「日本は、この機を逃したら永久に変われない」――「原発割安」を強く否定する立命館大学教授・大島堅一氏に岩上安身が聞く 2011.4.11

記事公開日:2011.4.11地域: テキスト 動画 独自
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(IWJテキストスタッフ・富田 文字起こしと注釈:ボランティアスタッフ・ぼうごなつこ)

特集 3.11
※2015年3月5日テキスト更新しました。

 「あれだけのことが起きたのに、日本は変われなかった」──。ある有名作家はツイッターで、こうつぶやいた。

 「あれだけのこと」とは、2011年3月11日の東日本大震災、福島第一原発事故のこと。「変わる」とは、日本および日本人のパラダイムシフトのことを指すが、安倍政権の下、少なくともエネルギー政策は、3.11前の「原発推進」に戻った印象がある。

 2014年4月に閣議決定された、政府のエネルギー政策の柱となるエネルギー基本計画。「原発は、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」との明記がなされ、停止中の原発を再稼働させていく方針が明確に示された。2015年には、原子力規制委員会による適合審査をパスした九州電力の川内原発(鹿児島県)、関西電力の高浜原発(福井県)が再稼働される可能性がある。

 2011年4月11日、大阪で行われた岩上安身によるインタビューで、立命館大学教授の大島堅一氏は、廃棄物処理に代表される原発特有の費用などを加味して計算すると、原発は極めて「不経済」な電力システムであると訴えた。政府によってさんざん流布されてきた「原子力エネルギーは安価」との言説を覆すものだ。

 大島氏は、甚大なコストが発生する使用済み核燃料のリサイクルは、原発に「ウラン枯渇の不安とは無縁」との特性を持たせるために、政府が意地になって進めている政策だと一蹴。「フクシマショックを変化の契機にすることに失敗すれば、日本は永久に変われない」と口調を強めた。

記事目次

  • 政府発表の「発電コスト」にだまされるな
  • 膨大な国費が投入されてこその原発
  • 再処理は世紀の大赤字事業
  • 原発依存を止めるという選択肢
  • 全文文字起こし
    • 現実のコストから考える原子力発電
    • 政府発表の「水力発電」は「一般水力」と「揚水」の合算
    • 揚水発電は原子力と一体
    • 電源三法交付金の約7割は原子力向け
    • 核燃料の再処理事業は20兆円もの莫大な金をかけて得られるのはたったの9000億円!?
    • 私たちは既に2006年から使用済み燃料再処理費を徴収されている
    • 原子力偏重の国家財政のあり方を見直そう、電気料金の明細書に再処理費用を明示しよう
    • 発電事業と送電事業の分離で、状況はこれだけ良くなる
    • 福島の事故は世界史的な事件。これを機にエネルギー政策を見直さなければ永久に変わらないのでは?

  • 日時 2011年4月11日(月)

政府発表の「発電コスト」にだまされるな

 「われわれ日本人は『原発というものは非常に優れたエネルギーであり、生産性が高く効率もいい』という見方を、政府や電力会社、さらには原発推進派の学者によって刷り込まれてきた」。インタビュー冒頭で、岩上安身はこう切り出した。

 これについて大島氏は、次のように分析する。

 「原子力発電が最も経済的だという主張は、確かにある。たとえば1999年に政府が発表した『発電コスト』では、原子力1キロワットあたり5.9円で、一般水力は13.6円なので、原子力が一番安いとしている。2004年にも同じような計算方法で、原子力が5.3円で一般水力が11.9円、火力に比べても安いとしている」

 しかし、大島氏は「これはあくまでも、ある一定の想定をして、設備利用率を一定程度見積もって計算すれば出る結果であって、実際にかかったコストを計算していない」と発言を重ねる。「原発は、過去40年間ぐらい商用運転している。その間に実際にかかったコストは、いくらぐらいなのかを算出したものではない」

 そして、2010年9月7日に開かれた原子力委員会で、原子力政策大綱を見直す必要の有無をめぐり、ヒアリングを受けた際に自身が指摘した事柄を紹介した。

膨大な国費が投入されてこその原発

 エネルギー政策でかかる費用について、大島氏は、ひとつは発電に直接かかる費用で、燃料費や減価償却費、建設費を営業費用に直したものだとし、「加えてメンテナンス費用があるが、これは火力発電でも水力発電でも発生する」と指摘。その上で、原発に固有なものとして「バックエンド費用と呼ばれる、放射性廃棄物の処分費用がある」と強調した。

 さらにまた、「これは通常、料金原価には算入されないが、国家からの資金投入もある」と語り、国家財政から、さまざまな費用がエネルギー政策の中に使われている実態について解説。事故に伴う費用と被害補償費についても触れ、「国民的負担は、これらのコスト含む全部になる」と訴えた。

 電源三法交付金の約7割が原発向けである点を、岩上安身が指摘すると、大島氏は「自治体をお金で納得させるやり方を採用しているのは日本だけ」と話し、「本来なら、すべての経済活動というのは、その事業自体が地元にメリットをもたらすことが大前提で、日本の原発では、それに追加して交付金があるということ自体が、おかしな話なのだ」と指摘した。

 大島氏は、「国の一般会計のエネルギー対策費のほとんどは原発向けで、事実上の原子力対策費だ」とも語り、原発の高コスト体質を重ねて力説。「これまで指摘した事実を国民がすべて知った上で、『それでも原発が良い』というのなら、原発を動かせばいい。それはそれで、民主主義国家のあり方なのだから」と話した。

再処理は世紀の大赤字事業

 続いて大島氏は、「原子力というのはウラン燃料を使っているので、ウランという鉱物資源の量に将来が制約される」と述べ、話題を使用済み核燃料の再処理事業へと移した。

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