2024年4月7日午後1時10分より、東京都新宿区のTKP市ヶ谷カンファレンスセンターにて、「公益社団法人・日本女医会『日本女性医師デー』制定記念イベント ―講演:『吉岡彌生先生を語る』前田佳子氏(日本女医会会長)」が開催された。
イベントは2部構成で行われた。
第1部では、東京女子医科大学・東京女医学校・東京女子医学専門学校の創設者であり、東京女医学校校長、東京女子医科大学学頭などを歴任した、医師で、教育者である吉岡彌生について、日本女医会会長の前田佳子氏が講演を行った。
吉岡彌生は、明治期、日本で女性が医術開業試験を受けることができるようになってから27番目(1892年、明治25年)に合格した女性医師である。
前田氏は、吉岡彌生の生涯をまとめた動画の上映を挟みながら、「東京女子医科大学創立者の吉岡彌生と東京女子医科大学の歩み」、「吉岡彌生の戦後の活動と思い」、「吉岡彌生のエピソード」といったテーマに沿って、彼女の生涯について講演した。
前田氏は、吉岡彌生の生涯から、「蘊奥(うんおう)(※)」、「至誠」、「進取」という3つの言葉を、医療従事者にとって最も大切な「キーワード」として取り上げた。
「蘊奥」は「学問・技芸の奥義」という意味であるが、ここでは「探求心」といったような意味で用いられている。
つまり、「新しい病気が発生した時には、進取の気質でそれに立ち向かい、自分自身で問題点を発見し、挑戦し、解決していく姿勢」が大切だということだ。
吉岡彌生のことばを引用し、前田氏は講演を次のように締めくくった。
「『難しい問題にぶつかった場合でも、それに負けてしまわず、微笑して考えれば、そこに解決の道はあるのです』と、私たちもこの気持ちを忘れずにやっていきたいなと思っております」。
第2部では、医術開業試験に、女性として初めて合格(1885年、明治18年)した荻野吟子の生涯を描いた映画、「一粒の麦 荻野吟子の生涯」(監督・山田火砂子、主演・若村麻由美、山本耕史)が上映された。
日本女医会は、2022年に創立120周年を迎えた。その記念事業の一環として、この荻野吟子の誕生日である1851年4月4日(嘉永4年3月3日)を「日本女性医師デー」として、日本記念日協会に登録申請し、承認された。
前田氏の講演の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。