突し、停車中のトラックに追突した。ワゴン車を運転していた65歳の男性は軽症だった。
事故の目撃証言によれば、ワゴン車の運転手の目は「据わっていた」といい、家族によれば低血糖になることがあるという。糖尿病でインスリン治療を受けると、過度なインスリンの効果により低血糖症状が起こり、めまいや動悸、意識障害の原因となるとされる。ただし、今回の暴走との因果関係はまだはっきりしていない。捜査を続けている大阪府警南署は、事件との因果関係を調べる方針だ。
岩上「目撃証言だけではまだ分からないところが多く、これは捜査・裁判で争われるべきものだと思います。ただ、過去には糖尿病を患う人が事故を起こしたという前例があります。
過去の事件では、いろいろに争われた挙げ句、事件時、裁判の中で、無自覚な低血糖、予兆なしに起こる低血糖だったと認定されました。私の知人に1型の糖尿をお持ちの方がいて、毎日インスリンの注射を打ちますが、ほとんど前兆なしに眠ってしまい、パッと目が醒めるのです。
そういうことが起こる人がいるのは、間違いがない。後は、『気をつけて運転しなさいね』ということなのですが、予兆が起こったら運転しないように、と言っても、この症状は前兆なく突然にくるものです。インスリンを打った後に食事をしないと低血糖になるといいます。
コントロールしようとしても、起きることがある。その事実が認められ、さて、どうなったかと言うと、そこからが解釈の問題となります。『起きうることだが、それでも気をつけることができたはずだ』と過失の責任が発生し、高額の賠償金を命じる判決が出ました。
ただ、こういうことが多発するので、今年の5月に施行された『自動車運転死傷行為処罰法』では、統合失調症やてんかんと並んで、糖尿病の意識低下も含まれるようになりました。ですから、糖尿の意識低下を持病としてお持ちの方には、免許取得や取り消しの事由として、よりハードルが高くなることがあるかもしれません」。
【補足】
自動車運転処罰法(「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)は2014年5月20日に施行された。警視庁は、施行の背景を次のように説明する:「登校中の小学生等の列に無免許の少年が運転する自動車が突入して10人の児童等が死傷するなど、痛ましい重大交通事故がここ数年相次いで発生しました。このような事件の中には、今まで刑法に規定されていた危険運転致死傷罪の要件には当てはまらず、刑罰の軽い自動車運転過失致死傷罪が適用されていました。
『もっと厳罰を科すべき』という厳罰化を願う声や国民の関心が高まり、危険運転致死傷罪に新たな類型を追加するなどして、悪質・危険な運転者に対する罰則を強化した「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が、平成26年5月20日から施行されました」
このうち、第3条は、「危険運転致死傷」として新設されたもので、その第2項では、政令で定める病気の影響で運転が困難になり、人を死亡または負傷させた場合にも、処罰の対象となることが定められている:
「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者」
このうち、人を負傷させた場合は12年以下の懲役、死亡させた場合は15年以下の懲役が科される。
法務省の説明によれば、ここで言われる「政令で定める」ところの病気には、以下の6つが含まれる:
①自動車の運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する統合失調症
②意識障害又は運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるてんかん(発作が睡眠中に限り起こるものを除く。)
③再発性の失神
④自動車の運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症
⑤自動車の運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈するそう鬱病(そう病及び鬱病を含む。)
⑥重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
韓国の旅客船・セウォル号が沈没した際に、船内の生存者へ向けて、空気の注入作業が行われた。ところが、作業に当たった潜水士の話により、注入された空気は、削岩機や塗装スプレーの噴射などの用途で使用されるものである可能性が浮上した。この種の工業用圧縮空気には一酸化炭素などの不純物が含まれ、人体には致命的な影響を与えることが知られている。
朴槿恵(パク・クネ)大統領はセウォル号沈没翌日の4月17日に、行方不明者の家族の前で、船内への空気注入を約束していた。これを受け海洋警察は18日に、空気注入を開始したと家族に説明していた。
岩上「海洋警察は既得権益を守るため、ほんとうに力になる潜水業者を、あの事件当時、排除していた。この文脈で考えれば、このようなことは、不自然ではないと思います」。
韓国では7月30日に15議席を争う補選が行われます。初期の段階では強かった与党ですが、パク・クネ政権にとって痛手となり、支持率はじりじり下がり続けていくことになります。政治的な影響も出ると思います」
【補足】
バク・クネ大統領は6月26日、チョン・ホンウォン国務総理の留任を発表した。チョン総理は4月27日に、セウォル号事故対応の責任をとり辞任を表明していたが、後任が決まらない状態が続いていた。この決定に対し、大統領の周囲からも「遺族と国民が受け入れられるものではない」という声が上がっている。この人事に反発する世論が強まれば、7月30日に実施される再・補欠選挙で、与党・セヌリ党が過半数を失うのではないか、という見方が出ている。私は5月24日、朝鮮近現代史がご専門で、滋賀県立大学で教鞭をとる、河かおる氏にインタビューをした。韓国事情に精通する河氏の解説に依りながらこの事件の背景を探ると、一つの旅客船の沈没事故の裏に、新自由主義的な風潮に覆い尽くされようとする韓国社会の実相が見え隠れすることが明らかとなった。
「高齢者向けマンション」に入居していた5人が、胃ろうチューブが交換されない、拘束されるなどの被害を受けた上、預金を不正に引き出されたとして、マンションの経営者らに対して訴えを起こした。マンションのホームページでは「ホテルのような快適性」がうたわれていた。
原告5人はいずれも「判断能力が低下している状態」。寝たきりで、要介護4または5の認定を受けていた。また、生活保護を受給していたが、入金の度に全額が引き落とされ、残高がゼロになることが続いていた、と原告の弁護人は話す。
「高齢者賃貸マンション」は介護保険制度とは関係なく運営されている施設であるため、行政の監視が行き届かず、このような問題が発覚しづらい面がある。また、入居者が認知症で判断能力を失っている場合が多いことも、実態が表面化しない原因となっている。
岩上「事件の背景には、病院ができるだけ老人を受け入れないようにしていることがあります。これはお役所の監督によるものですよ。なるべく医療負担を減らしたいという意図が透けて見えます。
その一方で特養(特別養護老人ホーム)が制限を設けている。多くのお年寄りが行き場を失っているわけですね。家庭の扶養力はどんどん落ちている。独居老人の数、比率がものすごく増えていて全世帯の15%とも言われています。たいへんな数です。
そうしますと、助けてくれる人がいない状態の中、自分の判断か、あるいは周囲が押し込めるようにして、どこかに預かってもらう。そういう無届け施設がどんどん増えてきてしまっています。
2009年にホームが火事になった事件がありました。無届け施設がどれだけの数あるのか、国もまったく把握していなかった。その時に国が一括して調べたら、579施設あると分かった。ところがその後、都道府県が調べたら、まだ他にもあることが判明。その時点でしか調査は行われていないと思われます。
全然、誰も把握していないのですね。この国で、どこの所管でもなく、どこの省庁も何も把握していないジャンルの施設があるということは、大変怖いことです。このような施設が増加していることは間違いないですが、そのこと自体、理解されていない。
発覚した事例では、ご老人を押し入れに入れ込んだり、畳一畳にぎゅう詰めにしていたというのもある。無届け状態でいいとか、いくつもの網の目をかいくぐり、老人を預かることの出来る状態があることは、早く解消するべきですね」
【補足】
2009年3月19日、群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」で火災が発生し、入居者10人が死亡した。この施設は高齢者を有料で入居させていたが、運営側は入居者の年齢制限を設けていないと主張し、県に届け出ていなかったため、行政が有料老人ホームとして把握することはなかった。この施設の入居者の多くは東京都内から移住した生活保護受給者だった。背景には、都内に低所得の高齢者を受け入れる施設が不足している実情がある。都内の自治体は、率先して地方の受入施設へ送り出し、多くの場合、生活保護管轄の移管がされないまま、都内から地方への移住が行われた。したがって、受け入れ側にとっても、生活保護費という確実な収入が見込めるという「メリット」があった。
この4月から、低所得の高齢者は窮地に立たされている。70歳から74歳の医療費の自己負担が、これまでの1割から2割へと上昇した。また、国民年金と厚生年金の支給額は、4月分から0.7%切り下げられた。
さらに消費増税が追い打ちをかける。介護施設が提供するサービスのうち、食費や居住費などは利用者の負担であり、消費増税分が直接反映される。ことは人の暮らしに関わる問題であり、介護施設も容易には値上げに踏み切ることができないでいるという。
6月18日には、「地域医療・介護総合確保推進法案」が参議院で可決。この法律により、特別養護老人ホームへの入所には、原則として「要介護3」以上の認定が必要となる。また、軽度の介護が必要な「要支援1、2」の人へ提供される訪問・通所介護が、これまでの介護保険によるサービスから、市町村による事業へと置き換わることから、対応の質に自治体間で格差が生じるおそれが指摘されている。
★岩上安身がレギュラーコメンテーターとして出演中のテレビ朝日「情報ライブショー モーニングバード!」は、毎週火曜日午前8時から放送中! ぜひ、ごらんください。
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