舛添要一東京都知事、政党交付金で借金返済!? 2億5千万円の疑惑について、政治資金オンブズマン共同代表・上脇博之神戸学院大学教授が徹底検証!~岩上安身によるインタビュー 第407回 ゲスト 上脇博之氏 2014.2.27

記事公開日:2014.3.17取材地: テキスト動画独自
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 2月に東京都知事に就任した舛添要一氏の「政治とカネ」の問題が未解決のままとなっている。

 1月21日、しんぶん赤旗が、舛添氏が立ち上げた政党「新党改革」の借入金2億5000万円の一部の返済に立法事務費と政党交付金が使われたと報じた。(しんぶん赤旗 1月21日(火)

 立法事務費と政党交付金は税金が原資であり、借金の返済に当てるのは違法である。しかし、告示の2日前に行われたこの報道を後追いする主要メディアはほとんどなく、選挙期間中、大きく取り上げられることのないまま、舛添氏は東京都知事に就任した。

 この舛添知事の政治資金問題について、詳細な検討を加えている神戸学院大学大学院・実務法学研究科の上脇博之教授に岩上安身が話をうかがった。

■イントロ

  • 日時 2014年2月27日(木) 17:00~
  • 場所 神戸学院大学 有瀬キャンパス(兵庫県神戸市)

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 上脇教授は、NGO「政治資金オンブズマン」の共同代表をつとめており、憲法学の研究者として、政治資金と憲法の問題を研究する一方で、弁護士、公認会計士らとともに政党の政治資金問題の追及を行い、時に検察に刑事告発を行うなどの活動も行なってきた。

 上脇教授によれば、立法事務費は、法律を作るときに掛かる費用の一部を公金でまかなうためのものであり、その目的以外に使うのは違法である。また、政党交付金の使い途は原則自由だが、定義からして、借金の返済には使えないと解釈できると上脇教授は述べる。

 都知事選挙のあと、2月12日に行われた都知事就任の記者会見で、舛添新知事は、この2億5千万円の疑惑について質問され、「基本的なことは法律にのっとって、問題なく処理する。内容については、新党改革の今の代表の荒井広幸氏(当時は党幹事長)が説明をしている。その説明の通りだ』と断言した。この荒井氏の説明というのは、1月24日に開かれた会見でなされた説明である。

 その際、荒井氏は、「立法事務費については2010年の返済のときには使っていないが、2011年と2012年には借金返済に活用した。借金を早期に返済し、立法体制を作る必要があったため、立法事務費を借金の返済にあてた」と述べた。

 これについて、上脇教授は、「荒井さんが立法事務費を借金返済に活用したと言ったのは『自白』だ。立法事務費は立法活動のための公金だから、私的な存在である政党の借金返済に使用することは『公金の私物化』だ。罰則規定がなく、国民訴訟も法制化されていないが、違法であり、政治的責任が問われる」と述べた。

 また、2月14日の都知事定例会見で舛添知事は、「借金を立法事務費で返すことは調査・研究に資すると言えないのでは」という記者からの質問に対して、「おそらく、早く借入金を返して体制をつくろうとしたのだと思う。本来的にはそういう使い方をしない方がいいと思う。幹事長(荒井氏)の方向に任せていた」と説明した。上脇教授は、舛添知事が説明を変えてきており、荒井氏に責任があり、自分の責任ではないことをアピールし始めたと指摘する。

 上脇教授は、新党改革の借入の時期や金額について綿密な精査を行っている。新党改革は、2010年5月に5000万円、6月に2億円を借りている。そして、2010年のうちに1億5000万円、2011年に5300万円、2012年に4800万円を返済し、すべての借金を完済した。

 「お金がない政党なのに、どうして返済できたのかがポイントです」と上脇教授は述べ、「新党改革の2010年の収入は4億円だが、この4億円には借入の2億5000万円と 立法事務費と政党交付金の1億3900万円が含まれている。借入金と税金収入を除く純収入は1464万円しかない。こんな政党が、2億5000万円を返せるのでしょうか?」と疑問を呈した。

 荒井氏の「2010年に1億5000万円を返済できたのは、使わずに残っていたから」という説明だと、1億円を返済した2010年7月の時点で1億5000万円を持っていたことになる。上脇教授はこの説明に疑問を呈した。「この説明は変だ。利息を考えたら、早く返すはずだ。本当は1億5000万円持っていなかったのではないか。次の返済の12月までにお金を工面したのではないか」。

 上脇教授は、新党改革の収支報告書にもとづいて、綿密なシミュレーションを行った。収支報告書では支出と収入の日付が分からないものがあるため、「日付の分からない収入ついては借金返済が行われる前にお金が入ったことにし、日付の分からない支出については借金返済が終わった後に支出したと想定し、できるだけ新党改革に有利なように」シミュレーションを組み立てたという。

 その結果分かったことは、返済の時期と金額の辻褄が合わないという事実だった。

 荒井氏は「2010年には立法事務費には手を着けていない」と述べていたが、シミュレーションによると、立法事務費を使ったとしか考えられないと上脇教授は主張する。

 また、政党交付金が迂回して借金返済に回された可能性があることも指摘した。「2010年から2011年にかけて、新党改革本部から、第4支部(舛添氏代表)と第2支部(荒井氏代表)に資金が流れている。そして、翌年に支部が本部に寄付している。これは、政党交付金が還流したということだ」。

 2011年に新党改革が借金を完済するまでに、新党改革の本部は、 第4支部(舛添氏代表)と舛添氏の資金団体(グローバルネットワーク研究会)から723万円の寄付を受領している。つまり、本部から支部に政党交付金を流し、支部から本部に寄付として返しているのである。この「マネーロンダリング」によって、借金返済にあてられた資金は「政党交付金」ではないように見せかけられている。

 さらに、上脇教授は、「2012年が一番手口がひどい」と呆れたように言う。政党交付金を借金返済にあてたとみられないように、いくつかの手口が用いられている。

 ひとつめが立法事務費の活用であり、ふたつめが政党支部や資金管理団体を迂回した政党交付金の還流だ。そしてもうひとつ、舛添氏と荒井氏の新党改革に対する個人的な寄付というかたちで流れたお金がある。

 政党に対する個人的な寄付というのは美談にも見えるが、実態はそうではない。というのは、新党改革から、舛添氏と荒井氏に「組織対策費」という名目で、それぞれ計800万円の政党交付金を支出しているからである。つまり、政党交付金が新党改革から舛添氏と荒井氏に流れ、この二人は新党改革に寄付をしているのだ。この資金の流れを見ると、新党改革の借金返済には実質的に政党交付金があてられていると言える。

 上脇教授は、「2012年のやり方は露骨。明らかに政党交付金で返済しているので、違法だ。大胆不敵というか、悪質だ」と批判し、「これらの疑いについて、舛添都知事は説明すべきだ」と語った。

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  1. hanako より:

    「政治資金オンブズマン」について物申します。

    1.政治資金オンブズマンのホームページ 連絡先・お問い合わせにあるFAX番号06-6314-4187に、2.のことでFAXしましたが、「おかけになった番号は現在使われておりません」という案内がでて用をなしませんでした。
    ちなみに2014年1月26日更新とあります。いったいどうなっているのでしょうか?
    まともな団体であるならば、きちんと電話番号やFAX番号を掲載されてはいかがでしょうか。

    2.政治資金オンブズマンのホームページの2009年7月27日付ブロクに、衆議院議員二階俊博氏に関連する東京
    第三検察審査会の7月21日の「議決の要旨」のPDFが掲載されています。
    PDFでは東京第二検察審査会となっていますが、東京第三検察審査会の間違いではないでしょうかと、その旨FAXを3月11日付で、「あさひパートナーズ法律事務所」宛に送信しました。事務所の担当者にはさらに電話で要件を伝えましたが、その後何の返事もありませんし、ブログ掲載は第二のままになっています。もちろん当方の連絡先を明らかにした上での話です。

    このように、政治家のお金の問題を追及するのも結構ですが、まずご自分たちの団体の連絡先や外部からの指摘に対し真摯に対応する姿勢をみせていただきたいものです。そしてIWJも今回の舛添知事のお金の問題を、上脇教授に聞いたのなら、総務省の政治資金課の担当者に、違法にあたるかどうかを聞いてみてください。「政治とカネ」の一方的なモノの見方の取材は、誤解を生むもとになりますので。

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