集団的自衛権の行使容認に向けて、解釈改憲を進めようとする安倍政権を、どのようにして止めることができるのか──。
2月15日、「第17回 許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会 公開講演会 とめよう『戦争する国』づくり」が開かれた。
(取材:IWJ 松井信篤、記事:IWJ ゆさこうこ)
集団的自衛権の行使容認に向けて、解釈改憲を進めようとする安倍政権を、どのようにして止めることができるのか──。
2月15日、「第17回 許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会 公開講演会 とめよう『戦争する国』づくり」が開かれた。
■ハイライト
文芸評論家の斎藤美奈子氏は、「安倍内閣の暴走と改憲」をテーマとして講演を行った。特定秘密保護法の成立や武器輸出三原則の見直しによって、「戦争への道」が進められる一方で、教育現場においても、「自虐史観」を批判するような歴史修正主義の教科書が席巻するなど、改憲への布石が着々と進められていると斉藤氏は述べる。
自民党は2012年4月に憲法改憲草案を発表したが、この改憲案について、斉藤氏は、国民主権・基本的人権・平和主義が脅かされており、単に9条の変更だけが問題なのではなく、改憲案は国民の生活を苦しめるものだと主張した。例えば、改憲案に書かれた「家族は、互いに助け合わなければならない」という文言は、福祉を切り捨て家庭に責任を押し付ける、新自由主義的な自己責任論に基づいているという。
また、改憲案には国防軍の新設について書かれているが、これについても、国防軍ができると軍事法廷ができるため、国のあり方を大きく変えるものだと指摘した。
改憲に反対していくために斉藤氏が訴えるのは、「未来志向の改憲反対運動」だ。現在50歳以上の人でないと戦前のイメージを持っていないため、「戦前に戻ってしまう」という危機感は若い人には通じない。そのため、「私たちは殺すのも殺されるのもイヤだ」「平和もヤバイが人権もヤバイ」「反戦や脱原発に右も左もありません」という論法で進めなければいけないと述べ、「明日に向けたアピール」を訴えた。
琉球大学法科大学院教授の高良鉄美氏は、「憲法のDNAを変えるのが集団的自衛権」であると言い、第一次世界大戦がどのように勃発したかの事例をあげながら、「集団的自衛権は戦争を誘発しやすい」と述べた。
現在、安倍政権は憲法の解釈を変更することによって、集団的自衛権の行使を容認するよう進めている。こうした「解釈改憲」の動きについて、高良氏は、「憲法はもともと権力を制限するためのものなのに、解釈で変えるというのは憲法に対する挑戦だ」とし、安倍首相を「法の支配を知らない為政者」と批判した。
また、昨年12月に発足した国家安全保障会議(日本版NSC)には、内閣のメンバーの大臣が含まれているものの、内閣そのものが入っているわけではない。このことは、憲法第65条の「行政権は、内閣に属する」という規定に違反すると指摘する。
高良氏は、民主主義とは多数決だと思っている国会議員がいることを批判し、「情報公開がなされて判断材料が提供されているか、人権侵害がないように尊重されているか」が重要だと述べた。
さらに、「民主主義をうたう政府」が今、沖縄に対して行っているのは、基地の押しつけだと言う。名護市辺野古への米軍基地の移設に反対する稲嶺進氏が、名護市長に再選された2日後に、沖縄防衛局は基地移設の受注業者を募る入札を公告した。高良氏は、「基地の島沖縄 千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」にしてはならないと強く訴えた。