安倍晋三元総理銃撃事件で鑑定留置されていた山上徹也容疑者が起訴された2023年1月13日、事件直後から山上被告の減刑を求めて署名活動を行ってきた市民団体が記者会見を行なった。
この日、司法記者クラブで記者会見を行なったのは、「山上徹也氏の減刑を求める会」の斉藤恵代表と、事務局担当の山口あずさ氏。斉藤氏らは、キャンペーンサイト「change.org」で、1月10日時点で1万1127筆に達した署名を、12日に検事総長と奈良地検あてに郵送したとのこと。
署名では、父親が自殺、母親が統一教会に入信し、1億円以上の献金をしたことで家庭が崩壊、宗教にのめり込んだ母親の育児放棄、難病の兄の自殺があったことなど、山上被告の過酷な生育歴を考慮して、裁判での情状を求めている。
- 山上徹也氏の減刑を求める署名(change.org)
自身も統一教会とは別の宗教の「宗教2世」だという代表の斉藤氏は、「彼の悔しさは他人事とは思えない」と述べ、「『家庭』や『国家』を強調する右派政治家や宗教団体ほど、子どもや国民をないがしろにしている」と批判した。
一方、山口氏は、「民主主義の根幹である司法、行政、立法の三権が、それぞれ国民のための職責を果たしていれば、こんな事件は起こらなかった。民主主義の欠陥が生んだ犯罪だ」と語った。
山口氏は山上被告の幼少時の写真を掲げて「この子に対して、ちゃんと補償が及んでいなかった。この子を、私たちの社会はかばってあげられなかった」述べ、統一教会と自民党政権の癒着を許した社会の構造に目を向けてほしいと訴えた。
斉藤氏らは、「安倍氏の殺人を肯定はしていない」とする一方、「山上被告を英雄視するのか?」という記者の質問に対し、山口氏は「そもそも民主的な社会が実現していれば、暴力を振るったものを英雄視するようなことはない。統一教会が取り締まられることもなく、犯罪行為を続けられたという、決して民主的でない社会で起きた事件だということを考える必要がある」と主張した。