「特定原子力施設の事象を杓子定規にINES評価するのはいかがなものか」 ~第26回原子力規制委員会

記事公開日:2013.10.9取材地: テキスト動画
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 2013年10月9日(水)10時半より、東京・六本木の原子力規制庁で第26回原子力規制委員会が行われた。特定原子力施設で発生した事象を、通常の発電施設と同様に杓子定規にINES評価し数値を与えるのは議論の余地がある。

■全編動画

  • 議題
    1.日本原子力発電からの敦賀発電所2号機の使用済燃料貯蔵設備に関する報告に対する原子力規制委員会の評価について
    2.東京電力福島第一原子力発電所における汚染水貯留タンクからの汚染水漏えいについて
    3.原子力施設に係る平成24年度放射線管理等報告について
    4.原子力総合防災訓練について
  • 日時 2013年10月9日(水)10:30~
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

INES評価付けのまえに正確な情報発信が大切

 東京電力福島第一原子力発電所(以後1F)の事故はINESレベル7と評価され、特定原子力施設と指定されている。その廃炉措置途上で発生している軽微な事象、事故を、杓子定規にINES評価するのはいかがなものか、と更田委員から指摘があった。

 経緯として、10月2日ににて、1F-B南エリアのタンクからRO処理水が漏洩した。漏洩した放射性物質量も少なく、環境へ安全上の問題はなくいものだが、安全性を説明するコミュニケーションツールとして活用するという観点からINESレベル0(安全上重要でない事象)と評価した。
 また、10月7日に1Fで、定時点検時の操作ミスからメタクラ装置をシャットダウンし、一時的に炉注水量が低下した事象が発生した。装置に異常はなく、数時間後に復帰し安全上の問題はなかった。

 これらを、通常の発電施設と同様にしゃくし定規に「運転上の逸脱(LCO逸脱)」と扱ってよいものかどうか、と提案した。INES評価は事故の重大度を示すとともに、安全性を説明するコミュニケーションツールでもあると考え、既にINES7と最大の値で評価されている施設に、別件でレベル0やレベル3と評価することが良いのか、疑問が呈された。

 田中委員長は、1Fの別の漏洩発生時にINESレベル3と評価し、発表した際、「INESレベル3」が独り歩きし、充分な報道がなされなかったことを苦く思っている。また中村委員は、単純な数値付けより、正確な情報をタイムリーに国際的に発表することが大切だと述べた。

 山田課長からLCO逸脱は保安規定に記載があり、事業者はそれに従って報告している。運用について今後東電と相談すると述べた。

東電の核種分析能力は信用できるのか?

 1F-B南エリアタンクからの漏洩に関し、東電は各所で水の核種分析を行い汚染の拡散度を調査している。そのデータを見て更田委員は、セシウム134と137の同位体比が、場所によって大きく異なる。分析能力、分析精度を疑うと苦言した。

1Fのデータはある意味貴重な実データ

 平成24年度放射線管理等報告について、各事業者、各施設の放出量、廃棄物管理状況、作業者被曝・線量管理状況をとりまとめられ、報告された。
 中村委員は、「1Fの状況はある意味貴重なデータ」だと述べ、国際的な関心も高いだろうから「英語版をホームページで公開したい」と事務局に要請した。

シナリオを事前に明かさない原子力総合防災訓練を実施

 今週末10月11日(金)から12日(土)にかけて、新しい原子力災害対策指針が制定され、また規制委/規制庁発足後の初の大規模な総合防災訓練が開催される。
 従来と異なり、事故のシナリオを事前に明かさず、事態の進展に従い情報を与える「実時間実働訓練」だという。また消防、自衛隊などの実働部隊は、実働部隊も参加、できるかぎりマスコミオープンに行う方針を報告した。

日本原電より再び異議申し立て文書

 日本原電より再び異議申し立て文書が届けられたと発表した。しかし、第25回の委員会で却下しており、その決議までに届かなかったこと、内容が争点と関係ないことから、無効であるとし、報告のみということだった。

 田中委員長は「(異議申し立てを)公開の場で議論することが良いのか、事務局で検討されたい」と述べた。

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