「7ヶ月前、新大久保の排外デモの酷さに声も出せずに泣きました。酷い言葉で埋め尽くされた町を笑顔で上書きしましょう」ーー。
開会式でこのように話したのは、ライターであり自身も在日韓国人の李信恵氏。9月22日、ヘイトスピーチを始め、人種や国籍などあらゆる差別に反対する集会とデモ「差別撤廃東京大行進」が行われた。
新大久保や鶴橋などで度々行われている在日の人々に向けて「ヘイトスピーチ」を使用する「在特会」などの排外差別デモに対して、抗議の声を上げる市民の姿を、IWJは今年の2月から取材を続けてきた。
今回、抗議の声を上げ続けてきた市民らが中心となり「差別撤廃東京大行進」を企画。全部で3つの梯団に分かれ、新宿や新大久保の街を練り歩いた。
IWJは3台のカメラを出し、各梯団(計3梯団)ごとに集会からデモ終了まで、参加者へのインタビューを交えながら中継した。集会ではまず、日本政府に対し、人種差別撤廃条約を誠実に履行することを要請する決議文が読み上げられ、参加者による拍手によって採択された。
デモ参加者は、主催者発表で3000人。多くの市民が参加し「差別をやめよう」「一緒に生きよう」と、差別反対の声を上げながら、約4kmの道のりを歩いた。参加者には有田芳生参議院議員や、豊島区の石川大我区議会議員なども参加。新宿中央公園からスタートし、普段、排外差別デモが行われている職安通り、靖国通りを抜け、柏木公園を最終地点とした。参加者が、道行く人に笑顔で手をふると、振り返す人も多く、デモは終始なごやかなムードで行われた。
有田議員はデモを終えた参加者らに対し、「レイシストたちへの反対運動が、これまでと違った形でさらに高い段階で第一歩が始まった」と述べ、「人種差別撤廃条約を具体化しようというデモは、日本では初めて。この世論を力に、国会でも地方自治体でも条例なり法的規制を本気で議論をしていかなくてはいけない。これからが大事なところだ」と、今後、さらに人種差別問題に向き合っているく姿勢をみせた。
- デモコース
12:30 新宿中央公園・水の広場 集合/13:00~ 出発 → ヒルトン東京前 → コクーン → 新宿駅西口ハルク裏 → 小滝橋通り → 職安通り → 区役所通り → 靖国通り → 新宿大ガード → 柏木公園
- 日時 2013年9月22日(日)
- 場所 新宿・大久保周辺(東京都新宿区)
- 主催 People’s Front of Anti-Racism
モチーフとなった「ワシントン大行進」
今回の東京大行進は、「ワシントン大行進」をモチーフにして行われた。
ワシントン大行進とは、キング牧師らが1963年にワシントンDCで行った「人種差別撤廃」を求める行進であり、この時の参加者は20万人と言われている。有名な、キング牧師の「IHave A Dream! 」から始まる演説もこの時に行われた。
デモの開始前、新宿中央公園で開かれた集会で、実行委員を代表して登壇したツイッターアカウント @noiehoie氏は、「今日、50年前のワシントン大行進でキング牧師らが点した灯火を受け継ぐことができる。ゴールを迎えた後もこの歩みは止まらない」とスピーチした。
テーマごとに3つの梯団
デモは、3つの梯団に分かれて行われた。
第一梯団は、東京大行進のモチーフとなった「ワシントン大行進」に敬意を込め、「スーツ」を着用した参加者やマーチングバンド隊などで構成された。
参加者らは「差別をやめよう! 一緒に生きよう!」とコールを上げた。沿道からは、手を振る人、共感の声を上げる人が目立ち、デモ隊の主張やコールに多くの支持が集まった。第一梯団の先頭は、有田議員、共産党・小池晃参議院議員なども参列した。
第二梯団は、巨大なスピーカーが積まれたサウンドカーにMC2人が乗り、「差別をやめよう」「一緒に生きよう」とヒップホップのリズムやメッセージで参加者を先導。沿道からこのデモを見ていた一般市民の中で、特に若者から多くの注目を浴びていた。
MCの1人として参加したラッパー・悪霊氏は、IWJのインタビューに応え、「(8月の差別デモで)歩道で東南アジア系の子どもが信号待ちをしていた。在特会らがその子に『ゴキブリ』だのなんだの言っていた。それ見てさすがに『フザケんな』って…久々に頭が真っ白になるまでブチギレた。ああいうことを言わせちゃダメでしょう、大人は」と語った。
第三梯団セクシャル・マイノリティや在日外国人をはじめとする、マイノリティの人々などが参加。「我々はもう既に一緒に生きている~WE’RE
ALREADY LIVING TOGETHER」。先頭には、DJとピンクの衣装を着たドラァグクイーンが乗ったトラックを配置。音楽とダンスで人々を盛り上げた。
自身もセクシャル・マイノリティである男性は、「マイノリティーの人々に対する日本の対応は、徐々に変わってきてはいるけど遅れている。他国では同性婚が認められてきているが、日本ではその気配がない」と話し、日本政府の対応の遅れを指摘した。また「マジョリティーの人々も、マイノリティーの人々もすでに共生しています」と述べ、「マイノリティーの人々は、すぐそばにいるよということを伝えたい」と、デモに参加した理由を説明した。
多くの著名人から賛同の声
差別に反対する今回のデモには、議員や大学教授、作家やミュージシャンなど他分野の著名人からの賛同人も多く、実行委員が作ったサイトには多くの人びとの名前と、メッセージが載っている。
梅津和時 (ミュージシャン)
「昔、ある国で、東洋人だというだけで子供達から石を投げられたことがあります。
たぶん、なんの疑いも無く自分達と違うものは排除する、という考えだったのだろうと思います。
差別される側が、どんなに理不尽で、寂しく、悲しく、悔しい気持ちになるのかを身をもって教えられました。
『差別はいけないこと』ということは、はっきりといつも言い続けなければなりません。
そして昔、アフリカでの部族間での対立が、第3者の国の奴隷制度に利用されたことを忘れてはいけません。
近隣との対立は悲しいことです。
国と国、民族と民族ではなくて、『人と人』として仲良く繋がっていきましょう。」
著名人の賛同メッセージは、以下のURLで見ることができる。
「People’s Front of ANTI RACISM JAPAN」(ページ見当たらず)
参加した人びとの声
これまで新大久保で続いている排外差別デモのコース変更を求め、署名活動を展開してきた金展克氏は、「今日は、新大久保で続いてきたカウンター抗議の一つの到達点。2月頃は絶望しかなかったが善意があってここまでこれた。感無量です」と喜びを口にした。
2013年7月14日に大阪で行われた、差別に反対するデモ「仲良くしようぜパレード大阪」の共同代表であるbaby B氏は「仲パレと東京大行進をつなごうと考え、大阪から新宿まで自転車で来た。この流れは絶対に止めてはいけない」と意気込みを語った。
弁護士として参加していた山下敏雅氏は、人種差別撤廃条約の具体化を求める今回のデモについて、「素朴な感情から始まったカウンター抗議がステップアップしてきたということ。とても感慨深い」と語った。
2011年、日本で初めてゲイであることをカミングアウトして当選した、豊島区の石川大我区議会議員は、「多数派が決める『普通』と違うことで、存在がないことにされる辛さがある。個の有り様を隠すことなく、堂々と歩くことができることが何より嬉しい」と述べた。
稼ぎ時の休日に商店街で商売妨害をするデモや、店頭でのデモ以外での商売妨害をYoutubeにアッブしながら刑事事件に発展せず、警察も告訴するように商店に即したという情報が一切入ってこない異常さを多くの日本人と世界中の人達に知って貰うべきです。
安倍晋三氏と自民党が選挙のキャッチフレーズにした“取り戻す”が、実はユーゴ分裂のキーワードと同じであった事。多くの日本人が違和感を持っている、国内の民族差別を始めた団体と安倍内閣の親和性についても国内外に広く知って貰うべきです。
不正選挙の具体的な例が、昨年の衆議院選挙に続いて参議院選挙でも噴出した安部政権と自民党とブッシュ政権の敵を作るという類似性についても多くの日本人と世界中の人に知って貰うべきです。