┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~12月も残り半月となりました! しかし今月12月のご寄付・カンパの目標額達成率は、まだ9%です! 月間目標に達するには、あと91%、319万2000円が必要です! 8月は16%、9月は14%、10月は33%、11月は55%と、第16期は1年の3分の1、4ヶ月連続でマイナスです! 真実を伝えていく活動を続けていくためには、皆様の有料会員登録と、ご寄付・カンパによる皆様からのご支援が必要です! 12月も、どうぞ皆様、お支えください! 今月、12月こそは、月間目標を達成させてください! よろしくお願いいたします!
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┠■トランプ政権の新国家安全保障戦略の全文翻訳を紹介!(その2)「米国がアトラスの巨人のように世界秩序全体を支えてきた時代は終わった」!
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┠■【中継番組表】
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┠■シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー名誉教授が欧州議会で予言!「ウクライナで戦闘が止まったとしても、大規模なヨーロッパ戦争の脅威が消えることはない」!「ウクライナ戦争が終結した後のNATOは、戦争が始まる前よりもはるかに弱体化している可能性が極めて高い」!「ヨーロッパ経済がウクライナ戦争の惨禍から完全に回復するまでには、まだ長い時間がかかると考える十分な理由がある」!「戦争が最終的にロシアの勝利で終われば、トランプはヨーロッパが十分な責任を果たさなかったと非難できるし、ヨーロッパの指導者達は、トランプが、最も必要な時にウクライナを見捨てたと非難することができる」!
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┠■<IWJ取材報告>ポスター発表「一般ポスター18」は、小児甲状腺がんの現状と「原発事故の影響」を問い直す、本当の意味での「福島セッション」だった!~11.29 第68回 日本甲状腺学会 学術集会(第3日)
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■はじめに~12月も残り半月となりました! しかし今月12月のご寄付・カンパの目標額達成率は、まだ9%です! 月間目標に達するには、あと91%、319万2000円が必要です! 8月は16%、9月は14%、10月は33%、11月は55%と、第16期は1年の3分の1、4ヶ月連続でマイナスです! 真実を伝えていく活動を続けていくためには、皆様の有料会員登録と、ご寄付・カンパによる皆様からのご支援が必要です! 12月も、どうぞ皆様、お支えください! 今月、12月こそは、月間目標を達成させてください! よろしくお願いいたします!
IWJ編集部です。
12月は1日から15日までの15日間で、月間目標額の9%に相当する30万8000円のご寄付・カンパをいただいています。
ご支援くださった方々、誠に、ありがとうございます!
しかし、月間目標額の350万円に到達するには、あと91%、319万2000円不足しています!
第16期がスタートして以降、ご寄付・カンパによるご支援は、月間目標額350万円に対し、8月は16%、9月は14%、10月は33%、11月は55%にとどまりました。これで1年の3分の1、4ヶ月連続、目標未達です!
12月こそは、有料会員登録と、ご寄付・カンパによる皆様のご支援で、月間目標額に到達させてください! どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!
安定的な活動のための資金が、IWJは不足しています。財政的には厳しい状況が続いており、真実を伝えていく活動の困難を、痛感しています!
IWJを2010年にスタートさせてからのこの15年間、あるいはそれ以前から、私、岩上安身は、機会があるごとに米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に対し、絶えず警鐘を鳴らしてきました。
第104代の内閣総理大臣に、高市早苗氏が就任しました。
総理となる前の、自民党の総裁選の段階から、中国との戦争の話を絶えず繰り返し、「米軍が中国軍の矢面に立つのではなく、まず日本が正面に立つ」などということまで、テレビの地上波で発言してきた高市早苗氏が、総理となり、予期された通りに、さっそく中国との関係を悪化させてしまいました。
これは一時的な失言問題であるとして、片づけられる問題ではありません。いよいよ日本が「代理戦争」の「捨て駒」となる懸念が、今、まさに現実化しつつあるのを痛感しています。
また、外交・安全保障分野で、まったく政治家としてのキャリアを積んでいない高市氏が、トランプ大統領との初会談で、報道陣の前で腕を組んだり、はしゃいだり、米国に頼りきった媚びる態度に終始したこと、反対に中国に対しては、挑発的な姿勢で、中台関係に介入する姿勢を見せて中国の反発を招いたことに、強い懸念を覚えます。
あまりの突出ぶりに、外交的なポーズであれ、トランプ大統領が高市総理にフライングをいさめたとも伝えられています。対中関係は、現実に、急速に悪化し始め、外交的に収拾する見通しが見られません。
東西冷戦の終わりによって、世界大戦の危機、とりわけ核戦争の危機は遠ざかったと安堵して、約35年が経ちますが、現在は、冷戦後で最も戦争の危機が近づいていると感じられます。
軍事力を支える、肝心の工業力が空洞化してしまっている米国にのみ依存し、米国の戦略に従わされて、対中国との戦争の矢面に日本が立て、と言われて、「代理戦争」の「捨て駒」とされる、そんな危機に直面しているのに、政府も、与野党も、大小のメディアも、世論も、いつまでも、現実を否認し続けています。
さらには、ウクライナにせよ、欧州連合にせよ、その不自然で不可解な「代理戦争」戦略に従う米国の「同盟国」なり「友好国」なりが、一皮めくれば、汚職まみれの体質であることが露わとなりました。
彼らと「国際協調」して、まだウクライナに日本国民の血税を注ぐと約束している高市政権の外交姿勢は、いったい日本の国益にかなうのか、根本から問い直さなければなりません。
そうした矢先に発覚したのが、高市総理と小泉防衛大臣の、「政治とカネ」をめぐるスキャンダルです!
腐敗は、小さな黒いシミのようなものでも、放置しておけば、必ずや黒々と広がり、拡大していきます!
高市総理は、もともと自民党の、長期に渡る、組織的な「裏金作り」の解明に対し、徹底的に抗っていた人物でした。
今、日本に必要な指導者は、腐敗した指導者ではなく、米国に依存し、虎の威を借りる好戦的な指導者でもなく、戦争回避能力に長けている、外交力のある指導者です!
核保有国である中国に対して、非核保有国である日本が通常戦力で挑もうとするような、空疎で勇ましい言葉ばかり吐く、無知で無謀で、しかも汚れた指導者ではありません!
日本を第2のウクライナに、日本の総理を第2のゼレンスキーにしてはいけないのです!
国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめることはできるはずです。日本が対米自立を果たし、「敵国」ばかりになっている周辺国と和解して、各国と平和条約を結び、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。
対米自立と、周辺国との自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、国家としての繁栄も、国民としての日々の穏やかな暮らしも、続けることができません。
米国のトランプ政権は、自国の財政難やドルの信頼の低下という現実を見すえ、グローバルな単独覇権の帝国を自力で維持・拡大することはもはや不可能であると腹を決めたようです。
米国は、冷戦後から続けてきた単独覇権の確立を追求する戦略を改め、新たなモンロー主義(孤立主義)を国家安全保障戦略として採用すると発表しました。
日本は、この国際情勢の変化に、自らを変えていけるでしょうか? 懸念は尽きません。
肝心なことは、リアルな現実をまず直視することです。大小問わず、ほとんどのメディアが、現実直視を避けています。
IWJは現実を直視し、お伝えし続けてきましたし、今もお伝えし、これからもお伝えしたいと思います。
しかし、現実は苦いものです。苦い現実を直視したくない心理が働くからこそ、甘い嘘をつくプロパガンダに人は飛びつき、騙されてしまうのです。
ウクライナ紛争勃発以降、日本を含む西側諸国では、ロシアが2022年に突如として、「いわれなき(理由なき)侵略」を始めた、という薄汚れたプロパガンダが流され、その洪水は、3年半経った今でも続いています。
高市総理はじめ日本政府は、ウクライナが戦場で決定的に劣勢となり、米国が豹変し、どんなに国際情勢が変わろうとも、3年半前と何も変わらずに、「シヤチハタ」のハンコを押すがごとく、同じ定型文を繰り返し発信し続けています。
なぜ、そこまで、嘘をたれ流さなければならないのでしょうか!?
我々IWJは、このしつこいプロパガンダの波にのまれることなく、ジャーナリズムの本道を歩み、当然のことを貫いてきましたし、これからも貫いていきます!
そうやって、苦いリアルな現実を直視した上で、なお、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかが問われています。
IWJは、厳しい経営が続いています。そのIWJの行方は、私達市民が、このリアルと対峙して、なお希望をもてるかどうかにかかっているのだと思います。
市民メディアであるIWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。特定のスポンサーをつけず、スポンサーの意向に左右されることもありません! 権力に忖度することも、してきたことも、1度もありません!
困難は、迫ってきています。向こう数年以内が、東アジアにおいて、日本が、「代理戦争」の「捨て駒」として使われてしまうかどうかの正念場です! そうした事態は、絶対に回避しなければなりません!
しかし、そのリスクは、高市氏が総理大臣となり、小泉進次郎氏が防衛大臣となったことで、残念なことに加速しつつあります!
今期16期、IWJは、日本だけでなく、西側に広がり、やむことのないプロパガンダの毒素にのみこまれず、苦くても真実をお伝えしていきたいと思います!
どうぞ、緊急のご支援のほど、よろしくお願いいたします!
岩上安身 拝
※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!
みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル
城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル
ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
IWJホームページからも、お振り込みいただけます。
※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html
※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
(会員登録済みの方)https://iwj.co.jp/ec/mypage/login.php
(新規会員登録の方)https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
年会費をまとめてお支払いいただければ、12ヶ月中2ヶ月分がサービスとなります。即ち、一般会員が月1100円で、年間だとその12ヶ月分1万3200円のところ、一括払いなら、1万1000円(消費税込み)となります。
同じくサポート会員が、1ヶ月3300円で、毎月支払ってゆくと、12ヶ月で3万9600円のところ、一括払いですと、3万3000円(消費税込み)ですみます! 2ヶ月分おトクです! ぜひ、ご検討ください!
■トランプ政権の新国家安全保障戦略の全文翻訳を紹介!(その2)「米国がアトラスの巨人のように世界秩序全体を支えてきた時代は終わった」!
トランプ政権は、12月4日、新たな2025年版の国家安全保障戦略(NSS、National Security Strategy)を発表しました。IWJは、この重要文書の全文を、昨日に引き続き、緊急で翻訳して掲載いたします!
(その2)では、「【4】戦略」から「1.原則」と「2.優先事項」をご紹介します。
※National Security Strategy of the United States of America November 2025(White House、2025年12月4日)
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2025/12/2025-National-Security-Strategy.pdf
※米トランプ政権発表の新国家安全保障戦略の衝撃!! 欧州の経済停滞と民主主義後退、移民問題を「文明の消滅」と指摘!「欧州は20年以内に原形をとどめない姿に」と述べ、「信頼できる同盟国」を疑問視!「ウクライナ戦争に非現実的期待を持つ欧州の官僚達」がロシアを敵視、「民主的プロセスを踏みにじり、和平を求める大多数を抑圧」と批判! ロシアのペスコフ報道官は「多くの点で我々と一致」と評価! 欧州諸国は「EU分裂を狙っている」と猛反発!! 日本の茂木外相はIWJの質問に、欧州同様、ロシア敵視を変えず、ウクライナ戦争継続の支援続行を明言! これは「反米」発言であり、「文明の消滅」とされてもかまわない!?
(日刊IWJガイド、2025年12月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251212#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55284#idx-6
※トランプ政権の新国家安全保障戦略の全文翻訳を紹介!(その1)「冷戦終結以降の米国の戦略」は「誤った判断をし」、米国とその利益を損なってきたとトランプが吠える! グローバルな単独覇権を目指していた米国が、180度方向転換! 孤立主義へ向かう!(日刊IWJガイド、2025年12月15日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251215#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55286#idx-1
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国家安全保障戦略
アメリカ合衆国
2025年11月
ホワイトハウス
ワシントン
(続き)
【4】戦略
1. 原則
トランプ大統領の外交政策は、「プラグマティスト(実利主義者)」ではないが現実的であり、「現実主義者」ではないが現実的であり、「理想主義者」ではないが原則に則っており、「タカ派」ではないが力強く、「ハト派」ではないが抑制的である。それは、伝統的な政治イデオロギーにもとづくものではない。何よりも、「アメリカにとって何が機能するか」によって動機づけられている。──2語で言い換えれば、「アメリカ・ファースト」によって動機づけられている。
トランプ大統領は、「平和の大統領」としての遺産を確固たるものにしてきた。歴史的なアブラハム合意(※)によって、第1期政権で達成された目覚ましい成功に加え、第2期政権のわずか8ヶ月間で、交渉術を駆使して、世界各地で8つの紛争において、前例のない平和を実現した。
※アブラハム合意:
トランプ米大統領の第1期政権下(2020年)に米国が仲介し、イスラエルとアラブ諸国(UAE、バーレーン、後にスーダン、モロッコ)が国交正常化に合意した枠組み。
中東における対立緩和と経済・安全保障協力の促進を目的としたが、一方で、パレスチナ問題を事実上棚上げした。
参照:
・イスラエルによるガザ侵攻で、インド、UAE、イスラエル、EUを結ぶ「インド・中東・欧州経済回廊」構想が頓挫! イスラエルに連帯を示したインドにとって、湾岸アラブ諸国も重要な存在! ガザで虐殺が行われている以上、シオニズムを批判したガンジーの警告に従い、インド政府はイスラエルを非難すべき!!(日刊IWJガイド、2023年11月8日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20231108#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52918#idx-1
トランプ大統領は、カンボジアとタイ、コソボとセルビア、コンゴ民主共和国(DRC)とルワンダ、パキスタンとインド、イスラエルとイラン、エジプトとエチオピア、アルメニアとアゼルバイジャンの間で和平交渉を仲介し、さらにガザでの戦争を終結させ、すべての生存していた人質を家族のもとへ帰還させた。
地域紛争が大陸全体を巻き込む世界大戦へと拡大する前に阻止することは、最高司令官が注力すべき課題であり、トランプ政権の最優先事項である。戦争が米国の海岸に迫り、戦火に包まれる世界は、米国の国益にとって有害である。
トランプ大統領は、非伝統的な外交、米国の軍事力、そして経済的影響力を駆使し、核保有国間の分断の火種や、数世紀にわたる憎悪によって引き起こされてきた暴力的な戦争を、外科手術的に鎮火させている。
トランプ大統領は、米国の外交・防衛・情報政策が、以下の基本原則によって導かれなければならないことを証明してきた。
・国家利益の明確な定義──少なくとも冷戦終結以降、歴代政権は国家安全保障戦略を公表し、米国の「国益」の定義を拡張しようとしてきた。その結果、ほとんどあらゆる問題や取り組みが、その範囲外とは見なされないほどに拡張されてきた。
しかし、すべてに焦点を当てるということは、結局、何にも焦点を当てていないのと同じである。米国の核心的な国家安全保障上の利益こそが、我々の焦点でなければならない。
・強さによる平和──強さこそが最良の抑止力である。米国の利益を脅かすことを十分に抑止された国やその他の主体は、そのような行動を取らない。したがって、強さは平和の実現を可能にする。
なぜなら、米国の強さを尊重する諸国は、しばしば我々の支援を求め、紛争解決と平和維持に向けた我々の努力を受け入れるからである。ゆえに米国は、最強の経済を維持し、最先端技術を開発し、社会の文化的健全性を強化し、世界で最も能力の高い軍を編成・配備しなければならない。
・非干渉主義への傾向──独立宣言において、米国の建国の父達は、他国の内政への非干渉主義を明確に優先する姿勢を示し、その根拠を明らかにした。すなわち、すべての人間が神から与えられた平等な自然権を有するのと同様に、すべての国家もまた、「自然の法則と自然の神の法則」によって、互いに対して「独立かつ平等な地位」を享受する権利を有するという思想である。
数多くの多様な利益を有する米国にとって、非干渉主義を厳格に貫くことは不可能である。しかし、この基本的傾向は、いかなる介入が正当化されるのかについて、高いハードルを設定するものでなければならない。
・柔軟な現実主義──米国は他国との関係において、実現可能かつ望ましい目標を、現実的に追求する。我々は世界の諸国と良好な関係及び平和的な通商関係を築くことを望むが、それぞれの国の伝統や歴史と、大きく異なる民主主義やその他の社会変革を押し付けることはしない。
我々は、このような現実的な評価にもとづいて行動すること、あるいは統治システムや社会が我々と異なる国々と良好な関係を維持すること自体に、矛盾や偽善はないと認識し、これを肯定する。同時に、志を同じくする友好国に対しては、共通の規範を守るよううながしつつ、そうした行動を通じて我々の国益を推進していく。
・国家の優位性──世界の根本的な政治単位は国家であり、今後も国家であり続ける。すべての国家が自国の利益を最優先し、主権を守るのは自然であり、正当である。各国が自国の利益を優先するときこそ、世界は最も円滑に機能する。
米国は自国の利益を最優先し、他国との関係においても、それぞれの国が自国の利益を優先するよううながす。我々は、国家の主権的権利を擁護し、最も干渉的な超国家的組織による、主権を蝕むような侵食に反対する。我々は、それらの機関が、個々の国家の主権を妨げるのではなく、支援し、同時に米国の利益を促進するよう、改革することを支持する。
・主権と尊重──米国は自国の主権を断固として守る。その中には、超国家的・国際的組織による主権の浸食、外国勢力や主体による米国内の言論統制や市民の表現の自由の制限の試み、米国の政策を誘導したり、外国の紛争へ巻き込むことを目的としたロビー活動・影響工作、外国の利益に忠実な投票勢力を、米国内に形成するために、移民制度を悪意をもって操作する行為を防ぐことなどが含まれる。
米国は、外部からの干渉を受けることなく、世界の舞台で自らの進路を定め、自らの運命を決定する。
・勢力均衡──米国は、いかなる国家であれ、米国の利益を脅かし得るほどに支配的な存在になることを許すことはできない。我々は、同盟国やパートナー諸国と連携し、支配的な敵対勢力の台頭を阻止するため、世界的・地域的な勢力均衡を維持する。
米国が、自国のための世界支配という不運な失敗に終わる概念を退ける以上、他国による世界規模、あるいは場合によっては地域規模での支配を阻止しなければならない。
これは、世界のすべての大国・中堅国の影響力を抑制するために、無差別に血と財を費やすことを意味しない。より大きく、より豊かで、より強力な国家が、過大な影響力をもつことは、国際関係における不変の真理である。この現実は、ときに、共同の利益を脅かす野心を挫くため、パートナーと連携することを必要とする。
・労働者重視の政策──米国の政策は、単なる成長志向ではなく、労働者重視であり、自国の労働者を最優先する。繁栄が一部の上層や特定の産業、あるいは国の一部地域に集中するのではなく、広く社会全体に行き渡る経済を再構築しなければならない。
・公平性──軍事同盟から通商関係、そしてそれ以上に至るまで、米国は他国から公平に扱われることを強く求める。我々はもはや、ただ乗り行為、貿易不均衡、略奪的な経済慣行、そして我が国の歴史的な善意を利用して、米国の国益を損なうその他の押し付けを、もはや容認しない。また、容認する余裕もない。
我々が、同盟国に豊かで有能であってほしいと望むのと同様に、同盟国もまた、米国が豊かで有能であり続けることが、自国の利益にかなうのだと認識しなければならない。
特に、我々は同盟国に対し、自国防衛のために国内総生産(GDP)に占める国防支出の割合を、大幅に引き上げることを期待する。これは、米国が数十年にわたり、はるかに多くの支出を続けてきたことで生じた巨大な不均衡を是正するためである。
・能力と実力主義──米国の繁栄と安全保障は、能力の育成と促進にかかっている。能力と実力主義は、我々の文明が誇る最大の強みである。最も優秀な米国人が採用され、昇進し、称えられる場所には、革新と繁栄が必ず生まれる。
もし、能力が破壊され、体系的に阻害されれば、インフラから国家安全保障、教育・研究に至るまで、我々が当然視してきた複雑なシステムは機能停止に陥る。実力主義が抑圧されれば、科学・技術・産業・防衛・革新における米国の歴史的優位性は失われるだろう。
能力と実力を、特定の集団の地位で置き換えようとする過激なイデオロギーが成功すれば、米国はもはや米国とは認識不能な姿となり、自らを守ることもできなくなる。
同時に、「グローバルな人材」の名の下に米国の労働市場を世界に開放し、米国人労働者を不利に追い込むための口実とし、利用されることも許してはならない。我々のあらゆる原則と行動において、常に米国と米国民が最優先でなければならない。
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フォン・デア・ライエン委員長は「我々が知っていた西側は、もはや存在しない」と宣言!「日本人がもっと真面目に考えないと。日本の立ち位置って何ですか?『西側の一員です』と。でも、その『西側』はないんです」! 米国債がクラッシュしてしまえば、最大保有国である日本は、最大の被害国に! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 後編 2025.6.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527782
ヒンドゥー至上主義のインド・モディ政権によって酷い差別を受けているカシミールは、ユダヤ人至上主義によって民族浄化を受けるガザと共通性がある! パレスチナ問題とカシミール問題はともに大英帝国支配の負の遺産! しかし、英国は責任を果たさない! 岩上安身によるインタビュー第1194回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏 第1回 2025.5.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527633
イスラエルは、トランプ米大統領のリゾート開発構想のために、ガザ戦争を再開! 毎日100人単位でパレスチナ人を殺害しているのに、主要メディアではほとんど報じられず、批判もされない! ユダヤ教の極右政党と連立するネタニヤフ政権は、UNRWA施設を破壊し、職員も殺害! 人道援助を妨害し、ガザは「国際法の墓場」に! 岩上安身によるインタビュー第1194回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏 第2回 2025.6.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527726
「トランプは戦争をしない」は嘘! 米大統領がバイデンでもトランプでも、イスラエルのやることは全部支持! キリスト教に妥協したユダヤ教徒と、キリスト教シオニストの福音派の猛烈な支持を抜きには考えられず、イスラエルの利益を最大限に追及!~岩上安身によるインタビュー第1176回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/526058
「戦争をやめさせる」はずのトランプ内閣が、ウクライナ紛争を剛腕で停戦させようとしているのに対し、イスラエルのジェノサイドはなぜ野放し!? その謎に迫る!!【ガザ戦争とハマス】15ヶ月に及ぶ戦争は中東地域に何をもたらしたか? トランプ政権によってパレスチナはどうなるのか? 岩上安身によるインタビュー第1184回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏 2025.2.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/526531
2024年を振り返る! そして1ヶ月後に始まる第2次トランプ政権で、米国は、そして世界はどう変わる!?~岩上安身によるインタビュー第1175回 ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/525988
【再掲】「山上容疑者は真犯人ではない!? 安倍晋三元総理暗殺事件とウクライナ紛争をめぐる世界情勢の激変はつながっている!?」~岩上安身によるインタビュー第1118回 ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏 2023.4.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515371
【再掲】安倍元総理を銃殺したのが山上徹也容疑者ではないとすると、日本という国があまりにも自主的に物事を判断できない国というところにまでつながっていく ~岩上安身によるインタビュー第1126回 ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏 2023.7.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517054
ハミッド・ダバシ氏が指摘「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」!「ガザ攻撃における植民地主義の視点」~岩上安身によるインタビュー第1145回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2024.2.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521575
「イスラエルがどんな戦争犯罪、人道に対する罪を行っても一度も裁かれなかった。こういう国際社会の『伝統』がジェノサイドを可能にしている」!!~岩上安身によるインタビュー第1144回 ゲスト 早稲田大学文学学術院教授・京都大学名誉教授・岡真理氏 2024.2.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/521515
イスラエルがパレスチナ・ガザ地区に対して行なっているのは「民族浄化」! イスラエルによる「報復」でもなければ、ハマスとの戦争でもない!~岩上安身によるインタビュー第1138回 ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 2023.11.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519713
「絶望」に突き動かされたハマスがイスラエルを急襲! イスラエルは、「報復」の名のもとに「民族浄化」を開始! パレスチナ人の「完全追放」まで至るのか!?「第2のナクバ」に~岩上安身によるインタビュー第1137回 ゲスト 放送大学名誉教授 高橋和夫氏 2023.11.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519653
対等な者同士の「ハマス・イスラエル戦争」ではない!「植民地主義とそれへの抵抗であるという基本的な視点が必要」~岩上安身によるインタビュー第1136回 ゲスト 東京大学名誉教授 板垣雄三氏 2023.11.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519527
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■シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー名誉教授が欧州議会で予言!「ウクライナで戦闘が止まったとしても、大規模なヨーロッパ戦争の脅威が消えることはない」!「ウクライナ戦争が終結した後のNATOは、戦争が始まる前よりもはるかに弱体化している可能性が極めて高い」!「ヨーロッパ経済がウクライナ戦争の惨禍から完全に回復するまでには、まだ長い時間がかかると考える十分な理由がある」!「戦争が最終的にロシアの勝利で終われば、トランプはヨーロッパが十分な責任を果たさなかったと非難できるし、ヨーロッパの指導者達は、トランプが、最も必要な時にウクライナを見捨てたと非難することができる」!
11月10日(現地時間)、シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー名誉教授が、ブリュッセルの欧州議会で開催された会議で、講演しました。
講演のトランススクリプトを掲載した11月10日付『アメリカン・コンサーバティブ』は、講演の要旨を端的に「欧州の昏い未来。ウクライナ戦争という大惨事と、米国の国益の長期的な転換によって、より安定し、より繁栄した欧州が実現する可能性は低い」とまとめています。
※Mearsheimer: Europe’s Bleak Future(アメリカン・コンサーバティブ、2025年11月10日)
https://www.theamericanconservative.com/mearsheimer-europes-bleak-future/
この講演は、ウクライナ紛争後の欧州の不安定化と没落を、予言したものなのです。
講演は、冒頭で、ウクライナ紛争によって引き起こされた、現在のヨーロッパの不安定な状況を、1992年のソ連崩壊後から、2017年に中国とロシアが大国として台頭し、単極体制が多極体制へと転換するまでの安定状態と比較しています。
ミアシャイマー名誉教授は、ウクライナ紛争の背景要因として、西側、特に、米国による誘発と、2017年に世界のパワーバランスが単極体制から多極体制へと移行したことの2つをあげています。
2017年以降、中国とロシアの台頭によって、世界は多極化体制に移行しましたが、ミアシャイマー名誉教授は、この多極化、具体的には、米中ロの3極体制のうちで、ロシアがもっとも弱いと、次のように、断言しています。
「ロシアは3大国の中で最も弱く、多くのヨーロッパ人が考えているのとは異なり、ウクライナ全土、ましてや東欧全体を制圧する脅威ではない。
現に、過去3年半、ウクライナ東部の5分の1を制圧するのに苦戦している。
ロシア軍は、ナチス国防軍ではなく、冷戦期のソ連や、今日の東アジアにおける中国とは異なり、潜在的な地域覇権国ではない」。
米国が憂慮する東アジアの地域覇権国は、中国だと指摘しています。
これは、従来から、ミアシャイマー教授が指摘してきた点です。そのロジックは、第1次大戦と第2次大戦に米国が参戦した理由を同じだとして、次のように述べています。
「巨大な人口と、1990年代初頭以降の驚異的な経済成長により、中国は東アジアにおける潜在的な覇権国となった。
すでに西半球の地域覇権国である米国にとって、別の大国が東アジアあるいは欧州で覇権を確立することは、極めて憂慮すべき事態である。
米国が第1次・第2次世界大戦に参戦したのは、それぞれドイツと日本が、欧州および東アジアで地域覇権国になるのを防ぐためだったことを、思い出してほしい。
同じ論理は、今日にも当てはまる」。
そして、米国が、欧州から東アジアへ軍的プレゼンスを移行させる理由は、一つには、東アジアでの中国の覇権ですが、もう一つの要因として、イスラエルをあげています。
「米国はイスラエルと、記録された歴史の中に比類のない特別な関係を持っている。
この関係は、米国国内におけるイスラエル・ロビーの極めて強大な影響力の結果であり、それは単にアメリカの政策決定者が無条件でイスラエルを支持するということを意味するだけではない。
米国は、直接的であれ間接的であれ、イスラエルの戦争に関与することを意味するのである」。
この結果、欧州はどうなるのでしょうか?
「結論から言えば、単極体制から多極体制への移行に伴う強力な構造的要因と、米国のイスラエルとの特異な関係が結びつくことで、欧州から米国という『鎮静化装置(pacifier)』(NATO加盟国同士が争わないように米国が重しになること)が取り除かれ、NATOが機能不全に陥る可能性が生じている。
言うまでもなく、これは欧州の安全保障に深刻な悪影響をもたらす」。
つまり、米国がイスラエルの利益のために、過度に引っ張られること、米中露の三極体制への移行、およびロシアを過大に敵視する必要がないのに、欧州がロシア敵視を続けていることで、米国が欧州に力を注いでいられなくなると、その影響力を後退させることで、欧州、その中核に存在するドイツの暴走を、米国が抑えられなくなってしまう、ということです。
ここから先が、欧州の将来についての、ミアシャイマー教授による衝撃的な予言になります。
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■<IWJ取材報告>ポスター発表「一般ポスター18」は、小児甲状腺がんの現状と「原発事故の影響」を問い直す、本当の意味での「福島セッション」だった!~11.29 第68回 日本甲状腺学会 学術集会(第3日)
2025年11月20日に福島県福島市で開催された、第57回県民健康調査検討委員会では、過剰診断問題で議論が白熱しました。
甲状腺の専門家として、日本甲状腺学会・日本内分泌外科学会から推薦された委員からは、「過剰診断は一部の意見であり、学会全体としては否定的である」と述べられていました。
そのような中、2025年11月27~29日の会期で、福島県立医大の志村浩己教授会長のもと、福島県郡山市で第68回日本甲状腺学会学術集会が開催されました。
プログラムの中には、11月28日に「福島セッション」というものがあり、学会内で「過剰診断問題に関する議論があるのでは?」と注目されていました。
「福島セッション」では、放射線医学県民健康管理センター長の安村誠司氏、横谷進氏、鈴木聡氏から、過剰診断を否定した上で、放射線影響に関しても否定する内容の講演がありました。
しかし、講演内で「ここで話す内容は、個人の見解である」と何度も繰り返されていました。
プログラムには、3名とも、上記センター所属と記載されていたにも関わらず、「福島セッション」と銘打たれた中で、「個人の見解」というのは、すっきりしない話です。
さらに、講演の中で過剰診断を訴える医師達にも、この場で話すようオファーしたが、断られたため、この3名が話すことになったということも、会場内の学会員に伝えられました。
一方、過剰診断を強く訴える一部の医師達は、会場である「ホテルはまつ」の道路を挟んで真向かいにある、「セルフミーティングルーム虎丸」というレンタル会議場で、11月29日に過剰診断に対し警鐘を鳴らす企画展を開催していました。
過剰診断に関しては、県民健康調査検討委員会でも常に議論になっており、今回再任となった重富秀一座長(双葉郡医師会副会長)も「学会内で徹底的な議論が望ましい」と発言していたこともあり、この学会で議論がなされなかったことは残念でした。
ポスター発表の分類のひとつである「一般ポスター18(健診)」は、県民健康調査甲状腺検査を意味しており、14年前の東京電力福島第一原子力発電所事故の最大の被災地である福島での開催ということもあり、福島セッションと同様に注目されていました。
朝8時半から貼られたポスターの前には、多くの参加者が立ち止まり、熱心に見入る姿が見られました。その中には、福島県立医大関係者も、多く認められました。
14時50分から開始された発表も、わずか4分間の報告時間にも関わらず、多くの参加者が聞き入っていました。
全6題のポスターの中で、1題目は福島県立医大臨床検査医学講座の小橋友理江氏からの報告の予定でしたが、体調不良により、県民健康管理センター長の安村誠司氏が代わって報告を行いました。この異例の展開には、今回の学会事務局である福島県立医大側の緊張感と関心の高さを感じました。
また、学会長である志村浩己氏(福島県立医大 臨床検査医学講座 主任教授)、放射線医学県民健康管理センター教授の鈴木悟氏も、ポスター発表の様子を見守っていました。
他のポスター発表が同時間帯で並行して行われる中でも、「一般ポスター18(健診)」の前には、異様なほど多くの人だかりができ、研究者・医療者だけでなく、市民関係者もその行方を見守りました。
2題目以降では、小児甲状腺がんの多発が、過剰診断・早期発見だけでは説明がつかないことを、具体的なデータを示し、さまざまな方向から指摘していました。
2題目では、桑野協立病院の種市靖行氏が、県民健康調査のデータを独自解析して、県内外のデータ比較から、過剰診断も早期発見も否定的であること、精密検査実施時期に、14歳以下の症例が検査5回目で倍増したことなどを報告しました。
3題目ではNPO法人「3.11甲状腺がん子ども基金」の崎山比早子氏が、県内外の手術症例を比較した結果、県民健康調査甲状腺検査の有効性と、過剰診断に否定的であることを報告しました。
4題目では、医学者ではなく、慶應大学商学部教授で、科学社会学を専門とする濱岡豊氏が、甲状腺結節が放射線被曝により増加すること、検査2回目以降は、市町村別の受診率・発見率等が公開されなくなったことなど、データ公開の不備を報告しました。
濱岡教授は、福島核災害に関連する放射線疫学関連データの再分析を研究しており、『講演録:福島第一原発事故と市民の健康──放射線疫学を読み解くためのデータ分析入門』(原子力市民委員会、2021年)という著書もあります。
5題目では高エネルギー加速器研究機構名誉教授の黒川眞一氏が、UNSCEAR2020/2021報告書が依拠する寺田2020論文では、中通りを高濃度のプルームが襲った3月14・15日の第1プルームが無視されている理由を、独自の理論に実測値による検証を加えて報告しました。
6題目では、さがみ生協眼科内科の牛山元美氏が、実際の患者9名の本人家族からの聞き取り調査から、患者・家族の行政・医療への不信感や、さまざまな問題点を指摘しました。
これらの指摘に対し、安村氏が懸命に反論する姿がありましたが、あまり的を射た反論とは思えませんでした。
これらの指摘はすべて、行政・福島県立医大主導の「甲状腺がん多発は、放射線影響ではなく、早期発見か過剰診断」という従来の評価とは相容れない指摘であり、注目に値します。
県民健康管理センターの対応として、より多くのデータ開示と、指摘された部分に対して、より多くのデータを元にした検証を示すことが期待されます。
福島県立医科大学・県民健康調査課を中心とした行政側は、事故の健康影響について「放射線の影響は考えにくい」「過剰診断または早期発見」という立場を取り続けています。
そのため、今回のように、研究者がそれを否定するデータを提示する場面は、学会事務局としては歓迎されるものではなかったと推測されます。
しかし、だからこそ、今回の発表は極めて重要であり、「議論の土台は本来、データと事実である」という学術本来の姿勢を取り戻す一歩となりうるはずです。
原発事故後の小児甲状腺がん増加について、「問題はない」と結論づけるには、あまりにも説明・公開されていないデータが多すぎます。
今回の日本甲状腺学会「一般ポスター18(健診)」で提示された論点は、まさにその核心を突くものでした。
「影響なし」とする圧倒的な空気の中でも、データにもとづき誠実に問題を指摘する専門家の示した姿勢は、科学者としての基本的な姿勢であると同時に、被災地福島に生きる人々への知的責任を感じさせるものでした。
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それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
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