┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~ロシア軍が占領したウクライナ領すべてを解放するという戦略目標を、ウクライナが変えない限り、ウクライナへのF16の供与は、単純に戦争を長引かせるだけ! 結局、米国の軍産複合体を潤わせるのみ!
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┠■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 5月は24日までの24日間で127万円、月間目標額の33%にあたるご寄付をいただきましたが、それでも、まだ月間目標額まであと263万円、7割近くが不足しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!
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┠■【中継番組表】
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┠■バフムートついに陥落! ワグネルの勝利に終わる! 今後、バフムート陥落がウクライナ紛争にどういう意味を持つのか注目される!
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┠■<新記事紹介>中村竜太郎氏「ジャニーズ事務所がもつ『メディアを沈黙させる力』の背景を明らかにしてほしい」~5.22「故ジャニー喜多川氏による性虐待問題等についてのPT」第1回会合 ―登壇:中村竜太郎氏(ジャーナリスト、元「週刊文春」記者)
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┠■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その62)>第四部 自由という災厄「第十二章『ジリノフスキー現象』を読み解く ―― 一九九三年十二月 ――」(Part1)
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┠■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。
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┠■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!
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■はじめに~ロシア軍が占領したウクライナ領すべてを解放するという戦略目標を、ウクライナが変えない限り、ウクライナへのF16の供与は、単純に戦争を長引かせるだけ! 結局、米国の軍産複合体を潤わせるのみ!
おはようございます。IWJ編集部です。
バイデン大統領が19日から21日まで開催されたG7広島サミットで、欧州の国による訓練と機体の供与を容認した米国のF16戦闘機について、EUのボレル外交安全保障上級代表は23日、F16のウクライナ兵への操縦訓練がポーランドで始まったことを明らかにしました。
※F16戦闘機 ウクライナ兵への訓練 「ポーランドで開始」EU外相(TBS NEWS DIG、2023年5月24日)
https://youtu.be/YrGk6VthoMQ
バイデン政権が第三国譲渡を容認したF16戦闘機は、1976年に初飛行しています。現在、25カ国の軍隊で空対空戦闘や空対地攻撃に使用されている超音速戦闘機です。
米国はF16戦闘機を、アフガニスタンやイラク、コソボ、ペルシャ湾の紛争や、米国領空での国土防衛任務で飛行させてきました。
バイデン政権は、1000機以上のF16を国内に保有し、少なくともそれ以上の機数を世界中の同盟国やパートナーに販売してきました。
F-16は、米国の防衛関連企業ロッキード・マーチンとベルギー、デンマーク、オランダ、ノルウェーのメーカーによって製造されています。ウクライナの高官によれば、この4カ国は、F-16の一部をキエフに譲渡する意思があることを示しています(19日付『ワシントン・ポスト』によれば、供与の意思はポーランドも示しています)。
※What Is the F-16 Fighter Jet and Why Does Ukraine Want It?(ニューヨーク・タイムズ、2023年5月18日)
https://www.nytimes.com/2023/05/18/world/europe/fighter-jet-f16-ukraine.html?searchResultPosition=1
※Bowing to pressure, Biden relents on F-16s to Ukraine(ワシントン・ポスト、2023年5月19日)
https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/05/19/ukraine-f16-fighter-jet-biden/
5月19日付『ワシントン・ポスト』は、F16のウクライナ供与に関して必要な情報をコンパクトにまとめています。
まず、F16をウクライナが求めている目的について、5月19日付『ワシントン・ポスト』は次のように伝えています。
「ウクライナ当局によれば、ウクライナが高性能戦闘機を求めているのは、ウクライナ領内をめったに飛ばないロシア機との空中戦のためではなく、自国の前線後方からミサイルを発射し、ロシアの防衛線を越えて司令部、補給線、弾薬庫を攻撃できるようにするためだという。キエフはF-16以外の航空機の提供を断らないことを表明しているが、現在の戦いにおいても、ウクライナが軍備を増強する今後数年間においても、F-16が彼らの選択する航空機であることは明らかである」
※Bowing to pressure, Biden relents on F-16s to Ukraine(ワシントン・ポスト、2023年5月19日)
https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/05/19/ukraine-f16-fighter-jet-biden/
要するに、ロシア機との空中戦ではなく、ロシア側の防衛線を越えて、ロシア領内の司令部・補給線・弾薬庫を攻撃するためだとしています。
さらに、5月19日付『ワシントン・ポスト』は、ウクライナがF16の汎用性を高く評価し、2個飛行隊24機を求めていることを明らかにしています。
「トルネード(IWJ注:英国の戦闘機)やフランス製のミラージュを含む西側の第4世代戦闘機の中で、F-16が最も望ましいのは『その汎用性、搭載するペイロード(IWJ注:積載物、爆弾のこと)、搭載可能なミサイルの種類、レーダーの範囲、ミサイルの射程のため』だとウクライナ防衛省顧問のユーリ・サック氏は述べた。
サック氏によれば、ウクライナは、少なくとも2個飛行隊(それぞれ12機)を要求しているという。理想を言えば、3、4個飛行隊分くらいは欲しい。『もちろん、この40~50機のパイロットの訓練も必要だ』『技術者も必要だし、物流やインフラも整えなければならない』とサック氏は述べている」
F16が実際にウクライナで飛行するまでに、どのくらい時間がかかるかについて、サック氏は『ワシントン・ポスト』に次のように述べています。
「ユリ・サック氏は金曜日(19日)に、『もし私たち全員が役割を十分に果たし、迅速に決定が行われれば、9月末から10月初めには、ウクライナの領空を飛ぶ最初のF-16を見ることができるだろう』と述べた」
つまり、4ヵ月強で、パイロットの訓練が終了するだけでなく、24機のF16のための整備された滑走路を備えた複数の航空基地も、格納庫内で整備する複数の熟練整備士も、弾薬・燃料・交換用エンジンなどの補給品も、すべて準備できるという主張です。
ここまでの体制が、常識的に考えて、ウクライナ一国だけで、4ヵ月で準備できるとは思えません。
これまで、前線でハイマースなどの最新兵器を、実際にはウクライナ兵ではなく、米軍兵士が覆面で運用してきたように、NATOの覆面操縦士や覆面整備士が、同時に供与されないと無理でしょう。
小谷哲男明海大学教授は、「現実味増すウクライナへのF16供与、訓練などで課題山積」という5月25日付『CNN』の記事に寄せたコメントの中で、「F16は旧ソ連製戦闘機より繊細で、十分に整備された滑走路や純度の高い燃料が必要なため、運用面での課題も多い」と述べています。
※現実味増すウクライナへのF16供与、訓練などで課題山積(CNN、2023年5月25日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/7cb2e0f6a8f99bd9c61dff6a1e11aab779463920
問題なのは、F16の供与により、ロシア優勢の現状の戦況に劇的な変化はなく、ただただ戦闘地域がロシア領内まで拡大し、紛争が地域紛争のレベルではなく、NATOに支えられるウクライナ対ロシアの全面戦争へとエスカレーションしてしまうだけだという点です。
25日付『CNN』は、「ウクライナが仮に同機(F16)を手にしたとしても戦況を一気に有利にし得る兵器にはならないとし、弱点も抱えることになると軍事専門家らはみている」と報じています。
事実上の紛争当事国である米国の軍のトップであるマーク・ミリー統合参謀本部議長は、26日の会見の中で重要な認識を示しています。
「ウクライナの戦略目標は、ロシアが占領したウクライナ領のすべてを解放することです。占領地域には2、30万人のロシア軍が展開していますから、軍事的に解放を達成できるとしても、短期的には無理でしょう」と明確に述べているのです。
※宇軍の領土奪還目標は短期的に実現困難=米軍制服組トップ(SPUTINIK 日本、2023年5月26日)
https://sputniknews.jp/20230526/16086791.html
※@MyLordBeboさんの26日のツイート
https://twitter.com/MyLordBebo/status/1661798756361142289?s=20
孫崎享氏は、『プラウダ』を引用し、F16をウクライナに供与しても飛行場もないし、整備もできないとツイート。
「F16,西側はウクライナにF16供与発表。でどうなるか。プラウダ『ウクライナの空軍基地は破壊され、F16配備しうる飛行場がない。整備などの施設もなく。訓練に3カ月要す。比較F16(ミグ29)速度2410(2450)KM/時、高度18000M(同)行動範囲500KM(700)』」
※孫崎 享@magosaki_ukeru(午前10:08・2023年5月22日)
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/1660452467816161280
仮に、NATOの支援を得て、F16の離着陸に適応した滑走路や格納庫、整備工場を整えたとしても、準備が終わり、F16が格納された時点でロシア軍が滑走路と空軍基地にミサイル攻撃をかければ、すべて灰燼に帰すことは火を見るよりも明らかです。何機かが、ミサイルの着弾前に飛び立つことができたとしても、無事に着陸する滑走路がありません。
なぜ、こんな穴を掘っては埋め、また穴を掘るような無駄をするのでしょうか!? 米国の軍産複合体の利益をあげる以外のメリットがどこにあるのでしょうか!?
即時停戦を拒絶し続けているウクライナが、現時点で全領土奪還という戦略目標を変えない限り、F16の供与などは、単に消耗するだけの戦争を長引かせるだけです。結局それは、繰り返しになりますが、米国の軍産複合体を長期に渡って潤わせることになるだけでしょう。その結果、米国は財政支出が高じて、デフォルトが現実となってしまうかもしれない、という瀬戸際に立たされているのですから、あまりにも愚かな話です。
■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 5月は24日までの24日間で、127万円、月間目標額の33%にあたるご寄付をいただきましたが、それでも、まだ月間目標額まで7割近くが不足しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!
いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
5月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り3ヶ月となりました。
4月の1日から30日までの30日間でいただいたご寄付は、126件、209万3200円でした。これは月間目標額390万円の54%にあたります。
厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!
しかし、今期第13期4月末までの累積の不足額は、1660万5900円となりました。
5月は1日から24日までの24日間で、127万円、月間目標額の33%にあたるご寄付をいただいています。ありがとうございます。それでも、まだ月間目標額に到達するまで、263万円、7割近くが不足しています!
ぜひ、皆さま、今月5月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!
そして、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!
IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。
私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。
私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。
皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。
しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。
ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」の、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。
2月、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。日本の新聞・テレビなどのメインストリーム・メディアは、一切このスクープを報じませんでした。
IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。
※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5
私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。
私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての独自の判断を示しませんでした。
※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss
※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230225#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1
このウクライナ紛争は、ロシアを弱体化させるための米国主導の戦争です。
ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツが多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、ロシア産の格安の天然ガスが入らなくなって窮地に陥った欧州に、米国産の高値の天然ガスと石油を売りつけて市場を奪い取ったということになります。
つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これが真実であるならば、同盟国への重大な背信であり、裏切りです。犠牲を払わされたドイツと同じく、同盟国とは言いながら、ジュニア・パートナー(主権のない従属国)扱いされている日本も、同じ目にあわされる可能性があります。
IWJでは、独自のIWJ検証レポートによって、ドイツとロシアを直接結ぶノルドストリームの建設を米国政府・議会が何度も妨害してきた事実、そして、完成はしたもののウクライナ紛争の勃発と対露制裁によって使用できなくなり、さらに爆破テロに見舞われるまでの経緯を、お伝えしています
※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!!」~2022.4.27
(その1)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188
(その2)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508187
お読みいただければわかりますが、この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。
5月18日未明に、シーモア・ハーシュ氏の最新記事を、「IWJ号外」として発行しています。有料サポート会員の方は、メールの受信ボックスを確認していただいて、ぜひお読みください。非会員の方も、この機会に会員登録をしていただいて、号外の全文を、ぜひお読みください。
岸田文雄総理は、1月早々、昨年末に閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて鼻高々でした。
国会での議論と承認がなされなくても、米国からの要請があれば、「安保3文書」を閣議決定し、軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が身代わりに犠牲となり、日本はウクライナのように、米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。
上記の4月24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。
岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。
しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。
自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。
3月28日、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案は、政府案どおり成立しました。
※令和5年度予算(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/fy2023.html
日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政負担を背負うのはあまりに愚かではないでしょうか!?
そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?
4月12日の日刊IWJガイドの記事(※)も、ぜひあわせてお読みください。米国は、同盟国に対して、当たり前のように盗聴を仕掛けています。ドイツなどは米国政府に抗議しましたが、日本政府は、まったく抗議していません。
※『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1
日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?
皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。
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ゆうちょ銀行
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口座番号 3080612
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IWJホームページからも、お振り込みいただけます。
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どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!
岩上安身
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◆中継番組表◆
**2023.5.27 Sat.**
調整中
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◆中継番組表◆
**2023.5.28 Sun.**
調整中
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◆昨日アップした記事はこちらです◆
佐藤優氏「アメリカ、訳わかんないです。こういうわけわかんないところとは、できるだけ距離を置いて、『価値観の同盟』というのはそこそこにしておかないと大変なことになる」~5.24東京大地塾 ―登壇:佐藤優氏(作家・元外交官)、鈴木宗男 参院議員
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516140
【IWJ号外】ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳!(第1回)米国最良の精神は、アメリカ独立戦争の精神だった!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516183
中村竜太郎氏「ジャニーズ事務所がもつ『メディアを沈黙させる力』の背景を明らかにしてほしい」~5.22「故ジャニー喜多川氏による性虐待問題等についてのPT」第1回会合 ―登壇:中村竜太郎氏(ジャーナリスト、元「週刊文春」記者)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516102
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■バフムートついに陥落! ワグネルの勝利に終わる! 今後、バフムート陥落がウクライナ紛争にどういう意味を持つのか注目される!
最も激しい戦闘が行われたとするウクライナ東部ドネツク州のバフムートの戦況は、ウクライナとNATOによる情報操作の舞台の一つになりました。
日刊IWJガイド5月18日号で詳しくお伝えしたように、バフムートにおける戦闘の中心となってきた民間軍事会社ワグネルのリーダー・プリゴジン氏とモスクワの間の「不協和音」が、繰り返し、西側メディアで面白おかしく大げさに報じられたことは、記憶に新しいところです。
プリゴジン氏が弾薬をくれないならばバフムートを撤退するとモスクワを脅した、といった内容の情報操作です。ロシアは内部分裂して崩壊する、とまでデマを重ねているものも少なくありませんでした。
実際には、モスクワはすでにワグネルの要求した通りに弾薬を提供し、その結果、ワグネルはさらに前進した、というのが事実です。カディロフ首長が率いるチェチェン部隊「カディロフツィ」も、バフムートに到着しました。
※バイデン大統領、債務上限問題への対処のため、G7広島サミット出席後は、オーストラリアで開催されるクアッド首脳会議を欠席して急遽帰国すると発表! 米国によるウクライナ支援は7月に払底!? それでもゼレンスキー政権はやる気満々! 英国が供与した射程250kmの「ストームシャドー」をウクライナはルガンスク市のプラスチック工場・食品加工工場に打ち込み、子ども6人を含む民間人が負傷! ロシア外務省は「ロンドンによる極めて敵対的な措置」と非難! ロシア軍は占領地域の最前線に800kmの防衛戦を構築し「専守防衛」へ、ウクライナ軍の「反攻」はほぼ不可能と専門家!(日刊IWJガイド、2023年5月18日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230518#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52289#idx-5
バフムートは、ドネツク州の北東部に位置する都市で、交通の要衝となっています。隣接するルガンスク州の北西部の要衝セベロドネツク市や、ドネツク州北部のクラマトルスク市とスロヴィアンスク市、ドネツクの州都・ドネツク市などのほぼ中央に位置しています。
これまで、ロシア軍とドネツク人民共和国軍、ルガンスク人民共和国軍の連合軍は、ルガンスク州の北西部をのぞくほぼ全域、ドネツク州の南半分を支配してきました。
ロシア側連合軍は、昨年5月にカディロフ首長が率いる部隊とともにドネツク州の港湾都市マリウポリを制圧すると、6月にはセベロドネツク市を制圧してルガンスク州のほぼ全域を支配下におきました。その後、ロシア側連合軍はそのまま西へ進軍し、ドネツク州の北部の制圧に出ると見られていましたが、ロシア側連合軍の動きは止まりました。
※はじめに~ツイッター「IWJ_Sokuho」5月17日、マリウポリの製鉄所で16日、アゾフ連隊の退避開始! ~(日刊IWJガイド、2022.5.18号)
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50806#idx-1
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220518#idx-1
※はじめに~ツイッター「IWJ_Sokuho」6月17日18日、セベロドネツク「アゾット化学工場」からウクライナ兵の投降が始まったとルハンシク人民共和国が報告! ~(日刊IWJガイド、2022.6.19号)
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50966#idx-1
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220619#idx-1
ドネツク州の北部がウクライナ軍側の支配下に置かれたまま、ロシア側は住民投票に打って出ます。その結果、ルガンスク州、ドネツク州(南半分)、ザポリージャ州(南側)、ヘルソン州(南側)の4州では、圧倒的多数でロシアへの併合が決まりました。
※はじめに~7ヶ月を経てロシアはウクライナ東部南部4州併合調印を達成! 猛反発するゼレンスキー大統領はNATOに加盟を申請!~(日刊IWJガイド、2022.10.2号)
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51369#idx-1
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ロシア側は実効支配地域とウクライナ軍支配地域の間に800kmに及ぶ防衛戦を構築し、守りを固めています。
※バイデン大統領、債務上限問題への対処のため、G7広島サミット出席後は、オーストラリアで開催されるクアッド首脳会議を欠席して急遽帰国すると発表! ~ロシア軍は占領地域の最前線に800kmの防衛戦を構築し「専守防衛」へ、ウクライナ軍の「反攻」はほぼ不可能と専門家!(日刊IWJガイド、2023.5.18号)
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2022年末から2023年初めにかけて、ロシア側連合軍はバフムートへの進軍を本格化し、民間軍事会社ワグネルを先頭に立て、1月にバフムートのやや東にあるソレダールを制圧しました。ソレダールは小さな町ですが、巨大な塩鉱山があり、堅牢な地下要塞・兵站拠点として使われていました。
2月には、中国の習近平国家主席がモスクワを訪問、中国はロシアのウクライナ侵攻からちょうど1周年となる2月24日に、中国の姿勢を示す和平への12項目を発表し、3月に習近平氏の3期目が決定すると、4月にはマクロン大統領ら欧州首脳が中国を歴訪し、停戦への機運が垣間見えました。
※はじめに~中国が今、世界史を動かしている! 習近平国家主席はフランスのマクロン大統領、欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長と3者会談を行う。~(日刊IWJガイド、2023年4月8日)
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ロシア側は1月のソレダール制圧から、そのまますぐにバフムート制圧に進むかと見られていましたが、一介の民間軍事会社にすぎないワグネルに戦闘を任せ、2月の習近平主席のモスクワ訪問、中国の和平案の発表、そして3月に入って習近平氏の3期目が決まるまで、まるで中国の動きと和平交渉・停戦交渉が進むのかどうかを見定めかのように、ゆっくりとバフムートを包囲していきました。
しかし、G7サミットでのウクライナ武器支援継続の決定と、米国とその米国とその同盟国によるウクライナへのF16戦闘機の供与決定が発表されると、それにあわせたかのように、バフムートの制圧完了を発表しました。
バフムートが陥落すると、ドネツク州内の重要なウクライナ軍側の拠点が失われることになり、ロシア側が進軍をすれば、ドネツク州全域の制圧が視野に入ってきます。
バフムートをめぐるウクライナとNATOの「情報操作」では、バフムートの現実を隠し切れなくなってきた証拠がいくつか出てきました。これまで、現実の戦況が膠着状態であったからこそ、ウクライナ軍が優勢であるかのような「情報操作」が行えたのですが、この膠着状態がロシア側の勝利に終わり、バフムートをロシアが完全に奪取したら、もうこの地域の戦況に関しては、「情報操作」はさすがに行えません。
このロシア側の勝利の象徴の一つが、都市名が、バフムートからソ連時代の「アルチョモフスク」に代えるという情報です。なんと、この情報は米国の主要メディアのひとつ『CNN』から出てきたのです。
※ワグネル、バフムートから撤退開始 ロシア軍と交代(CNN、2023年5月26日)
https://www.cnn.co.jp/world/35204342.html
24日付『RIA ノーボスチ』は、「ドネツク、アルチョモフスク解放を記念してビルボードの設置を開始」という記事を配信しました。
この記事のトップには、「アルチョモフスク」と書かれた看板を手にし左腕に白い腕章をつけたドネツク人民共和国軍の兵士が、「バフムート」と書かれた看板を足で蹴り倒す画像が掲載されています。
※В Донецке устанавливают билборды в честь освобождения Артемовска(RIA ノーボスチ、2023年5月24日)
https://ria.ru/20230524/donetsk-1873914670.html
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■<新記事紹介>中村竜太郎氏「ジャニーズ事務所がもつ『メディアを沈黙させる力』の背景を明らかにしてほしい」~5.22「故ジャニー喜多川氏による性虐待問題等についてのPT」第1回会合 ―登壇:中村竜太郎氏(ジャーナリスト、元「週刊文春」記者)
故ジャニー喜多川氏による性加害問題が、元ジャニーズ・ジュニアのカウアン・オカモト氏による告発と、英『BBC』による報道をきっかけとして拡大しています。
※Predator: The Secret Scandal of J-Pop(BBC、2023年3月7日)
https://www.bbc.co.uk/programmes/m001jw7y
※GaaSyy×KAUAN OKAMOTO 緊急生配信(カウアン オカモト、2022年11月13日)
https://www.youtube.com/watch?v=DYPa_Gq6rns
立憲民主党は5月16日、この問題で、関係者の声を聞く「性被害・児童虐待ヒアリング」を国会内で開催しました。カウアン・オカモト氏とともに、やはり元ジャニーズ・ジュニアの橋田康氏が出席し、法務省やこども家庭庁の担当者の前で、性被害の実態を語り、児童虐待防止法を訴えました。
立憲民主党に続き、日本共産党も5月22日第1回PT(プロジェクトチーム)を開催し、故ジャニー喜多川氏による性加害問題に取り組んでいく意向を表明しました。
IWJ記者は、共産党PT責任者である吉良よし子参議院議員に、第1回PTのゲスト・ジャーナリストの中村竜太郎氏との非公開で行われた議論について説明を求めました。
記事をサイトにアップしましたので、ぜひ、御覧になってください!
以下は、記事の目次です。
【目次】
◆日本共産党が「故ジャニー喜多川氏による性虐待問題等についてのPT」第1回会合を開催、だがPTの内容は「非公開」
◆吉良よし子議員(PT責任者)「故ジャニー喜多川氏の問題だけにとどまるのか」と問題提起
◆元『週刊文春』記者、中村竜太郎氏「1999年当時、性加害の問題を14回に渡ってキャンペーン」
◆PT会合終了後の質疑:吉良議員「23年間放置されてきた中村氏と被害者らの絶望」が最も印象的だったと述べる
◆PT会合終了後の質疑:吉良議員「(児童への性加害、グルーミングなど)多角的な措置が必要」
◆PT会合終了後、IWJ記者は「メディアを沈黙させる力」の背景について議論があったかどうか質問
◆PT会合終了後、IWJ記者は「和製エプスタイン問題」ではないかという議論があったかどうか質問
◆PT会合終了後、IWJ記者はジャニー喜多川氏のCIA関係の経歴について議論があったかどうか質問
◆第1回共産党PTは、ようやく今、スタートライン
※中村竜太郎氏「ジャニーズ事務所がもつ『メディアを沈黙させる力』の背景を明らかにしてほしい」~5.22「故ジャニー喜多川氏による性虐待問題等についてのPT」第1回会合 ―登壇:中村竜太郎氏(ジャーナリスト、元「週刊文春」記者)2023.5.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516102
■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その62)>第四部 自由という災厄「第十二章『ジリノフスキー現象』を読み解く ―― 一九九三年十二月 ――」(Part1)
岩上安身は、1989年から1994年まで、29歳から35歳まで、足かけ6年かけて、崩壊前夜のソ連から、ソ連崩壊後の「民主ロシア」誕生の裏面まで、現地で取材しました。
現地取材をまとめた著書『あらかじめ裏切られた革命』(1996年、講談社、講談社ノンフィクション賞受賞作)は、当時のソ連・ロシアの実態を記録した貴重な資料ですが、残念ながら絶版となっており、入手困難な状況となっております。
ウクライナ紛争の長期化、そして西欧諸国が世界を支配してきた構造、米国による一極支配構造に揺らぎが見え始めた今こそ、改めて1991年のソ連崩壊前後に戻って、歴史を振り返る必要があると思われます。日刊IWJガイドで、『あらかじめ裏切られた革命』の復刻連載を進めていきます。ぜひお読みください。
下記URLから、初回の復刻連載(その1)をお読みいただけます。
※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その1)>序文「ゴーリキーパークの世界精神」(日刊IWJガイド、2022年11月20日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20221120#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51557#idx-4
直近の復刻連載は、下記URLからお読みいただけます。
※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その60)>第三部 権力のはらわた「第十一章 不和の林檎は投げられた ―― 一九九二年十二月 ――」(part5)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230516#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52282#idx-5
※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その61)>第三部 権力のはらわた「第十一章 不和の林檎は投げられた ―― 一九九二年十二月 ――」(part6)
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第四部 自由という災厄
第四部・初出一覧
第十二章「現代」94年3月号「『ジリノフスキー』の研究」
「文藝春秋」94月4号「ジリノフスキー現象の陰の超能力者」
第十三章「Views」94年3月23日号「ジリノフスキー『ロシア南進』『分割統治』パンフの虚実」および「現代」94年8月号「ヨーロッパ極右の虚像と実像」に大幅加筆
第十四章「Views」94月6月8日号・22日号「世界最悪『ロシアン・マフィア』の全貌(前・後篇)」
第十五章「現代」94年7月号「クレムリン最後の陰謀」
第十二章「ジリノフスキー現象」を読み解く ―― 一九九三年十二月 ――
九三年になると、大統領府と議会の権力闘争はエスカレートの一途をたどり、同時にその副産物として、トップレベルの汚職スキャンダルが次々と暴露された。「権力のはらわた」がむき出しにさらけ出され、「死闘」と化した政争は、ついに十月に至り、首都モスクワにおける流血の武力衝突という悲劇的結末を迎えることとなった。
本章に入る前に、九三年の政局の流れを振り返っておきたい。
九三年四月二十五日、大統領府と議会との政治対立に決着をつけるために、国民投票がロシア全土で実施された。この投票は大統領の信任と改革路線の信任、および大統領選挙と人民代議員選挙の繰り上げ実施の是非について、「ダ(Yes)」か「ニエット(No)」かを問う形で行なわれた。
この国民投票の結果、勝利をおさめたのは大統領サイドだった。有権者の約五八・七%が大統領の信任に支持票を投じ、また反発の大きかった改革路線までもが、有権者の五二%の支持を得るという「意外」な結果となり、明暗がはっきりと分かれた。ゴルバチョフ時代に選出された既存の議会の代議員達は、完全な民主的普通選挙によって選ばれたわけではない(定数の三分の一以上は事実上、無競争で共産党の特定候補が選出される仕組みになっていた)。こうした「古いシステム」の一掃を望む声が、急進的改革の見直しを要求する声を上回ったわけである。
エリツィンは、この「国民の審判」に意を強くし、大統領権力を格段に強化する新憲法の制定に向けて強引に走り出した。新憲法が制定されれば、議会の解散権と閣僚の任免権を大統領が独占し、既存の人民代議員大会と最高会議は廃止されて、新たに二院制の議会が開設されることになる。エリツィンは既存の議会を無視して憲法協議会を発足させ、この協議会で作成した新憲法の草案を国民投票に持ち込むと発表した。これは明らかに憲法違反であり、当然のことながら議会側は激しく反発した。しかし四月の国民投票によって自信を深めたエリツィンは、強気の姿勢を崩さず、ひた走った。七月十二日、憲法協議会は新憲法草案を圧倒的多数で可決。他方、最高会議も憲法委員会で改めて憲法草案をまとめることを決議。両者の確執はもはや修復不能となり、決定的な破局へと突き進んでいった。
新憲法をめぐって対立が激化する一方で、ロシア政界を震撼させたのは、スキャンダルの暴露の応酬である。四月の最高会議において、ルツコイは、ブルブリス、ガイダル、シュメイコ、ポルトラーニンらが大規模な汚職に手を染めていると、次々に暴露した。ロシア検事局は七月二十二日、ポルトラーニンの自宅の家宅捜索を行ない、その翌日、最高会議は第一副首相のシュメイコに対する刑事訴追を承認した。最高会議に提出されたステパンコフ検事総長の調書によると、シュメイコは国庫から横領した一千四百五十万ドルをスイス企業に対して振り込んだほか、ロシアの国有財産であるモナコの建物を外国企業に引き渡すように指示したとされる。この時期になると、検事総長のステパンコフは「司法の中立」を装うことすらせず、露骨に最高会議サイドに肩入れするようになっていた。
窮地に立たされたエリツィンはまず、保安省(旧KGB)の大臣バランニコフと、内務省の第一次官ドゥナーエフを解任した。バランニコフの夫人とドゥナーエフの夫人が、ロシアの利権に食い込んだ怪しげな実業家ボリス・ビルシュタインの招待でヨーロッパ旅行に出かけ、毛皮や香水など三千五百万ドル相当の贈り物を受けとったことが明るみに出たため、エリツィンもバランニコフらをかばい切れず切り捨てたのである。バランニコフは、このビルシュタインをエリツィンに引き合わせたこともある。エリツィンは、自著『エリツィンの手記』(同朋舎出版刊・中澤孝之訳)の中で、そのいきさつに触れるとともに、こう述べている。
「私の目の前にボリス・ビルシュタインのような大資本家が現れたこと自体、問題の深刻さを実感させるものである。モラルの一線を乗り越え、赤信号を打ち砕いて突っ走ろうとすれば、今のロシアの状況では必ずしもポルノビジネスや歴楽売買、粗悪品の闇販売に手を染める必要はないのだ。そんなちっぽけな商売をすることはない。役人どもをどんどんこっちの懐に取り込んでしまったほうが簡単だ。ビルシュタインは権力のトップにまで手を伸ばそうとしていた。そして手が届いたも同然のところにまでこぎつけた。後もうちょっとの努力だった」
エリツィンは、ビルシュタインと自分がどのような関係にあったか、詳しく語っていない。自分の潔白は多くを語らずとも当然のことであるといわんばかりであるが、怪し気な「マフィア資本主義」の担い手達が大統領の身辺にまで肉薄していた事実を現職大統領も認めざるをえなかったことは、やはり「異常」な事態といわなければならない。
ルツコイらの告発に押されっぱなしだったエリツィン側も、その後反撃を開始した。弁護士のマカロフを委員長とする犯罪汚職追及委員会がつくられ、同委員会は八月十八日、ルツコイが国家財産から横領したカネをスイス銀行のロ座に預金していると告発した。それによると、ビルシュタインが社長をつとめる「アグロヒム」社の合弁会社が一九九一年秋、一千三百五十万ドルの児童用食料の輸入にあたった際、そのうち三百万ドルがスイスのインドスエズ銀行にあるルツコイの口座に振り込まれたというのである。この告発が正しければ、エリツィン政権に食い込んでいたビルシュタインは、反対派の頂点に立つルツコイとも深い関係にあったことになる。マカロフ委員長はステパンコフ検事総長の解任を最高会議に要求するとともに、ステパンコフがマカロフの暗殺を企てていたと爆弾発言をし、電話の会話の録音テープを公表した。このテープは内務省等の鑑定によって、本物であると認定された。信じがたい話だが、現職の検事総長自ら、権力闘争のためのテロの画策に一枚かんでいたことになる。
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■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。
ご応募の資格は、第一に穏やかな性格で明るく協調性のある方。第二にトラブルなく対外的な交渉をできるコミュニケーション能力の高い方。第三にPCスキルがある方です。時給は1200円から、仕事の習熟に伴って昇給していきます。
入社ご希望の方は、下記のURLのスタッフ募集フォームにご記入の上、履歴書、職務経歴書(書式自由)を添付の上、admin@iwj.co.jpまでお送りください。
※スタッフ募集フォーム
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■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!
日刊IWJガイドや記事の執筆、編集などの作業のうち、主に日刊IWJガイド校了前の赤反映業務に携わってもらいます。パソコンのスキルが必要です。時に深夜まで及ぶことがありますが、社用車での帰宅、あるいは自宅への送りが可能です。
雇用形態はアルバイトまたは契約社員で時給1300円からのスタートになります。能力と実績次第で昇給します。正社員登用の途もあります。在宅勤務や業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。
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それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
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