2022年3月2日、午後4時より、東京・都庁記者クラブにて、米国人経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏が記者会見を開催した。
カップ氏は、2月9日に東京都都市計画審議会で承認された、明治神宮外苑地区の再開発による樹木伐採計画の見直しを求め、2月16日、署名サイト「change.org」で「神宮外苑1000本の樹木を切らないで ~再開発計画は見直しを!」という署名活動を開始した。
- 小池百合子都知事へ:神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを!(change.orgキャンペーン)
署名開始から2週間で署名数は5万1000人を超え、3月2日、その署名を、東京都の都市づくり政策部 都市利用計画課を通じて、小池百合子都知事に提出した。記者会見は、その署名提出後に開かれた。
この会見でカップ氏は、署名とあわせて小池都知事に提出された要望書のキー・ポイントについて、特に4つの点が重要だと説明した。
1.計画の本質である都民に対する公益性、およびなぜこの計画が必要で、経済的に成り立つのかの説明。
2.予測される環境への影響と、それを減少する対策の提示。
3.計画に関する情報開示。市民の意見、懸念を集約し、対応する民主的なプロセスの実施。
4.日本イコモス国内委員会の提言を受け入れ、歴史的都市遺産および既存樹木の保全に万全を期すること。
これらを考慮した上で計画案を検証、修正し、SDGsの新しい時代にかなうプロジェクトへの見直しを求めた。
また、2022年2月22日に行われた都議会の第1回定例会における米倉春奈議員(日本共産党都議団)の代表質問に対する、上野雄一技監、および、小池知事の回答についての自身の見解、そして、このたびの署名活動を立ち上げた理由について説明した。
小池都知事は、米倉議員の質問に対し、次のように答えている。
「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくりでは、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点として、さらに発展させていくことといたしております。
聖徳記念絵画館を臨む四列のイチョウ並木を保全するなど、歴史と風格を継承しながら、誰もがスポーツに親しめる環境や広場空間などを整備する。その過程で、既存の樹木を極力保存、移植するとともに、新たに緑を創出し、従来よりも緑の量を増加させてまいります。
民間の活力と創意工夫を生かして、魅力と価値をより高めながら、SDGsの考え方にも沿ったまちづくりを進めてまいります」。
これに対してカップ氏は「約1000本もの樹木を伐採して、高層ビルなど商業施設をたくさん作ることが、どうしてSDGsに沿っているのか、いくら考えても理解できません」と訴えた。
この樹木伐採計画についての東京都側からの情報開示の動きは鈍く、どの種類の木が何本伐採されるのか等、詳細は曖昧だ。
会見で、毎日新聞記者の「署名はいつまで続けるのか? 数の目標はあるのか?」との質問に対して、カップ氏は次のように答えた。
「数の目標はないですが、この問題が解決されるまではchange.orgのサイトにUPしておきます。ですが、今日の時点で、すでにかなりの数の声が上がっていることを東京都に示すことができたのは非常に良かったと思います」。
ロッシェル・カップ氏の会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。