勤労統計問題追及で明石順平弁護士が訴える!「昨年の夏、『賃金は21年5ヵ月ぶりの大きな伸び率に』と報道されたが、あれは確信犯的な嘘だった!」国家による統計の偽装は戦争の始まり!! 統計不正・賃金偽装 真相究明 院内集会/2月19日に、勤労統計不正調査問題について岩上安身が明石弁護士にインタビュー! 2019.1.29

記事公開日:2019.1.29取材地: テキスト動画
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(取材:須原拓磨 文:奥松由利子)

 2019年1月28日から始まった第198回通常国会が、厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題で大きく揺れている。安倍晋三総理は初日の施政方針演説で、「5年連続で今世紀最高水準の賃上げが行われた」などとアベノミクスの成果を強調したが、その判断の根拠となる数字は不正に算出されたものだった。

 「昨年の夏、『賃金は21年5ヵ月ぶりの大きな伸び率に』と報道されたが、あれは確信犯的な嘘だった。実質賃金が全然伸びないことが、アベノミクスの泣きどころなのだ」

 2019年1月29日、東京都千代田区の衆議院本館で開かれた統計不正・賃金偽装 真相究明 野党合同院内集会に出席した明石順平弁護士は、こう断じた。

▲明石順平弁護士(IWJ撮影、2019年1月29日)

 厚労省による毎月勤労統計調査は、賃金、労働時間、雇用の変動を明らかにする目的で実施されている。調査結果は景気判断や各種政策決定の指針とされるほか、雇用保険や労災保険の給付額、民間企業の給与算定などの資料にもなり、国民の暮らしに大きく関わってくるものだ。

 仮に調査対象の企業が虚偽報告をした場合、統計法により50万円以下の罰金まで課せられる厳格なものだが、今回、調査する側の厚労省が算出方法を変えて「虚偽の数字」を発表していたのである。

 明石氏は、「算出方法を変更する時には、過去に遡って変えるものだが、それをしていない。2018年と2017年とで算出方法が違うのに、そのまま比較して『伸びた!』と言っているのだ。そして、実質賃金の伸び率は公表しない。その嘘が今も続いている」と語気を強めた。

 野党5党・1会派の国対委員長らは順にマイクを握り、この統計不正・賃金偽装問題を、野党が一体となって国会で追及していく決意を表明した。国民民主党の国会対策委員長、原口一博衆議院議員は、「最初、実質賃金は3.6%伸びたと言っていた。それが今は1.4%に。実質賃金はマイナスだったじゃないですか。アベノミクス自体が偽装。もう、やめさせよう。安倍内閣最後の予算委員会にしましょう!」と檄を飛ばした。

 なお、IWJ代表・岩上安身は、2月19日に明石氏にインタビューを行い、統計不正問題について詳しくうかがう予定である。ぜひご覧いただきたい。

■ハイライト

  • 次第案
     明石順平 弁護士
     社会民主党 照屋寛徳 国会対策委員長
     自由党 日吉雄太 国会対策委員長
     社会保障を立て直す国民会議 広田一 国会対策委員長
     日本共産党 穀田恵二 国会対策委員長
     国民民主党 原口一博 国会対策委員長
     立憲民主党 辻元清美 国会対策委員長
  • 日時 2019年1月29日(火)12:00~
  • 場所 衆議院本館(東京都千代田区)

実質賃金が実は伸びていない。これがアベノミクスの泣きどころ! 別人の身長を比較して、背が伸びた、と称するような詐欺的手法!

 安倍政権の経済政策の問題点を指摘した『アベノミクスによろしく』の著者でもある明石氏は、厚労省の統計不正問題について、こう語る。

 「2018年9月に私がブログで書いた時点で問題は2つあった。ひとつは調査サンプルの半分を入れ替えたこと。もうひとつはベンチマークの更新。新旧データの比較で賃金が2000円以上アップしているが、うち1800円はベンチマークの更新によるものだ。そして、最近明らかになったのが、2018年1月から調査数を3倍にする補正(※注1)をしていたこと」

(※注1)毎月勤労統計調査では、従業員500人以上の事業所は全数調査をする決まりだが、厚労省は2004年から東京都だけ3分の1の事業所を抽出して調査していた。大企業が集中して給与水準も高い東京のサンプルが減ると平均賃金は低めに出る。そして、2018年1月から事業所数を約3倍にする「補正」を始めた。これによって、前年同月比の伸び率が急に高く出るようになり、「アベノミクスの成果」をアピールする根拠となった。現在、指摘を受けた厚労省は数値を修正している。

 明石氏は、「算出方法を変更した時には過去のデータも遡って変えるものだが(遡及改定)、それをしていない」と指摘し、「2018年と2017年では算出方法が違うのに、そのまま比較して『伸びました!』と言っている。別人の身長を比較して、伸びたと言うのと同じだ」と説明した。

 賃金について、厚労省は共通事業所同士の数値を伸び率の「参考値」として公表している。同じ事業所同士なので正確な伸び率を反映しており、「公表値」より0.5くらい低い。そして、この数字については、厚労省は実質賃金の伸び率を公表していない。

 「それを出してくれと言ったら、モゴモゴ言って出さない。多分、痛いところなのだろう。実質賃金が全然伸びないことが、アベノミクスの泣きどころだから」と明石氏は強調し、こう続けた。

 「今も、公表値として別人の身長を比較するようなことをやっている。昨年の夏頃に『賃金は21年5ヵ月ぶりの大きな伸び率になった』と報道されたが、あれは確信犯的な嘘だった。伸び率については公表値での比較はやめるべき。参考値のみを表示すべきだ」

安倍政権のデタラメが次々と露呈! 勤労統計の数字操作で得をするのは誰なのか? 戦前は国家統計が機密にされ、無謀な侵略戦争に駆り立てる材料となった! 戦前・戦中の二の舞か!?

 自由党の日吉雄太衆議院議員は、この統計の不正によって勤労者が本来もらうはずの給付金が正確に支給されていなかったことを問題視した。

 「これからも正確に計算されない可能性もあるし、すでに亡くなった人もいる。どのような対策を講じるのか。そのためにも、全容解明をしっかりやらなくてはいけない」

▲自由党・日吉雄太衆議院議員(IWJ撮影、2019年1月29日)

(…会員ページにつづく)

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    日吉議員「安倍政権は森友問題で国有地を格安で払い下げた。沖縄では辺野古の海に土砂を投入して、できもしない基地建設を推し進めている。昨年の臨時国会では、入管法改正、裁量労働制の審議でのデータ捏造。安倍政権のデタラメが次から次へと露呈している」
    https://iwj.co.jp/wj/open/archives/440818 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1092417170640822272

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