┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~日本の大手メディアはどこまでも米国に隷属した、米国の政策とプロパガンダとして流す、アメポチのチンドン屋! ローマ法王による仲裁申し出をゼレンスキー大統領が「拒否した」ことをまったく伝えず! ゼレンスキー大統領のバチカン訪問をイタリアの日刊紙が辛辣に批判!
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┠■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は126件、209万3200円、月額目標の54%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!
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┠■【中継番組表】
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┠■<IWJ号外を出しました!>シーモア・ハーシュ氏の新記事「ウクライナ難民問題」をIWJが仮訳! ウクライナから近隣国への難民の問題が、停戦に静かな圧力をかけている! 他方、バイデン政権内に2つの情報の流れが存在することが明らかに! 情報の偏向ぶりと情報の取り扱いのいい加減さも暴露!
┃
┠■バイデン大統領、債務上限問題への対処のため、G7広島サミット出席後は、オーストラリアで開催されるクアッド首脳会議を欠席して急遽帰国すると発表! 米国によるウクライナ支援は7月に払底!? それでもゼレンスキー政権はやる気満々! 英国が供与した射程250kmの「ストームシャドー」をウクライナはルガンスク市のプラスチック工場・食品加工工場に打ち込み、子ども6人を含む民間人が負傷! ロシア外務省は「ロンドンによる極めて敵対的な措置」と非難! ロシア軍は占領地域の最前線に800kmの防衛戦を構築し「専守防衛」へ、ウクライナ軍の「反攻」はほぼ不可能と専門家!
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■はじめに~日本の大手メディアはどこまでも米国に隷属した、米国の政策とプロパガンダとして流す、アメポチのチンドン屋! ローマ法王による仲裁申し出をゼレンスキー大統領が「拒否した」ことをまったく伝えず! ゼレンスキー大統領のバチカン訪問をイタリアの日刊紙が辛辣に批判!
おはようございます。IWJ編集部です。
日本の大手メディアは、どこまでも米国に隷属した、米国の政策をプロパガンダとして流す、アメポチのチンドン屋です。
15日付『朝日新聞』は、「ゼレンスキー大統領がローマ教皇と面会、和平に向け教皇庁の関与も」という記事を配信し、ゼレンスキー大統領が、13日にイタリアを訪問した際、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の和平仲裁の申し出を拒絶したことをまったく伝えず、あたかも、ゼレンスキー大統領が教皇と平和会談をしただけのように伝えています。事実を伝えれば、ゼレンスキー大統領の異様な好戦性が明らかになり、これまで自分たちがさんざん美化してきた「民主主義のために戦う英雄・ゼレンスキー」という虚構がバレてしまうからでしょう。
「13日のイタリア訪問の際には、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇とも面会した。ローマ教皇庁によると、ゼレンスキー氏と教皇は約40分間にわたってロシアの侵攻で生じた人道的な問題や政治的な状況について議論。両者はウクライナの人々に対する支援を続ける必要性で一致した。
ロイター通信などによると、フランシスコ教皇は4月30日にハンガリー訪問を終えた帰路の飛行機の中で、戦争終結に向けてロシアとウクライナの和平の取り組みに教皇庁が関与していることを明らかにしていた。今回のゼレンスキー氏との会談でも議題になった可能性がある」
※ゼレンスキー大統領がローマ教皇と面会、和平に向け教皇庁の関与も(朝日新聞、2023年5月15日)
https://digital.asahi.com/articles/ASR5H2GHYR5HUHBI007.html
14日付『NHK』は、「◆国際ゼレンスキー大統領 ローマ教皇と会談 和平実現へ支援求める
ウクライナ軍は、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ東部の激戦地バフムトでの反撃の成果を強調しました。こうした中、ゼレンスキー大統領は、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇とバチカンで会談し、和平の実現に向けた支援を求めました」と、たったこれだけです。
※NHKニュース(2023年5月14日)
https://www3.nhk.or.jp/knews/20230514/k10014066911000.html
14日付『日経新聞』は、「(ゼレンスキー大統領は)ローマ教皇フランシスコとも面会し、戦禍に苦しむウクライナ住民への人道支援継続の必要性で一致した」。日経も、たったこれだけです。紋切り型の言葉を並べ、新しい事実を何も伝えていないに等しい、見せかけだけの「報道」です。
※ゼレンスキー氏、ローマ教皇と面会 「支援継続が必要」(日経新聞、2023年5月14日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL140B10U3A510C2000000/
ところが珍しいことに、14日付『産経新聞』は、他の報道等と比べると、事実に近い報道をしています。ゼレンスキー大統領が、「仲介者はいらない」と、停戦の仲介を断ったと思わせる発言をしていることを拾っています。
しかし、会談において、ローマ法王の停戦の提案を直接、断ったとまでは書いていません。
「ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、バチカンでローマ教皇フランシスコと会談した。ウクライナ侵攻を巡り、自らが提案した和平に向けた10項目への支持を教皇に要請。ロシアがウクライナから子どもを連れ去ったとされる問題について、帰還に向けて協力することで一致した。
教皇庁やイタリアメディアによると、(教皇とゼレンスキー大統領の)会談は約40分間で、ウクライナの人道状況などが議題となった。教皇は子どもの連れ去りなどを念頭に、侵攻による被害者への緊急支援の必要性を訴えた。会談後、ゼレンスキー氏はツイッターで『犠牲者と侵略者は対等ではない』として、教皇にロシアを非難するよう求めたことを明らかにした。イタリアのテレビ番組では、教皇の和平への努力に敬意を表した上で『仲介者は必要ない。(ロシアの)プーチン大統領との仲介はどの国もできない』と強調した。
教皇はこれまで、対話を呼びかけるためにロシア、ウクライナ両国を訪問する意向を示している。4月30日には停戦に向けて独自に『取り組みを進めている』と述べた」
※ゼレンスキー大統領、ローマ教皇に和平10項目へ支持要請(産経新聞、2023年5月14日)
https://www.sankei.com/article/20230514-WYLZOD3ZNRJ4ZPYHVRIMEAZHQM/
さて、いったい、事実はどうだったのでしょうか?
5月13日付『RT』は、イタリアのトークショー番組に出演したゼレンスキー大統領の発言を伝える形で、フランシスコ教皇の和平仲裁の申し出を直接、拒絶したことを伝えています。
「ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領は、自国の紛争終結の交渉に協力するというローマ法王フランシスコの申し出を拒否した。ゼレンスキー氏は以前、自国政府とモスクワとの接触を全面禁止し、それ以来、外国からの仲介の申し出もすべて拒否している。
『ゼレンスキーは法王に敬意を表しながら、私たちに必要なのは仲介者ではなく、公正な平和です』と、ゼレンスキーは土曜日(13日)、バチカンで法王と会談した後、イタリアのトークショーのホスト、ブルーノ・ヴェスパに語った。
『法王にお会いできたことは光栄でしたが、法王は私の立場をご存知です。戦争はウクライナで行われており、ピースプランはウクライナのものでなければなりません』とゼレンスキーは続けた。『プーチン(ロシア大統領)と調停することはできない』と述べた。
バチカンはロシアにウクライナでの軍事作戦を一方的に中止するよう求めているが、ローマ法王フランシスコは、キエフとモスクワが紛争の『合意的』終結に至るのを助けるよう何度も申し出ており、昨年はトルコの調停努力を賞賛している。
(中略)
ゼレンスキーはその後、政府関係者とクレムリンとの接触を禁止する法令を発表し、キエフ(ウクライナ)、ワシントン(米国)、ブリュッセル(EU)はいずれも、今年初めに中国が発表した広範なピースプランを拒否している。
米国とEUは『必要なだけ』武器を提供すると約束しているが、ゼレンスキーは、ウクライナが従う唯一の和平案は、ロシアが賠償金を支払い、戦争犯罪裁判を受けるために政府関係者を引き渡し、クリミアを含むキエフが主張するすべての領土を放棄することを要求する10項目の文書であると主張している。
ロシアは、『和平交渉は西側の操り人形であるゼレンスキーではなく、彼の主人と直接行われる』と理解している、と今月初めにロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が述べた」
※Zelensky dismisses Pope’s peacemaking efforts(RT、2023年5月13日)
https://www.rt.com/russia/576234-zelensky-rejects-pope-mediator/
この13日付『RT』の記事が重要なのは、ゼレンスキー大統領が、今回だけ、バチカンの和平の仲裁申し出を断ったのではなく、外国からの停戦の仲介の申し出を過去何度も断ってきている、という点です。
しかも、いかなる政府関係者であっても、ロシアと接触することを禁止し、第3者の仲介も完全に拒絶するだけでなく、当事国同士の話し合いによる秘密停戦会議の道も完全に閉ざしました。
ウクライナにおいてゼレンスキー大統領は独裁者であり、彼が出した法令にさからって、野党政治家がモスクワと接触を試みることもできません。
これらの点を、米国に隷属する日本の主要メディアは、まったく報じていませんし、触れてすらいません。ゼレンスキー大統領のイメージが悪くなることを、すべて隠蔽しているのです。
今回のゼレンスキー大統領の「拒絶」は、バチカンを訪問し、教皇と面会した上での「拒絶」なのです。しかもそのふるまいは、ローマ法王に対して、侮辱的なものであったと現地ではみられています。
ゼレンスキー大統領のバチカン訪問とその言動・ふるまいは、イタリアにショックを与えたと同時に、辛辣な批判を巻き起こしています。
イタリア国内の反応は、現地のイタリアの主要メディアを直接、参照する必要があります。
2009年創立のイタリアの日刊新聞『イル・ファット・コティディアーノ(Il Fatto Quotidiano)』の論説記事は、イタリア国内がゼレンスキー大統領の「拒否」をどう受け止めたか、雄弁に示しています。非常に明晰で洞察力に富む記事です。
15日付のイタリアのニュースメディア『イル・ファット・コティディアーノ(Il Fatto Quotidiano)』は、ゼレンスキー大統領のバチカンの和平仲裁の申し出の拒否を次のように伝えています。
『イル・ファット・コティディアーノ(Il Fatto Quotidiano)』の見出しは、「ゼレンスキーはローマ法王を窮地に追い込みたかったが、聖座は愚かではない」というもので、かなり辛辣なゼレンスキー批判が展開されています。
以下、IWJが仮訳し、詳しくその内容をお伝えします。
※Zelensky voleva spingere nell’angolo il Papa ma la Santa Sede non e stupida(Il Fatto Quotidiano、2023年5月15日)
https://www.ilfattoquotidiano.it/2023/05/15/zelensky-voleva-spingere-nellangolo-il-papa-ma-la-santa-sede-non-e-stata-stupida/7161575/
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■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は126件、209万3200円、月額目標の54%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!
いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
5月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り3ヶ月となりました。
4月の1日から30日までの30日間でいただいたご寄付は、126件、209万3200円でした。これは月間目標額390万円の54%にあたります。
厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!
しかし、今期第13期4月末までの累積の不足額は、1660万5900円となりました。
5月は1日から15日までの15日間で、57万3000円、月間目標額の15%にあたるご寄付をいただいています。ありがとうございます。
ぜひ、皆さま、今月5月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!
そして、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!
IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。
私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。
私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。
皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。
しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。
ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」の、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。
2月、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。日本の新聞・テレビなどのメインストリーム・メディアは、一切このスクープを報じませんでした。
IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。
※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5
私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。
私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての独自の判断を示しませんでした。
※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss
※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230225#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1
このウクライナ紛争は、ロシアを弱体化させるための米国主導の戦争です。
ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツが多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、ロシア産の格安の天然ガスが入らなくなって窮地に陥った欧州に、米国産の高値の天然ガスと石油を売りつけて市場を奪い取ったということになります。
つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これが真実であるならば、同盟国への重大な背信であり、裏切りです。犠牲を払わされたドイツと同じく、同盟国とは言いながら、ジュニア・パートナー(主権のない従属国)扱いされている日本も、同じ目にあわされる可能性があります。
IWJでは、独自のIWJ検証レポートによって、ドイツとロシアを直接結ぶノルドストリームの建設を米国政府・議会が何度も妨害してきた事実、そして、完成はしたもののウクライナ紛争の勃発と対露制裁によって使用できなくなり、さらに爆破テロに見舞われるまでの経緯を、お伝えしています
※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!!」~2022.4.27
(その1)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188
(その2)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508187
お読みいただければわかりますが、この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。
本日(5月18日)未明に、シーモア・ハーシュ氏の最新記事を、「IWJ号外」として発行しています。有料サポート会員の方は、メールの受信ボックスを確認していただいて、ぜひお読み下さい。非会員の方も、この機会に会員登録をしていただいて、号外の全文を、ぜひお読みください。
岸田文雄総理は、1月早々、昨年末に閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて鼻高々でした。
国会での議論と承認がなされなくても、米国からの要請があれば、「安保3文書」を閣議決定し、軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が身代わりに犠牲となり、日本はウクライナのように、米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。
上記の4月24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。
岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。
しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。
自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。
3月28日、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案は、政府案どおり成立しました。
※令和5年度予算(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/fy2023.html
日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政負担を背負うのはあまりに愚かではないでしょうか!?
そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?
4月12日の日刊IWJガイドの記事(※)も、ぜひあわせてお読みください。米国は、同盟国に対して、当たり前のように盗聴を仕掛けています。ドイツなどは米国政府に抗議しましたが、日本政府は、まったく抗議していません。
※『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1
日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?
皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。
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どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!
岩上安身
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◆中継番組表◆
**2023.5.18 Thu.**
調整中
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◆中継番組表◆
**2023.5.19 Fri.**
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。
【IWJ_YouTube Live】12:00~「再審法改正をめざす市民の会 結成4周年記念集会『袴田事件の再審確定 つなげよう再審法改正へ』―登壇:袴田秀子氏(袴田巌氏姉)、 西嶋勝彦弁護士・弁護団団長、村山浩昭元裁判官、 水野智幸法政大学教授(元裁判官、現袴田弁護団)、 周防正行氏(映画監督)ほか」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
「再審法改正をめざす市民の会」の集会を中継します。これまでIWJが報じてきた袴田巌氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E8%A2%B4%E7%94%B0%E5%B7%8C
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach5
「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee
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◆昨日アップした記事はこちらです◆
G7諸国との高校生の相互交流や大学ネットワーク構築など連携を強化。国内施策では学校現場の労働条件整備を推進。永岡大臣がG7富山・金沢教育大臣会合の成果を報告~5.16永岡桂子 文部科学大臣 記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516018
PFAS汚染問題について「環境省の専門家会議は米国環境保護庁の新基準案の動きに応じない偏った内容」と桜井国俊・沖縄大学名誉教授が批判!!~5.6 Okinawa-koganei シンポジウム「沖縄からの訴え 基地が環境に及ぼす被害とは」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515900
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■<IWJ号外を出しました!>シーモア・ハーシュ氏の新記事「ウクライナ難民問題」をIWJが仮訳! ウクライナから近隣国への難民の問題が、停戦に静かな圧力をかけている! 他方、バイデン政権内に2つの情報の流れが存在することが明らかに! 情報の偏向ぶりと情報の取り扱いのいい加減さも暴露!
本日未明、IWJ号外を出しました!
ウクライナ紛争の終結を左右する隠れた要因、ウクライナ難民問題について、米国のバイデン政権によるノルドストリーム爆破を暴露したシーモア・ハーシュ氏が、新記事を出しました。
IWJは、公開部分を全文仮訳し、未公開部分は、引用する形で、解説を入れて号外としてお伝えました。
欧州におけるウクライナ難民問題の分析にとどまらず、それを伝える米国の情報系統の混乱ぶりについても、ハーシュ氏は、米国情報機関の高官を情報ソースとして、暴露しています。
ウクライナ難民問題がウクライナ紛争の終結を左右するという視点も、米国の二重の情報系統の混乱ぶりも、ほとんど、日本で報道されない現実ばかりです。
ぜひ、お読みください。
■バイデン大統領、債務上限問題への対処のため、G7広島サミット出席後は、オーストラリアで開催されるクアッド首脳会議を欠席して急遽帰国すると発表! 米国によるウクライナ支援は7月に払底!? それでもゼレンスキー政権はやる気満々! 英国が供与した射程250kmの「ストームシャドー」をウクライナはルガンスク市のプラスチック工場・食品加工工場に打ち込み、子ども6人を含む民間人が負傷! ロシア外務省は「ロンドンによる極めて敵対的な措置」と非難! ロシア軍は占領地域の最前線に800kmの防衛戦を構築し「専守防衛」へ、ウクライナ軍の「反攻」はほぼ不可能と専門家!
バイデン大統領は17日に米国を出発して、G7広島サミットに出席することになりました。一時は米国内の債務上限引き上げ問題への対処のために、来日せずオンラインで参加するという話もあったバイデン大統領ですが、なんとかG7出席にこぎつけたようです。
EU加盟国の間で、ウクライナ紛争への疑念や、早期停戦を求める声が上がり始めている中で、G7は今や、ウクライナの主要支援国の牙城です。
※はじめに~5月19日(金)、20日(土)、21日(日)の広島G7サミットは、ウクライナの主要支援国であり、米国債の大量保有国である債権国という2重の性格をもった国家群の会合! 日本の新聞・テレビを筆頭に、G7各国の主要メディアは、米国の軍事的・政治的・経済的・文化的な支配から自由になれず、ウクライナ紛争も米国のデフォルト危機も米国発の金融システム危機も、その本質を伝えることができない! 危機認識そのものが危機に瀕している!(日刊IWJガイド、2023.5.4号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230504#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52203#idx-1
しかし、ホワイトハウスは16日、サミット後に予定されていたバイデン大統領のオーストラリアとパプア・ニューギニアへの訪問をキャンセルすると発表しました。対中国を意識したクアッドの首脳会議をキャンセルすることにした、というわけです。
オーストラリアでは、クアッド(米日豪印の4ヵ国)首脳会議が24日にシドニーで開催される予定でした。『ロイター』(17日)によると、アルバニージー首相は「(バイデン)大統領は訪問を延期せざるを得なくなったことを謝罪した」と声明を出しました。
17日夜になって、松野官房長官は、オーストラリア政府からクアッド首脳会議の開催を中止すると連絡があったことを明らかにしました。『NHK』(17日)などが報じました。
バイデン大統領が、オーストラリア訪問をキャンセルしたことが影響しているようだ、と『NHK』は伝えています。
クアッド首脳会議中止に伴い、岸田文雄総理のオーストラリア訪問も中止となりました。
インドのモディ首相とオーストラリアのアルバニージー首相は、G7首脳サミットに招待されています。
クアッド首脳会合は、G7広島サミット後の21日に広島で開催される方向で調整が進められているということです。
※岸田首相 クアッド開催中止でオーストラリア訪問を取りやめに(NHK、2023年5月17日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230517/amp/k10014070191000.html
※クアッド首脳会合 今月21日に広島で開催の方向で調整(NHK、2023年5月17日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230517/amp/k10014070641000.html
※クアッド首脳会議、バイデン氏抜きでも開催可能=豪首相(ロイター、5月17日)
https://jp.reuters.com/article/quad-australia-idJPKBN2X802Q
バイデン大統領の予定についてホワイトハウスが16日に出した声明は以下です。
「バイデン大統領は、デフォルト回避の期限(6月1日)までに議会が行動を起こすよう、議会指導者から確証を得る会談に臨むために、G7首脳会談終了後の日曜日(21日)に米国に帰国する予定である。
大統領は本日未明、アルバニージー豪首相と会談し、オーストラリアへの渡航を延期することを伝えた。また、両国政府のチームが合意する時期に、同首相の国賓としての公式訪問をするように招待した。
バイデン大統領のチームは、パプア・ニューギニアの首相チームとも連絡を取り、同様に伝えた。
大統領は、過去78回のように、両党・両院の議員がデフォルトを防ぐために団結する必要があると明言している。大統領とそのチームは、大統領の机に届くような予算合意を実現するために、議会の指導部と引き続き協働する。
同盟関係を活性化し、再活性化し、クワッドのようなパートナーシップを推進することは、大統領にとって、引き続き、重要な優先事項である。これは、外交政策目標を達成し、世界の安定と繁栄をより良く推進するために不可欠なものである。
我々は、来年、オーストラリア、クワッド、パプア・ニューギニア、太平洋諸島フォーラムの指導者たちと関わるための他の方法を見つけることを楽しみにしている」
※Statement by White House Press Secretary Karine Jean-Pierre on President Biden’s Travel to Australia and Papua New Guinea(The White House、2023年5月16日)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2023/05/16/statement-by-white-house-press-secretary-karine-jean-pierre-on-president-bidens-travel-to-australia-and-papua-new-guinea/
16日に行われたケビン・マッカーシー米下院議長との債務上限問題をめぐる協議で、バイデン大統領は合意が数日以内にまとまる可能性があるとの楽観的な認識を示していました。
マッカーシー議長は「双方の間には依然大きな隔たりがある」としていましたが、「やるべきことは多い。今週末までに合意に至ることは可能だ。合意に至るのはそれほど難しいことではない」と述べています。『ブルームバーグ』(17日)などが報じました。
合意に向けて一歩前進したかに見えましたが、バイデン大統領がクアッド首脳会議をキャンセルして帰国しなければならないほど、まだ課題が残っているようです。
※バイデン米大統領と下院議長、債務上限巡る合意を慎重ながらも楽観(ブルームバーグ、2023年5月17日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-16/RURPLBT0G1KW01
バイデン大統領の重要な外交日程を変えるほど、米国の債務上限問題はこじれています。
米国の債務上限問題がこじれる背景には、バイデン政権が主導してきたコロナ禍対策のための莫大な財政支出や、ウクライナへの桁違いの支援に対する、緊縮財政派の反発があります。イエレン財務長官は、コロナ禍対策のための莫大な財政支出がインフレを招いたと批判されていました。
コロナ禍対策費には、ワクチン接種の費用も含まれます。そのワクチンのもたらす副反応の危険性への認識が高まり、ウクライナへの莫大な武器支援も、何の意味や大義や効果があるのか、米国においてすら、疑問視され始めています。
どちらにも疑問をもたないでいる日本政府と日本の御用メディアのズレっぷりには、はなはだしいものがあります。
共和党のケビン・マッカーシー下院議長は、債務上限の引き上げには同意しているとされていますが、「政府支出削減」を条件にあげています。民主党は来年の米大統領選挙を控えて、バイデン政権の資金源を共和党が阻止しようとしているとして反発していました。
マッカーシー下院議長は、「ウクライナに無分別な支援をしない」、「白紙の小切手は切らない」と表明していましたが、5月に入って「私はウクライナ支援に賛成票を投じた」と発言し、姿勢を変えたのではないかと注目されています。
※米ホワイトハウス、下院議長に異例の賛辞 ウクライナ支援めぐる発言で(CNN、2023年5月3日)
https://www.cnn.co.jp/usa/35203363.html
『ポリティコ』は15日、「ウクライナ支援の終了が急速に近づいている」と題する記事を発表しました。
「(2022年)12月に議会が承認した480億ドルのウクライナ支援策の残りは約60億ドルで、武器や物資に対する米国の資金が真夏までに枯渇する可能性があることを意味する。
そのため、議員たちの間では、ホワイトハウスが次に何を計画しているのか、いつまた大規模な支援策を要求するのか、それで十分なのか、といった新たな懸念が広がっている」
『ポリティコ』は「米国は数百万発の砲弾を送り、戦車に資金を提供し、装甲車や高度な防空システムをウクライナ軍の手元に輸送した。この援助により、ウクライナ軍はロシアの攻撃を退けながら、何百キロも続く前線の膠着状態を打破するための攻勢に備えることができた」と、米国による支援の成果を挙げました。この「成果」を真に受けたとして、裏を返せば、米国からの420億ドルもの支援がなければ、ウクライナ紛争はとっくに停戦に至っていたはずある、ということになります。
『ポリティコ』は、キエフが大規模な「春(春はとっくに過ぎてしまいましたが)の反攻」を表明する中、「多くの議員は、(ウクライナ支援の)資金は途切れることなく供給され続ける必要がある」としつつも、同時に「今の議会は昨年の議会とは異なる」「(昨年と)同じような状況でもない」と指摘しています。
「ホワイトハウスが昨年の夏に提案したものは、債務上限をめぐる激しい議論に直面する可能性があり、ウクライナへの支出削減を望む共和党の、少数だが声の大きいグループからの反対に遭うことはほぼ確実である」
「上院情報委員会副委員長のマルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)は、バイデン政権がウクライナの追加資金補助策(を議会が認めると)期待するのは『間違い』だと述べた」
『ポリティコ』は、バイデン政権によるウクライナ支援は「1週間から10日おきに数億ドルを支給する、ほぼ規則正しいペース」に現在は落ち着いていると指摘し、ある政府高官(議会補佐官)によると、既存の米国の資金は7月に枯渇し、装備品の供給が途絶え、キエフは新たな資金調達のために長期間待たされることになる可能性がある、と報じています。
『ポリティコ』は仮に債務上限問題が解消され、両党の議員が援助の蛇口を開き続けることを全面的に支持したとしても、ウクライナ支援のための資金調達は、より複雑になる可能性があると指摘しています。
2024会計年度(2023年10月1日~2024年9月30日)の国防予算の審議が秋には始まりますが、議会が予算を承認するのは年末になるため、それまで持ちこたえることが難しいと見られています。このため、米政府はその前に予算を確保する「追加支援パッケージ」を考慮しているといわれています。
米・バイデン政権は、引き続き小規模な「追加支援パッケージ」を用意して、ウクライナ支援を途切れなく継続する意向ですが、債務上限問題がクリアされたとしても、これまでのように無制限にウクライナ支援をすることは難しくなりそうです。
※The end of Ukraine aid is rapidly approaching. Reupping it won’t be easy(POLITICO、2023年5月15日)
https://www.politico.com/news/2023/05/15/ukraine-aid-is-drying-up-and-the-white-house-is-under-pressure-to-send-more-00096767
米国の圧倒的ともいえる支援に暗雲が立ち込める一方で、ウクライナ・ゼレンスキー政権はまだまだ「やる気満々」です。
ゼレンスキー大統領は、13日にイタリア・バチカン、14日にはドイツ、フランス、15日には英国を歴訪し、支援の継続を求めています。
イタリアのメローニ首相は必要な限りの支援を続けていくと表明、ドイツは新たに4000億円相当の支援、フランスは軽戦車・装甲車数十台の供与、英国は新たに防空ミサイルや長距離攻撃無人機の供与、F16戦闘機供与の準備を約束しています。
米国がダメなら、EU諸国から支援をもぎ取ろう、ということでしょうか。
※ゼレンスキー氏、ウクライナは「ロシア領土を攻撃しない」 独首相と会談(BBC、2023年5月15日)
https://www.bbc.com/japanese/65593481
13日付『スプートニク』によると、露国防省は13日、ウクライナ軍が12日にルガンスク人民共和国に対して、英国が供与した長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」が使われていたと発表しました。ウクライナによる「ストームシャドー」の使用が確認されるのは初めてだということです。
※はじめに~スクープ! ウクライナのゼレンスキー大統領がNATO加盟国であるハンガリーに打撃を与えるため、ロシアとの石油パイプライン爆破を計画していた! ロシアの都市占拠やドローンによるロシア領内攻撃を計画していたことも、流出した米機密文書で明らかに!!『ワシントン・ポスト』は、さんざん美化されてきたゼレンスキー大統領について、「攻撃的な本能を持つ指導者」と、ようやく正しく分析!(IWJ日刊ガイド、2023年5月17日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230517#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52287#idx-1
「ストームシャドー」の射程は250キロです。これまでウクライナに供与されてきた米国の「ハイマース」などは射程が70~80kmに制限されていました。「ストームシャドー」は「ハイマース」の3倍以上の射程になります。
つまり、ウクライナ国内からルガンスク人民共和国・ドネツク人民共和国、クリミア半島などが射程圏内に入るため、「戦争のゲームチェンジャー」になるのではないかとみられています。
ウクライナ軍によってルガンスク市のプラスチック工場や食品加工工場に対して「ストームシャドー」2発が打ち込まれたため、子ども6人を含む複数の民間人が負傷しました。
露国防省は「民間施設に対しては使用されないという英国政府の声明に反するものだ」と英国とウクライナを批判しています。
シリアの退役准将で専門家のモハメド・アッバス氏は『スプートニク』に対して、ウクライナによる「ストームシャドー」の使用は、紛争のエスカレーションを狙ったものであり、ウクライナに「勝てる」という誤った認識を与えるものだ、と指摘しています。日本の偏向した主要メディアの報道・論評ではまずみられない非常に冷静で、もっともな指摘です。
「(ウクライナによる「ストームシャドー」の使用は)対立をエスカレートさせ、ミサイルが250キロの射程に達し、その結果、メディアを通じて宣伝されている反転攻勢において勝利と成果を得ることができる可能性があるという誤った考えをウクライナに暗示させることが目的だ」
※ウクライナ軍、英ミサイル「ストームシャドー」で初の攻撃=露国防省 民間施設が標的に、子供6人けが(スプートニク、2023年5月13日)
https://sputniknews.jp/20230513/6-15975402.html
※ウクライナへの「ストームシャドー」供与はエスカレーションを狙ったもの 専門家が指摘(スプートニク、2023年5月14日)
https://sputniknews.jp/20230514/15981970.html
14日付『RT』によれば、英国のベン・ウォレス国防相が11日に「ストームシャドー」の供与を認めました。これに対して、ロシア外務省は、「ロンドンによる極めて敵対的な措置」であり、紛争への「前例のないレベルの英国の関与を明らかに裏付ける」ものであると非難しました。
※UK-supplied missiles used to strike civilians in Lugansk authorities(RT、2023年5月14日)
https://www.rt.com/russia/576263-uk-missiles-strike-civilians-donbass/
16日付『RT』によれば、ロシア国防省は、16日、過去24時間以内に「ストームシャドー長距離巡航ミサイル7発、HARM対レーダーミサイル3発、HIMARS多連装ロケット砲弾7発を迎撃した」と発表しました。さらに無人機22機を破壊したとし、西側諸国から提供されたウクライナ軍編隊、装備品、弾薬・装備品庫に対するロシアの夜間ミサイル集中砲火は「目的を達成した」とコナシェンコフ報道官が述べました。
コナシェンコフ報道官は、米国が提供した、キエフ近郊のパトリオット・ミサイル・システムも、極超音速ミサイル「キンジャール」によって破壊されたと述べています。
米国は当初、パトリオット・ミサイル・システムの破壊に懐疑的でしたが、16日、『CNN』が「米国は損傷の程度を評価中で、修理のためにシステム全体を同国から引き揚げるか、現場でウクライナ軍が修理可能な程度の損傷かを見極める」と報じました。つまり、ロシアのミサイルが着弾して、配備されたパトリオット・ミサイルに、程度の差こそあれ、被害を与えたことは米国も認めた、ということになります。
『CNN』によると、ウクライナの当局者は、ロシアが発射した極超音速ミサイル6発をすべて迎撃したと主張していました。しかし、このキエフ発信の情報は、ほぼほぼウソのプロパガンダであると言わざるをえません。
そもそも極超音速ミサイルを、パーフェクトに迎撃できるミサイル防衛システムは、米国にもありません。
なぜ、ウクライナが迎撃できるというのか、できるはずがありません。どうしてこのような見えすいたウソをつくのか、さらに日本を含む西側メディアはなぜはっきりとウソだと批判的に報じないのか、いつも通りのことですが、大いに疑問です。
※Seven UK-supplied Storm Shadow missiles shot down Moscow(RT、2023年5月16日)
https://www.rt.com/russia/576373-storm-shadow-missile-ukraine/
配備されたパトリオットが、ロシアの極超音速ミサイルによって破壊されているという事実は、日本の安全保障政策を考える上でも、重要な事実のはずです。
米国からミサイルを買い、日本中に配備したとしても、ロシアと並んで極超音速ミサイルの開発に成功し、実戦配備している中国に対峙した時、同じ構図の結果となることが想定できるからです。この事実に衝撃を受けていない政治家や防衛官僚や外務官僚がいたら、即刻辞任してもらいたい、と願うレベルの出来事です。
2023年に入って以降、最も激しい戦闘が行われたとするウクライナ東部ドネツク州のバフムートでは戦局は停滞しています。
バフムートにおける戦闘の中心となってきた民間軍事会社ワグネルのリーダー・プリゴジン氏とモスクワの間の「不協和音」が、西側メディアでは面白おかしく大げさに報じられています。プリゴジン氏が弾薬をくれないならばバフムートを撤退するとモスクワを脅した、といった内容です。ロシアは内部分裂して崩壊する、とまでデマを重ねているものも少なくありません。
実際には、モスクワはすでにワグネルの要求した通りに弾薬を提供しています。その結果、ワグネルはさらに前進している、というのが事実です。カディロフ首長が率いるチェチェン部隊「カディロフツィ」も、バフムートに到着しました。
元外務省主任分析官である佐藤優氏は、「ワグネルに関しては、さほど注視する必要がない」と述べています。「ワグネルは数ある民間軍事会社の一つにすぎず、戦闘において主たる役割を果たしていない」、カディロフツィもまた、ワグネルと同様で「正規軍ではなく傭兵的な性格を持つ点で、民間軍事会社と同じ」だと述べています。
佐藤氏は、あくまでも主力は「ロシア正規軍で、中でも空挺部隊」である、と指摘しています。
佐藤優氏がそう主張している記事は、以下のダイヤモンド・オンラインで読むことができますが、おそらく編集部がつけたであろうタイトルは、中身と正反対の「釣り」タイトルとなっています。これでは、「羊頭狗肉」のそしりは免れないでしょう。著者の佐藤氏が気の毒です。
日本のメディアの腐敗は、既存の記者クラブメディアだけでなく、ネットメディアの編集部にも及んでいます。
※佐藤優が暴く、プーチンの盟友・ワグネル代表が「ロシア猛烈批判」を始めた理由(佐藤優、ダイヤモンド・オンライン、2023年5月17日)
https://diamond.jp/articles/-/322948
そのロシア正規軍は、何をしているのでしょうか。もちろん、「キンジャール」を打ち込んで、パトリオットミサイルシステムを破壊するのは、ロシア正規軍でなければ不可能です。しかし、ロシア軍がやっていることはそれだけではないようです。
スペインのメディア『エル・パイス』は先月4月17日、ロシア軍は「塹壕」、「対戦車溝」、「ドラゴンの歯(装甲車両を妨げる鉄筋コンクリート製の障害物)」、「コンクリート製の機関銃壕」、「掩蔽壕(えんぺいごう、敵の攻撃から守るために山に掘った横穴やコンクリートなどで造った横穴状の施設)」などを組み合わせた800キロメートルに及ぶ防衛線をウクライナ東部と南部の占領地域に構築している、と報じました。
『エル・パイス』によると、ロシア軍は昨年2022年の夏以降、ウクライナの反撃を阻止するために巨大な防御壁を建設してきました。ウクライナ軍は、2022年2月の侵攻開始以来、ロシアが占領した領土を奪還するための大規模攻勢を計画していると、ウクライナ自らも、そして西側メディアも、さんざん発信してきました。
2022年の秋にウクライナ軍が反撃を行った時は、ロシア側はまだ強固な防衛戦を構築できていなかったため、ウクライナ軍の反撃はまだしも容易でしたが、これから反撃をするとすれば、ロシアが築き上げた強力な防衛線を突破しなければならないため、「ウクライナ軍が直面している状況はかなり複雑になっている」と『エル・パイス』は冷静に分析しています。
『エル・パイス』が作成した「防衛線」の地図を見ると、ロシア軍側が占領した地域(ヘルソン、ザポリージャ、ドネツク、ルガンスク)の最前線はおよそ800km、非常に長い防衛線が構築されていることがわかります。『エル・パイス』は、衛星写真をもとに地図を作成したとしています。
『エル・パイス』はこの防衛線をひとつひとつは第2次大戦時の塹壕とあまりレベルは違わず、「ドラゴンの歯」は地表に置かれているだけなので、取り除くことは容易だとしています。しかし、それでも、英国情報機関が4月12日にロシアの防衛線は依然「恐るべき」ものだと指摘しているように、「現代のジークフリート線」であると述べています。
「特にザポリージャ戦線ではメリトポリとアゾフ海に向けたウクライナの反撃が予想されている。ザポリージャとヘルソン州の占領地域で、ロシアは長さ120キロ(75マイル)の3本の平行した防衛線を建設した。それぞれ(の防衛線)は約15キロ離れており、すべて同じシステムに従っている」
示された図を見ると、対戦車砲溝、トレンチと有刺鉄線、地雷原、ドラゴンの歯、再びトレンチと有刺鉄線、機関銃手用のコンクリート壁、バンカーの順で防衛線が構成されている様子がわかります。
『エル・パイス』によれば、オーストラリアのミック・ライアン将軍は4月4日、NATO同盟国がウクライナに提供する物資が大きく変化していると指摘しました。ロシアが築いた防衛戦を突破するための装甲車両やC4プラスチック爆弾、耐地雷戦車、などです。ライアン将軍は、「一連の障害物に対する共同攻撃を計画し、実行することほど難しい任務はない」と述べています。
ウクライナ軍がこの防衛戦を超えて大反撃をしようとするならば、「死傷者と物的損失の数は膨大になるだろう」と、スペインのグラナダ大学政治学教授で国防分析グループ「グローバル戦略」ディレクターのハビエル・ジョルダン氏は『エル・パイス』に語り、ある専門家は「キエフ軍の精鋭が集中するロシアの防衛線で攻撃が挫折すれば、ロシアが(カウンターとして)反撃して侵攻開始以来初めて陣地を獲得する絶好の機会となる可能性がある」と指摘しました。
※Russia constructs 800km of defensive lines to head off Ukrainian counter-offensive(El Pais、2023年4月17日)
https://english.elpais.com/international/2023-04-17/russia-constructs-800-km-of-defensive-lines-to-head-off-ukrainian-counteroffensive.html
戦局はただ停滞しているのではなく、バフムートなどは民間軍事会社に任せて、ウクライナ軍の損耗を図り、ロシア軍はいまや「専守防衛」に専念し、占領地域を手放さない意志を表明しています。
ウクライナ軍が置かれている状況は、日本の偏向マスメディアが伝え続けているような、プロパガンダまみれの楽観的状況などとはほど遠く、極めて厳しく、東部・南部地域で効果的な攻撃ができないために、ドローンや長距離砲を用いたロシア領や占領地への散発的でテロ的な攻撃を繰り返しているのだと推測されます。
『エル・パイス』のこのすぐれた記事は、日本では、あまり注目されていません。大多数のマスメディアがスルーする中で、『読売新聞』が例外的に4月22日に取り上げていますが、「防衛線の維持には兵員や兵器が不可欠とされ、消耗が著しいロシア軍が十分に配置できるかどうかは不透明だ」と、なぜか『エル・パイス』とはまったく反対の結論を導き出しています。
また、『産経新聞』も5月2日にこの『エル・パイス』の記事を紹介していますが、「(ロシアが)防衛線を保つには、乱れのない指揮系統や空中戦での優位が必須条件とされ、時代がかった長大な塹壕は無用の長物と化す可能性もある」と、やはり『エル・パイス』とはまったく反対のコメントを付け加えています。
『エル・パイス』の記事をどう読めば、『読売新聞』や『産経新聞』のような解釈になるのか、理解に苦しみますが、こうした新聞やテレビが垂れ流すプロパガンダに毎日触れて洗脳され続け、偏向したYouTubeなどを見ていると、本当に、現実がわからなくなるのでしょう。
大本営発表と同じ状態が、日本の情報空間ではもう1年以上も続いているのです。いいかげん目を覚ますべきです。
※ロシア軍が800キロの「防衛線」…ウクライナ軍の反転攻勢に備え(読売新聞、2023年4月22日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230421-OYT1T50397/
※ロシア、800キロの「防衛線」構築 専守防衛に転換で持久戦狙う(産経新聞、2023年5月2日)
https://www.sankei.com/article/20230502-6B3DBHYM7VOU5JZPRG44KVCCII/
それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
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