「500万人の難民が国内外にいる」 〜パレスチナ・ガザ最新報告 極限封鎖の中で生きる人々を訪ねて 2014.3.22

記事公開日:2014.3.22取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

特集 中東

 「地球に住む市民として、自国の利益が、他国の不利益を生み出してしまう構造を、転換しなければいけない」──。

 2014年3月22日、大阪市の大阪YWCAで、日本国際ボランティアセンター (JVC)主催の報告会「パレスチナ・ガザ最新報告 極限封鎖の中で生きる人々を訪ねて」が行われた。JVCの現地調整員である金子由佳氏が、イスラエルによる封鎖と空爆によって苦しい生活の続くパレスチナ・ガザ地区の現状と、栄養失調対策などの活動について報告した。

■全編動画 ※一部、映像の乱れがあります。ご了承ください。イベントは1時間56分で終了です。

  • 報告 金子由佳氏(日本国際ボランティアセンター ガザ担当)

拡大を続けるイスラエルの入植地

 日本国際ボランティアセンター(JVC)の現地担当として、2012年からパレスチナに赴任し、情報集種や事業の計画、実施をしている金子由佳氏は、まず、パレスチナの概要を解説。その中で、パレスチナの抱える問題の基本的な要素として、土地争いがある点について触れた。

 ユダヤ人迫害の機運が高まる中、ヨーロッパに起きたユダヤ人の国家建設運動であるシオニズムの意向を汲んだ、国連の正式決議によって、ユダヤ人がパレスチナの地に戻ってきたこと。その時の分割案に対するアラブ人の反発をきっかけに、中東戦争が起こり、パレスチナの土地をイスラエルが組み込む形で独立した経緯を説明した。

 また、1993年に、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の間で結ばれたオスロ合意の中で定めた、「イスラエルが占領してきた土地を、段階的にパレスチナに返還する」という約束が果たされないまま、現在に至るまでにイスラエルの入植地が2倍にまで拡大している現状に懸念を示した。その上で、イスラエルとパレスチナを隔てる壁によって、物資運搬の制限や医療機関への往来の制限、家族が離ればなれになってしまう状況を語った。

人口の約8割が国際援助に頼るガザ地区

 次に、度重なる軍事侵攻と占領、封鎖が長引くガザ地区について語った金子氏は、「世界的にも人口密度の高いこの地域では、住民の8割が難民であり、国際援助に頼らざるを得ない状況だ」と語り、安定的に食糧を得られる人は全人口の3割であり、子どもの栄養失調も深刻な問題となっていると訴えた。

 続いて、JVCによるパレスチナ、東エルサレムでの、自発性を活かした支援の枠組み作りや、人材育成、課題解決のための事業などを紹介。金子氏は「広がる入植地を、どうやって返還していくのか。NGOとしては、市民連帯が重要な鍵となる」と述べ、地球市民として、自国の利益と他国の利益が、イコールで結ばれるような構造を作っていく必要性を語った。

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